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お馬鹿編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
10月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、みんなちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~! おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第8回
りそな銀行【りそなぎんこう】

▼おバカ編集部
もう何年も銀行の倒産や経営不振が続いていますが、本来の銀行の役割りって何だったのですか?

▼浜田先生
銀行というのは預金者からお金を集めて、預かったお返しに利息を提供したり、預金者から預かったお金を中小企業や個人に融資をして利益を得るシステムだったんです。融資をした先の企業や個人が成功すれば、銀行にとっても利益に繋がって好循環をよぶわけですね。ですから、経済全体が右肩上がりで推移している時は、預金者も増え、高い配当や利息を提供できていたんですが、バブルがはじけて担保になっていた土地の値段が急落してしまい、銀行は不良債権をかかえるようになって責任を果せなくなってしまったんです。ニュースなどで騒がれている「公的資金導入」というのは、その本来の銀行の役割りを果たせなくなったということなのですよ。

▼おバカ編集部
今回、公的資金を導入された「りそな銀行」ってどんな銀行なのですか?

▼浜田先生
りそな銀行は、大和銀行とあさひ銀行が合併して出来た会社です。どちらの銀行も中小企業に強い銀行で、土地を担保に貸し出しをしていたのですが、バブルがはじけて、土地の値段が下がってしまい国際取引は8%、国内取引は4%と決められている自己資本比率が保てなくなってしまったのです。大和銀行もあさひ銀行も、もともと自己資本比率が低く、健全な銀行といえる状況ではなかったのです。公的資金導入も、りそな銀行になる以前から、大和銀行、あさひ銀行ともすでに受けているので今回が初めてのことではないのですよ。経営が上手くいかない銀行同士が合併して会社の規模だけは大きくなったのですが、本質的には何も変らなかったわけです。

▼おバカ編集部
エッ~!ダメな銀行同士が合併しても上手くいくわけないじゃないですか!どうして経営が上手くいってない銀行同士で合併したのですか?

▼浜田先生
大和銀行とあさひ銀行というのは、お得意様の性格がだいぶ違ったのですよ。だから、合併をしたら、お得意様も扱う資金も増えるし、システムやノウハウも共有できるので新しいビジネスにチャレンジできるチャンスが生まれると考えたわけですね。国際的な競争に打ち勝つためにも、国内での競争に勝つためにも、いろんな銀行がお互いに補完できるところ同士で合併して規模を大きくしているんです。

▼おバカ編集部
合併する相手の銀行は国が選ぶのですか?

▼浜田先生
いいえ、合併するパートナーは銀行同士で決めるんです。もちろん財務省や金融省に相談をしますが、お互いにこの銀行となら上手くいくというのがあるんですよ。お見合いして結婚して一緒に暮らすというプロセスに似ているかもしれません。一緒になる前は、お互いに悪い所を見せないところも似ていますね(笑)。不良債権をたくさん抱えていても、自分の銀行は順調だと言うわけです。お互い腹の探りあいをしながら合併の話を進めていくわけですよ。

▼おばか編集部
合併してできた「りそな銀行」はどんな体制だったのですか?

▼浜田先生
りそな銀行は、りそなホールディングカンパニーという持ち株会社のもとにあって、通常の銀行の業務をりそな銀行、全体的な経営方針を決めるのが、りそな銀行の株を持っているりそなホールディングカンパニーで決めていたんです。ホールディングカンパニーのもとに、りそな銀行や奈良銀行など系列の会社がたくさんあるわけですね。要するに、りそなホールディングカンパニーというのは、りそな銀行の司令塔みたいなものです。

▼おバカ編集部
りそな銀行が、公的資金を導入しなくちゃいけなくなった大きな原因は何ですか?

▼浜田先生
今年の3月決算時に、自己資本比率が4%どころか3%を切っているというのが明らかになったんです。自己資本率の低下は、将来返ってくる税金を資産の中に組み入れられなくなったというのが大きな原因に挙げられます。私達の源泉徴収のようなシステムで、税金を多く払い過ぎると返ってくる「見做し課税(みなしかぜい)」というのが銀行にもあるのですよ。お金が返ってくると得をした気分になりますが、要するに先に税金を徴収して、払い過ぎていたら1年後に返すという制度です。少しでも手元に現金を置いておきたい銀行にとっては不利な制度で、今までは「見做し課税(みなしかぜい)」を銀行の自己資本の中にいれて考えるのが主流の考えだったんですが、会計監査が厳しくなり、今現在、銀行にある現金じゃないと認めないということになってしまったんです。

▼おバカ編集部
どうして今までOKだったものがダメになってしまったのですか?

