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おバカ編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
2月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、皆ちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~!おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第12回
1円企業【いちえんきぎょう】

▼おバカ編集部
この間、雑誌を見ていたら「1円で会社を立ち上げました!」というインタビューが出ていたのですが、1円で会社って出来るのですか?

▼浜田先生
資本金免除の特例制度を利用した起業ですね。

▼おバカ編集部
資本金免除の特例制度ってなんですか?

▼浜田先生
日本経済を活性化させることを目的に、今年の2月から実施されている法案です。皆さんもご存知のように、バブル崩壊後の日本企業は、起業よりも倒産件数が圧倒的に増えてしまいました。政府とすれば、このままでは、いつまで経っても経済が活発化しないと危機感を抱いたようです。そこで、新しく事業を起こす人を支援するために、経済産業省が1円でも会社を起こせるという「中小企業挑戦支援法」を設けたわけです。

▼おバカ編集部
従来の規則では、有限会社なら300万円、株式会社なら1000万円の資本金が必要でしたよね。これを免除してもらえるのですか?

▼浜田先生
そうです。もちろん、しっかりとしたビジネスプランがあることが大前提ですがね。その上で、創業者のやる気や人柄も判断基準に入ります。この制度では、今までのように資本金があって役員構成が書類上整っていれば、誰でも会社を起こせるというわけではないんですよ。

▼おバカ編集部
人柄やビジネスプランの良し悪しというのは、どのように判断するのですか?

▼浜田先生
経済産業省の人達が、本人に会って話を聞いて判断します。

▼おバカ編集部
じゃあ、今、会社を起こしている人の方が、実績もあるし、人と話をするのも得意だろうから有利じゃないですか?

▼浜田先生
そういう考えも確かにありますね。でも、基本的には、新しく会社を設立したい人達が対象なので、現在、事業主である人には適用されない仕組みになっています。ただ、抜け道もあります。すでに事業主であっても、その人の身内や親しい人に創業者になってもらい、自分は社長になることが出来るからです。創業者と社長を兼任する場合と、創業者はAさん、社長はBさんと別になる場合もあるということです。いわば、創業者支援法と言えますよね。

▼おバカ編集部
でも、いくらやる気があって人柄が良くても、簡単に会社を設立させていいのですか? 消費者が被害を受けたりすることが起きそうな気がするのですが…。

▼浜田先生
ごもっとも!今までは資本金というのを信用して、取引をしている部分がありましたが、その資本金がないわけですからね。会社を設立したのはいいけれど、すぐに倒産してしまったり、会社のサービスが信用できなかったりというような事態がおこりかねないですよね。そういう事態を避けるために、新会社には営業年度終了後3ヶ月以内に貸借対照表、損益計算表など財務諸表を提出する義務が課せられています。経済産業省が、新会社の収支に関する決済報告書をきちんと受理して、誰でも見ることが出来るようにして、いい加減なビジネスに歯止めをかけようと予防線をはっているのですね。

▼おバカ編集部
みんなで監視するわけですね。

▼浜田先生
そうです。この1円で設立した会社は、従来の制度を適用した会社とは違い、正式には「確認有限会社」や、「確認株式会社」と言うのですよ。みんなが確認できるという意味です。それからもうひとつ忘れてならないのは、この制度は5年間の時限立法という点です。設立して5年以内に、申請したのが有限会社なら300万円、株式会社なら1000万円まで資本金が届かなかったら、合資会社などに形態を変えるか解散するかを迫られることになります。いくら他人に迷惑をかけなくても、利益の上がらない会社では意味がありませんからね。

▼おバカ編集部
今現在、この制度に申請した会社はいくつぐらいあるのですか?

