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おバカ編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
9月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、皆ちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~!おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第7回
通貨【つうか】

▼おバカ編集
海外旅行に行って、日本円をドルに換えた時に思ったんですが、世界共通の通貨を作ったら、手間が省けるし、物の価値も安定するんじゃないですか?

▼浜田先生
とんでもない!通貨はその国の力のバロメーターなんですよ。通貨のパワーは、国力に比例しているんです。それに、例えばドルを世界共通の通貨にしてしまったら、通貨の生産量もアメリカが調整できるということですから、アメリカが世界の物価を決めるということになってしまいます。

▼おバカ編集部
通貨のパワーってなんですか?

▼浜田先生
海外旅行などに行って、日本円をドルに換えてもらいますよね。通貨をドルに換える時、ドルの持っている強さと、その国のもっている通貨の強さで交換レートが決まるんです。例えば、日本円とドルを比べると、今は1ドルが115円~116円くらいですが、戦後は、1ドルが360円くらいの頃もあったのです。その時に比べ、日本円がすごく強くなったのが分かりますよね。日本の経済力や技術が発展し、世界で高く評価された結果です。各国の力関係は日々変化しているわけですが、その変化を反映しているのが通貨のパワーといえるでしょう。

▼おバカ編集部
なにを基準に変化させているのですか?

▼浜田先生
ドルを買いたいと言う人と、ドルを売りたいと言う人が、国際通貨市場で毎時やりとりしているのです。ドルを持って得をする人と、他の通貨を持っていた方が得だと思う人が、売り買いしているわけですね。通貨も一つの商品として、投資の対象となっています。ドルが値上がりしたとか、値下がりしたと言うのは、生命保険会社や銀行、証券会社など、さまざまな機関投資家が、ドルを売ったり、買ったりして、その取引でドルの値段が決められているんです。

▼おバカ編集部
ドルを売ったり、買ったりする目的って何なんですか?

▼浜田先生
もちろん、お金です!お金を売り買いして、お金を儲けるのです。例えば、アメリカがイラクの戦争を始めると聞いた投資家は、アメリカは強い軍事力を持っているわけだから、間違いなくアメリカは勝つだろうと予測します。アメリカが勝てば、イラクに眠っている石油はアメリカの物になると考えるわけです。そうすると、アメリカの経済力や政治力が一層強くなって、ドルが高くなると予測してドルを買い増すという動きが生まれるわけです。世界のそういう動きを見越して、戦争が起こる前にドルを買って、ドルが値上がりした段階で、ドルを売って儲ける人がたくさんいるわけです。

▼おバカ編集部
なるほど!でも、どうしていつもドルを基準に考えるのですか?

▼浜田先生
ドルが国際基軸通貨になっているからです。いろいろな物を売ったり買ったり、サービスを提供したり、提供されたり、決済をする時に共通で使われる通貨なのです。要は決済をする時に、一番安定している通貨で取引するのが、売る方も買う方も安心できますよね。アメリカは世界最強の軍事力・経済力・政治力をもっているため、アメリカが一番頼りになるといういう状態がドルを国際基軸通貨にすることができた要因です。ですから、貿易や国際的な決済をする際に、ドルを使うという国が多いのです。

▼おバカ編集部
通貨が国のバロメーターというのは、なぜですか?

▼浜田先生
実際は、お金って紙切れですよね。でも、その紙切れに1ドルなら1ドル、100ドルなら100ドルに相当する商品に交換できる価値をつけてあげているのです。この交換できる価値というのを誰かが保証してあげないと、勝手に紙切れを1億円だと言っても誰も信用してくれないですからね。そこにアメリカという国の力が影響してくるわけです。ですから、通貨が国の力のバロメーターということになるのです。国が経済的にも政治的にも力が強ければ、その国の通貨の力も強くなるということですからね。以前は、お金を金(キン)と交換するということが行なわれていたんですが、だんだん金(キン)の量が少なくなってきて、保証が物理的に不可能になってきてしまったのです。1971年に、ニクソン大統領がドルと金の交換をしない宣言して以来、国際基軸通貨のドルというのは、金(キン)という物で保証するのではなくて、アメリカという国が保証するというかたちになったのです。

▼おバカ編集部
アメリカを信頼してドルを買うってことですね。この間のイラク戦に勝ったことで、
イラクでもドルを使うことになるんですか?

▼浜田先生
まだ、どうなるか分かりませんが、今は、戦争に勝った、アメリカが支配しているわけですから、アメリカが自由にできますよね。アメリカは表向き、イラクを民主的で市場経済として機能できる国に変えようとして動いているように見えますが、その一方でアメリカのドルをイラクの新しい通貨にしようとしています。戦争が終わった直後から、米軍の大型輸送機で、連日1ドル紙幣を運び込んでいます。イラク通貨であるディナールの価値がなくなっているので、アメリカが新しい通貨体制を作ろうと、ドルをどんどん持ち込んでいるようです。お金がないと生活が成り立ちませんから、まずはアメリカのドルを使って経済を立て直しましょうれ、ということにしています。

▼おバカ編集部
エッ~!イラク通貨をドルと換金じゃなくて、イラクにお金をバラ撒いている感じなんですか?

