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お馬鹿編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
4月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、みんなちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~! おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第2回
竹中 平蔵【たけなか へいぞう】

▼おバカ編集部
ここ最近の新聞に目を通すと、竹中平蔵さんという、忠臣蔵のお侍さんかと思うようなお名前の方がよく出ていますが、この方はどんな事をしているんですか?

▼浜田先生
竹中さんは、経済財政・金融担当大臣。つまり国務大臣なんです。日本の金融システムはガタガタになっているとの危機感から、根本的な改革を進めようとしている人物です。ただ、その手法が過激で「大きすぎてつぶせない銀行はない」とか「みずほ銀行はシティバンクに買ってもらえばいい」と言ったとか言わないとか。何かと物議をかもしています。大臣になる前は、慶応大学の藤沢キャンパスで経済の教授をしていました。一橋大学の卒業で、日本投資開発銀行、今の日本開発銀行で働いていたこともあります。

▼おバカ編集部
大臣っていうのは、政治家がなるものじゃないんですか?
なんで経済の教授をされている方が大臣になったんですか?

▼浜田先生
大臣というのは普通、長く政治家をしている人が順繰りになる傾向があるのですが、小泉総理は、民間の新しい人材を投入して、従来のやり方を一新したいと考えたわけです。竹中さんは、大学教授のかたわら、当時の大蔵省、(今の財務省)の仕事をしたりしていました。竹中さんが有名になったのは、TVのレギュラー・コメンテーターになったからだと思います。語り口調がソフトで分かり易く、人気が出たんですね。その人気に着目した小泉総理が竹中さんを大臣に抜擢したのです。竹中さんは、政治家でも役人でもない民間人、学者出身の大臣なんです。

▼おバカ編集部
でも、学者さんだったら、経済対策の現状を肌で感じてないんじゃないですか?
人気者っていうだけで大臣になられたんだったら心配ですが・・・。

▼浜田先生
そういう懸念もありますが、竹中さんは、欧米のやり方を知っている強みをもっています。
国際投資銀行を辞めた後、大阪大学の助教授になり、ハーバード大学に半年行き、その後半年、ワシントンにある国際経済研究所で客員研究員を務めました。実は、私もその時期に、ワシントンの戦略国際問題経済研究所というシンクタンクにいたのです。毎月、主要な研究所で働いている20~30人の日本人が集まって、意見交換・情報交換を兼ねて、昼食会を開いていました。竹中さんもよく顔を出していました。そのような場で、竹中さんはアメリカで成功していた規制緩和や徹底した市場調査を日本にも導入すべきだと主張していたものです。

▼おバカ編集部
そうだったんですね。納得です!
新聞を見ると、竹中さんの対策と「不良債権」に深い関わりを感じたんですが、
そもそも「不良債権」って何なんですか?

▼浜田先生
小泉総理も竹中大臣も、今の日本の経済状態は、もう危機的状態で、特に金融機関の状態は、どうにもならないと焦っているようです。中でも一番大きな問題は、一向に解消されない不良債権の問題でしょう。日本経済全体に元気があふれ、皆が儲かって、お金をたくさん使っていた頃には、銀行や金融機関がお金を返してもらえる権利「債権」が守られていたから、不良債権なんて発生しなかったのです。例えば、不動産バブルの頃は、「土地の値段は下がらない」という神話がありました。銀行は土地を持っている人には、それを担保にして無制限と思えるほどお金を貸していたわけですから、東京の土地の値段だけで、アメリカ全土の土地を買えるくらい値段が上がりました。ところが、不動産バブルがはじけて、10億の価値があった土地が、突然1億円の価値になってしまった。9億円ものお金の価値がふっ飛んでしまうという事が起こり出したのです。銀行は元々、10億円という査定でお金を貸していたのに、差額の9億分のように、返済してもらえそうにない債権が出てきてしまった。これを「不良債権」と言います。9億円は、そっくり銀行の負担になってしまったわけです。日本の銀行は、10兆円近い不良債権をかかえているようです。

▼おバカ編集部
そうなんですね。でも銀行だって、10億円の価値があると思ってお金を貸したのに、価値が無くなった途端に、お金の返済を求めて都合良くないですか?
銀行には全く責任は無いんですか?