▼浜田先生
1600社ぐらいです。そのうち実際に会社として許可されたのは238社(11月7日現在)となっています。この数が多いか少ないかは別として、潜在的な創業者の意見を聞いてみると、「やっぱり1円でできるのは嬉しいけど、5年で増資できる自信はない」という声が多いようです。そういう声が多いので、5年後の増資という条件を一切なくしてしまおうという意見もあるのです。アメリカには最低資本金規制はありませんから、わが国の法務省も商法改正の検討を始めたようです。もし、そうなれば増資や財務諸表の届け出義務はなくなりますね。実際は、なかなか成立しない提案だと思いますが。

▼おバカ編集部
この制度を利用して起業するためには、具体的にはどのような手続きをとればいいんですか?

▼浜田先生
まずは、1円でも、100万円でも、自分が設定した最低資本金を持って法務局の登記所に行きます。そこで、創業者は誰なのか、役員構成はどうなっているのか、といった登録をします。その次に、先程お話ししたように経済産業省、地方の場合は経済産業局に行って、ビジネスプラン等の認定を受けます。最近では、この手続きを代行する会計事務所やビジネスコンサルタント、さらには1円で起業するためのセミナーやビデオなどが出回っているらしいですよ。解説ビデオは、一式20万円とか高価なものもあるようです(笑)。

▼おバカ編集部
この制度で成功した会社はあるのですか?

▼浜田先生
残念ながらまだ聞かないですね。成功した企業というのが出てくるのは、早くても2~3年先になるでしょうね。それに、1円というのはあくまでもシンボルなので、実際に会社を運営するには、家賃や人件費をはじめとしたコストがかかりますよね。登録免許税だけでも、株式会社なら15万円、有限会社なら6万円かかります。だから、1円企業というと政府のキャッチコピーとしては魅力的かもしれませんが、これだけ厳しい経済状況の中で簡単に会社が上手くいくほど甘くないですよ。

▼おバカ編集部
本当に優れたアイデアだったら、何も資本金1円で設立しなくても、投資してくれる企業や個人が現れてもいいですものね。

▼浜田先生
そのとおりですね。それに結局、新しい事業主を支援すると言いながらも、国は1円も負担していないのです。補助金を出すわけでもなく、税金を軽減しているわけでもなく、資本金を5年間だけ免除しているだけですからね。ただ、創業者の責任が軽くなったことは事実です。従来なら会社が上手くいかなかった場合、銀行や投資家に負債を返さなければならなかったのですからね。この仕組みを上手く利用できれば、新しいビジネスを成立させられる可能性はちゃんとあるのですよ!

▼おバカ編集部
結局、ビジネスの中身が大事ということですね。

▼浜田先生
そうです!残念ながら、日本の起業率はアメリカなどと比べると、まだまだ低いのが現状です。この制度で、日本でも優れたアイデアを持った人が、奮起するきっかけになるかもしれません。その結果、低迷し続けている日本経済が上昇してくれたら言うこと無しですね!「政府のパフォーマンスだった」で終わらないことを願っています。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
中小企業挑戦支援法
平成15年2月1日から施行され、正式名称は、「中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律」。株式会社、有限会社の最低資本金等の商法上の規制に関する特例。

財務諸表
会社の経営成績や財政状況をまとめ、株主や債権者に知らせたり、会社内の経営管理のために、一定の基準に基づいて作成されるのが財務諸表です。株式会社では、商法の規定に基づいてこれらの4つの財務諸表を「定時株主総会」に提出することになっています。商法ではこれら4つの財務諸表を「計算書類」と呼び、作成方法や様式は、法務省令によって一定の規則で定められています。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
やっぱり起業をするというのは、そんなに甘いことではないようですね。日本でもベンチャー企業が増え、アイデアの重要性がとわれてきましたが、これからは特にアイデアがないと通用しない時代になりそうです。若い人達にもチャンスがもらえるということでは、この1円起業というのは意味があるのかもしれませんが、本当に起業される方を応援するなら、資本金の援助や税金の免除など、もう少し現実的な支援をする方が心強いのではと感じました。この確認株式会社で成功をおさめたという方が1日も早く出るのを願います。

おバカ編集部 廣田 美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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