▼浜田先生
フセイン政権が倒されてしまっているので、イラクのお金にはもう価値がないのです。イラク通貨を保証する人が居なくなってしまったわけですからね。イラク市民の間では、通貨が価値をなくしてしまったので、物を手にいれる手段が物々交換になってしまっているのですよ。それでは、経済が成り立ちません。そこでアメリカは、ドルを供給することによって、正常な取引が出来るようにしようとしているわけです。アメリカがドルを作るのは、印刷するだけですから簡単です。

▼おバカ編集部
アメリカは、やっぱりドルを普及させるつもりなのですね。ユーロとドルってよく比べられますが、どっちが信頼できる通貨なんですか?

▼浜田先生
一概には言えませんね。アメリカは、軍事力や政治力があるけれども、経済的にはさまざまな問題を抱えている大借金国なんです。40兆ドルを超える累積債務というのがあって、一般的に言えば国家体制は破綻しているといっても過言ではありません。それでも、アメリカが揺らがないのは、ドルという通貨が国際基軸通貨で、皆がドルを使って、売り買いしているからなのです。第2次世界大戦以降、アメリカが軍事力を背景に確立した通貨のしくみや、原則のおかげで国家破綻を免れているのです。それに対して、ヨーロッパのユーロは、アメリカと一蓮托生ではアメリカ経済がおかしくなった時に、ドルで持っている財産が紙クズになってしまう危険性があるので、別の通貨でいこうという発想から生まれたものです。ある意味では、リスクを分散しようという意味も込められているのです。

▼おバカ編集部
フセイン大統領は、石油の取引にドルよりもユーロでの決済を望んだんですよね?

▼浜田先生
フセイン大統領がユーロでの取引を望んだのは、利益の為というよりは、アメリカへの不満からなんですよ。もともとは、イラクも石油の代金をドルで受け取っていたのですが、アメリカへの反発を高め、2000年末からヨーロッパの統一通貨であるユーロで石油代金を受け取ると宣言したのです。ユーロとドルでは、ドルの方が歴史もあるし、通貨としてのパワーもだんぜん強かったにもかかわらずです。当初 、アメリカはユーロに変えると言われても、国内の経済レベルがバラバラのまま発生した通貨のユーロなんて、将来上手くいかなくなるだろうと思っていましたから、フセインの突然の行動を冷やかに受けとめ黙認しました。ところが、ユーロがどんどん強くなっていったのです。フセイン大統領は、石油取引をユーロ決済に変えることによって、資産を17%も増やすことになったのですよ。どの通貨で自分の資産を運用するかによって、大きくな違いが生じるということですよね。今回の戦争の結果、イラクの通貨がドルになれば、アメリカはイラクの石油を安心して自国通貨で買えることになります。

▼おバカ編集部
通貨の力が、国の力だったら、日本の円の価値をあげる必要がありますよね?

▼浜田先生
当然です!アメリカでもヨーロッパでも自国の通貨を強化するために、あらゆる知恵を絞って取り組んでいます。日本はその取り組みを軽視していますね。日本にとって必要なのは、アメリカ一辺倒にならず、臨機応変に欧州や中国、アジア諸国とも外交・金融政策で手を結ぶ柔軟性を持つことだと思います。対外関係を「ドル建て」で考える慣習がありましたが、今後は、円パワーアップのためにも、官民とも円を積極的に使って「円建て」による対外的な支援や、広報活動を行うようにして欲しいものですね。われわれの個人資産の運用、管理においても、リスク分散という発想はとても大切だと思います。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
国際通貨市場
1972年5月シカゴマーカンタイル取引所が国際通貨市場(IMM)を設立。取引所内の金融先物部門のこと。通貨先物が上場されており、毎週1回、商業部門・非商業部門・非報告部門ごとに公表されている。その状況を確認することにより、為替市場の相場観の傾きをおおむね知ることができる。

空売り
保有していない有価証券を先に売り、後で買い戻すこと。

ドル建て
ドルで支払いを済ませること。円をドルに交換して支払う意味。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
外資系の保険会社や証券会社などが日本に進出してドルの存在もより身近に感じるようになり、ドル建てだけでなく、ドルで貯蓄をする人も増えてきている。そんな時代背景の中、円の価値を日本国民が下げているとは思ってもいなかった。ただ、自国の通貨に対する不安がある限り、ドルや他国の通貨に頼るしかないのも現状。日本の国の建て直しのためにも、まずは、円という通貨の価値を上げることが必要なんですね。国の力と自国通貨が密接な関係になっているというのは、まさに目からウロコでした。

おバカ編集部・廣田美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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菅さんと小沢さん、あなたが首相になってほしいのは?

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