▼浜田先生
監査法人の監査が甘いと言われ出してしまったんですよ。本当は債務超過に陥っているのに、会計監査会社を接待したり、賄賂を渡したりして査定を甘くした結果、株主が損をするというようなことがいろいろと起きてしまったのです。アメリカでもエンロンというエネルギー会社の大手が倒産したり、ワールドコムという通信会社が倒産して、会計監査法人の責任が問われだしたんです。会計監査会社の大手だったアーサーアンダーセンがエンロンの監査をしていたのですが、虚偽の会計監査報告を出して株主を騙していたということで倒産せざるを得なくなりました。そのような状況から、アメリカをグローバルスタンダードとして、日本でも会計監査を厳しくしようということになったわけです。りそな銀行を監査している企業も、曖昧になっていた見做し課税の認められる額を厳しく審査すると、自己資本比率というのは3%を切っていると判断したんです。

▼おバカ編集部
それはお金を預けている人達、不安になりますよねぇ?

▼浜田先生
当然ですね。預金者だけでなく取り引き先の人達も心配になります。そんな銀行にお金を預けたくないってことになって、取り付け騒ぎも起こりかねないわけですよ。そうならないために、国が健全な銀行に蘇えることができると判断した場合に、公的な資金を融資することになったんです。そのお金で、自己資本比率を上げて健全な銀行にするわけですね。りそな銀行は、公的資金導入のおかげで、2%近くまで下がっていた自己資本比率が12%になって、自己資本比率を10%くらいあげているんですよ。数字だけでみたら健全な銀行になるわけです。

▼おバカ編集部
経営が上手くいっていない銀行ばかりの中で、公的資金を導入してもらえる銀行ってすごくラッキーなんじゃないですか?

▼浜田先生
それは一概には言えないのですね。公的資金を入れてもらうってことは、銀行の経営がおかしいということを公にすることですからね。公的資金を導入しても改革が上手くいくという保証はありません。銀行の経営状態を公にするということは、銀行にとってはリスクが大きいのです。それだったら、公的資金を貰わず自分達で上手く経営を盛り返して、お客様の信頼を得たほうがいいという考えもあるんですよ。

▼おバカ編集部
公的資金導入の額は国が決めるのですか?

▼浜田先生
いいえ、銀行が申請します。自分達の銀行を建て直すためには、幾ら必要ですというのを申し出て、金融監督庁がそれを審査します。当然、国も銀行のために出せるお金が無制限にあるわけではなく、公的資金導入のための予算として15兆円確保してあったのですが、りそな銀行への導入で2兆円使ったので、残りの予算は13兆円です。もちろん、申請すればどこの銀行でも公的資金を導入してもらえるわけではなくて、建て直しが難しいだろうと判断した銀行には貸し出しません。

▼おバカ編集部
でも、りそな銀行って何度も公的資金をもらっているのに成果が出せていないのですよね。それなのに、また2兆円もお金を融資するって、やっぱり少し甘いんじゃないですか?

▼浜田先生
その通りですね。りそな銀行には合併する前から考えると、私達の税金を3度も貸しているわけです。最初に貸している10兆円も返してもらってないのに、また2兆円渡そうとしているんですから、当然そういう声も多いです。さすがに国も、また同じことを繰り返されては困るので、今回はしっかりと監視をするために国有化という方法を取ったのです。新しいビジネスをしっかり考えて、儲かるような銀行になってもらわないと公的資金を投入した意味がないですからね。国が3分の2の株を持って、株主に成り代わって、銀行が健全化できるプログラムを実行できるか見届けようということになったわけです。3分の2の株を持つということは、株主総会で議決権をもつ事ができるので、人事や新しい商品の開発にも国が介入できるということですからね。

▼おバカ編集部
古い体質の銀行をそう簡単に変えられますかねぇ?

▼浜田先生
今回は本腰を入れているようですよ。今までの経営陣を解雇して新しい経営陣に入れ替えたり、上手くいっている企業のトップなどを社外取締り役として招いたり、従業員の数やお給料を減らしたり究極な改革を始めたわけです。今までの銀行の体質から考えると斬新な改革ともいえます。いつまでも今までのような他力本願ではダメですからね。今は、りそな銀行だけではなく、日本の銀行全体の頑張り時なんですよ。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
公的資金
金融システムに対する内外からの信認の回復、金融システムの安定化を図るため、銀行が政府に申請し注入される資本。

見做し課税(みなしかぜい)
銀行が国に支払った税金が、本来支払うべき金額より多く払っている場合にもどってくるお金のこと。

金融監督庁
金融業界の利益を重視したきた大蔵省の性格を改め、大蔵省から分離・独立して金融監督庁が誕生した。市場のルールに従って、金融機関が営業活動をしてるかを監督、行政指導する機関。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
本当に銀行の体制にガッカリさせられますね。今回のりそな銀行の公的資金の導入も本当に返してもらえるのか心配になります。銀行の合併が続いていますが、大きな規模ばかりの銀行になってしまって、中小企業や個人経営者が利用しづらい銀行になることだけは避けて頂きたいです。皆が皆、同じような対策を練るのではなく、各銀行が自分のところでしかできないオリジナルなサービス・商品を生み出して、いろいろなタイプの銀行ができれば、利用する私達も活用しやすくなるのではないでしょうか。取りあえず、今は活用のしやすさなんて贅沢を言わないので、安心して預金できる銀行の体制作りをお願いしたいです。

おバカ編集部 廣田美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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菅さんと小沢さん、あなたが首相になってほしいのは?

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