▼浜田先生
本来であれば、9億円を取り返すために債権者(お金を貸した人=銀行)が、債務者(お金を借りた人)と一緒になって、新しいビジネスを起こす等、アドバイスをしたりして立て直しをはかれば良かったのですが、日本の銀行にはそういうノウハウが、全くといっていいほど欠けていました。特に、ゴルフ場やリゾート開発など、経済が順調な頃に余暇を大切にしましょうと言って始めたビジネスがみんな不良債権となり、日本の銀行を圧迫するようになってしまったのです。中小企業や新しいビジネスを起こす人にお金を貸して応援するのが、銀行の役割りだったのに、その役割りを果たせない銀行が多くなりました。その結果、倒産してしまう銀行や、合併せざるをえない銀行が相次ぐという異常な事態になっています。

▼おバカ編集部
なるほど。日本の銀行ダメじゃないですか~!!
人のフンドシで相撲を取っているから、こんなことになるんですよね!

▼浜田先生
そうですね(笑)前回お話した、銀行の体力を測る「自己資本比率」の話を覚えていますか?自己資本には、一次資本とニ次資本があります。一次資本とは、銀行が稼いで、銀行自身が持っているお金のことです。国からの優先株、公的資金のようなものも銀行の自己資本に入っています。今、日本の銀行の一次資本の中で、一番大きい割合を占めているのが、「繰り延べ税資産」です。繰り延べ税資産と言うのは、銀行が儲けた場合に、税金を払い過ぎるはずだから、将来税金が戻ってくるというのを前提に考えた資産です。私達の年末調整みたいな物ですね。余分に払った税金は、返ってくると見込んで、その分を資産の中に組み込むことで自己資本比率を高めているわけです。ニ次資本とは、銀行の持っている株や株の配当のことを言います。問題なのは、一次資本の繰り延べ税金資産が、必ずしも返ってくるお金ではないという点です。返ってこないどころか、それが元で銀行が倒産するようなことも起きてきます。直接稼いだお金がないのに、稼いだお金に基づいて払う税金の返金分を、自分の銀行のお金としてカウントしているわけだから、当然の結末といえるでしょう。本当にそんなお金を自己資本に組み込んでいて、この銀行大丈夫???って不安になってきますよね。何しろ、大手銀行の繰り延べ税資産だけで8兆2000億円を超えているのです。

▼おバカ編集部
不安ですよ!要するに当てにならないお金ってことですよね?

▼浜田先生
その通り!あてにならないお金なんですよ。大手銀行の場合、繰り延べ税資産が自己資の30%を占めているケースが多く見られます。そういう状況を見て竹中さんは、今のままでは、日本の銀行が次々に倒産してもおかしくないと判断したわけです。日本の経済を支えている銀行の足腰がフラついているから、金融改革をやりましょうと訴えたのです。「自己資本比率8%」が、国際的なルールになっていているため、自己資本比率を下げたくないという気持ちは分かるが、日本の銀行を立て直すためには、一次資本の中に繰り延べ税金資産みたいな物を入れていたらダメだとストレートに訴えたのです。返ってこなくなるかも知れないお金を、自分の資産として計算に入れるというのはおかしいですよね。外国と同じように、そういうお金は資産としては考えないようにルールを変えようとしているのです。竹中さんは、体力の無い銀行は、不健全な銀行だということで、銀行の国有化を考えたり、きちんとした銀行経営ができない経営者なのだから、経営責任を明らかにし、クビにしようとしています。ちゃんと自分でお金を稼げるような銀行にしないとダメだという主張ですね。

▼おバカ編集部
当然ですよね!!でも、最近の竹中大臣ってやたらと批判されているようですが、どうしてですか?

▼浜田先生
竹中さんは、日本の銀行も、欧米の銀行を見習って、銀行が自分で判断できるノウハウを身につけるように改めましょうと提案しているのです。例えば、土地をたくさん持っているAさんにはお金を貸せても、新しい事業を起こそうとするBさんにはお金を貸せないのが現状。Bさんのビジネスにどんな将来性があるか、きちんと見極めるノウハウがないからです。欧米の銀行は、Bさんみたいな人のやる気、将来性を見極めるノウハウをしっかり持っていて、その人と一緒にビジネスを起こしています。それが自己資本率を高めることにつながるんですね。そのように改められない銀行は問題だから、そういう経営者は、柔軟性があって、欧米の知識などがある経営者に代えるべきだという考えです。ルールを徹底的に厳しくして、ごまかしたり、嘘をついた人は、経営責任をとってご退場願いましょうということです。竹中大臣は、改革プランをまとめて銀行に提示したのですが、自分達に不都合なことが多いので、銀行経営者からは反感をかってしまったのです。銀行の経営者が中心になって、自民党の古い考えの人達を抱き込んで、「竹中大臣のやり方は過激  すぎる、竹中ショックで株価も急落しているではないか。竹中を辞めさせろ!」と騒いでいるわけです。

▼おバカ編集部
竹中大臣の言っていることって正しいわけですね。

▼浜田先生
竹中さんの言っていることは、「ハイリスク・ハイリターン」の考えなんですね。アメリカ的な発想で、ある程度のリスクをとらなければ、良い結果は得られないという考えで、思い切って新しい産業に転換しましょうと言っているわけです。かつて小渕総理の時に、竹中さんは、アメリカのIT戦略を日本に導入しようとしました。IT革命を達成すれば、日本にも500万人の新しい雇用が増えますと言っていたのですが、ITバブルがはじけてしまい、新しい雇用が生まれるどころか失業者が増えてしまいました。そういう例のように、竹中さんの案は、アイデアとしては良いのですが、実際に実行して本当に日本にプラスかどうか、学者の机上の空論ではないかという批判もあります。竹中さんの弱点は、そういう批判に対して、自分の応援団を作らなくてはいけないのに、そういう政治的な立ち回りが得意ではないことですね。何かというと「小泉総理に反対するのか!自分には小泉総理がついているぞ!」と、総理を盾にゴリ押ししようとするため、それが周囲との摩擦の原因になっています。特に、まわりの政治家が気分を悪くしてしまっているようです。自由な発想で小泉総理の経済改革を推し進めたいという情熱は強いのですが、民間からの大臣ということもあり、政治家、特に自民党の中の古い価値観にどっぷり浸かっている人々にとっては異分子以外の何者でもありません。

▼おバカ編集部
小泉総理は何ではっきりしないんですか?竹中案に賛成なんじゃないんですか?

▼浜田先生
本当は、小泉総理がバシッと方針を示してくれるといいんですが・・・。経済がご専門の方ではないので、総理自身もどうしたら良いのか分からない。そこで、経済の事は、竹中大臣に聞いてくれって感じです。思い切って竹中大臣に全てをまかせるかといえば、そうでもない。自民党の人とも上手くやっていきたい気持ちがあるので、時間ばかりが過ぎてしまって、方針がなかなかまとまらないのです。竹中さんの言っていることは、日本の再生には必要なことなのですが、今まで慣れ親しんできたやり方を変えるという事に抵抗がある人が多いのです。自分から先頭にたって、「春が来たからコートを脱ぎましょう!」と言える人がいないのです。決断が下せず、モタモタしているのが日本の現状です。そんなことで時間を浪費している余裕は、もう日本には残されていないのですけどね。日本の政治家や銀行を目覚めさせるには、われわれの貯金を金利ゼロの日本の銀行から5%のアメリカや、7%のスウェーデンに一斉に移すことです。そうすれば、日本の銀行も一般預金者の大切さに気が付くでしょう。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
優先株
普通株式に比べて、利益配当や残余財産の分配について、優先的な取扱いを受ける株式をいいます。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
竹中大臣のバッシングって、そういうところからきていたんですね。古いしがらみや、人間関係って、どこの世界にもあることなんですね。竹中さんの、ダメな銀行の経営者は、経営責任をとるべきってお考え、私も大賛成!!銀行だけじゃなくて、ダメな企業の経営者が経営責任を取るっていうのは、当然だと思うんですが・・・。不良債権の問題もTVの中の話で、現実味が湧かなかったんですが、お話を伺って本当にヤバイって思いました。何が何でも新しい金融政策、成功して欲しいです。机上の空論で終わらせないで下さいね。竹中さん頑張って!!     


おバカ編集部・廣田美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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