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おバカ編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
3月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、皆ちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~!おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第13回
海外支援【かいがいしえん】

▼おバカ編集部
最近、海外支援という言葉をよく耳にします。日本の景気だって回復していないのに、いったい海外支援にどのくらい使っているのですか?

▼浜田先生
海外支援の為の政府開発援助、いわゆるODAとして日本は毎年、1兆円以上のお金を使ってきました。

▼おバカ編集部
えっ~!!!そんなに大金を使っているのですか!
大体、ODAってどんな援助なのですか?

▼浜田先生
ODAにもいろいろ種類があって、ただあげるだけの無償援助と、貸付の有償援助に分かれています。ただ、現在の日本の有償援助は超低金利です。年利数%で償還期間が33年。お金を借りる側からすれば、極めて好条件です。それでも、まったく返さない国もあるのですが…(苦笑)。その他の援助として、日本のエンジニアや、農業や教育の専門家が発展途上国に技術指導に行く技術援助というのもあります。もちろん費用は日本持ちです。

▼おバカ編集部
そっ、そんなぁ~!!
日本だって年金の制度が成り立たなくなってきているくらい財政困難なのに、他の国に援助している余裕ないですよね?

▼浜田先生
確かに、そういう意見が多いですね。日本の経済が低迷し、「日本国内が大変なのに、海外援助の余裕なんかないだろう!」とか、「そんな余裕があるなら日本のために、お金を使って欲しい!」という同じような批判が多くあり、ODAの予算は2000年以降減ってきています。昨年のODAは8169億円、以前は1兆円も援助していたことを考えたら、これでも減っているのですよ。

▼おバカ編集部
減ってきているって言ったって、8169億円ですよ!
何にそんな大金を使ったのですか?!

▼浜田先生
昨年のODAのほとんどは、国際機関への拠出金や国際協力銀行への出資、技術協力に使われました。例年と違うのはイラク復興支援です。これは緊急の無償支援という扱いで、当初の予算より95億円増えて317億円になっています。それに加えて、紛争を予防したり、平和を構築したりする無償支援を45億円増やして165億円になりました。また、イラクでは日本の外交官2人が犠牲になったことを受け、同じようなことが再発しないように、今後、各国の日本大使館警備にODAから17億円上乗せすることも決定していています。

▼おバカ編集部
なんか、頭がクラクラしてくる金額ですね…。
大使館の警備などに使うのは分かりますが、どうしてこんなに大金を海外に援助しなくてはいけなくなってしまったのですか?

▼浜田先生
高度経済成長を経た日本は、海外援助をすることが、日本の国際的な地位を高めると考えたのです。特に、国連の常任理事国(アメリカ、中国、フランス、ロシア、イギリス)と対等をなすという意味で、日本も将来は国連の常任理事国の仲間入りし、世界の大国になりたいという希望があったのです。発展途上国に対する、経済援助をしていれば、各国から評価され安保理の5大国への仲間入りが出来ると考え、必要以上にお金を出してきた経緯があるのですよ。しかし、20年も30年も大金を出してきたのに、全く評価されないし、認められていない。

▼おバカ編集部
泣きたくなってきました…。
だいたい海外の国は、日本の支援に対してどう思っているのですか?

▼浜田先生
日本のような経済大国が援助をするのは当然と思われているようですね。アメリカなどは、日本をアメリカが守ってやっているのだからそれくらい当然、日本はアメリカの貯金通帳くらいに思っていますよ。過去20年間ぐらいの歴史を見ても、日本は世界で最も多くの海外援助をしてきています。アメリカやヨーロッパの国と比べても、日本の海外援助ははるかに多いです。

▼おバカ編集部
キャ~!!それじゃあ、たかられているだけじゃないですか!

▼浜田先生
ほんとですね。以前、「たかられる大国日本」という本を書いたのですが、日本は本当にたかられやすい。その主な原因として日本は石油をはじめ、食料を海外に依存しているから、経済を安定的発展させていくには、外国に良く思ってもらわないとやっていけないだろうという思いが強くて、諸外国に対して頭があがらないのですよ。

▼おバカへ編集部
それにしても莫大な支援金ですよね。他の先進国はどのくらい援助しているのですか?

▼浜田先生
海外援助は、原則GDPに応じた分担になっています。たとえば、国連の分担金を決める時はどうやって決めるかというと、加盟している国々のGDP比率に応じて分担金を出すことになっています。ただし、上限が決まっていて、アメリカが22%、日本が20%、ヨーロッパの国々はぐっと下がって本当に数%です。ロシア、中国は1%ぐらいしか払ってないのですよ。本来決められた、国際協力という枠組みから言うと日本だけが突出して、たくさん負担を強いられていますよね。

▼おバカ編集部
日本はいじめられっ子なのですね。それに莫大なお金を援助しているのに、援助している国からあまり感謝されていない気がしますが?

▼浜田先生
そうですね。日本が莫大な援助をしているのに、受け入れる側の国々で十分理解されていないのが現状です。一番極端な例が中国ですね。中国は、これまで日本の海外援助を受け取る国で、常に1位か2位でした。中国には戦争の償いの意味もあって、重点的に日本の援助が提供されています。中国に関しては、この20年間で日本は6兆円を越える有償無償の援助をしているのですよ。中国はそのお金を使って、北京や上海に鉄道を作ったり、病院を作ったり、学校を作ったりと、あらゆるインフラの整備を日本の援助でやってきたのですが、中国は国民に対して日本からの支援のことをまったく広報活動していないわけです。莫大な援助をしている中国でさえそうですから、他のアフリカやアジアの国でも、「これは日本からの援助です。」と国内的にPRしている国はありませんね。

▼おバカ編集部
えっ~!なんでそんなにお人好しなのですか!!
私だったら、日本の援助したお金で作った道路なら日本の国旗くらい書いてきますよ!

▼浜田先生
海外支援金はビジネスではないから、PRや宣伝ということに対しての発想がもとから弱いのですよ。政府間でも、あまり露骨に介入するのもどうかなという抑制が働いているのでしょうね。日本人の性格というか、謙虚な部分で、お金をあげるということに対して、恩着せがましいのはナンセンスという独特の考え方があるわけですよ。お金のことをとやかく言うのは、品位を下げるという、国民性が災いしている感じですね。

▼おバカ編集部
そんなぁ~。都合よく使われているだけじゃないですか!
せめて日本からの援助金は、日本に少しでも還元する形はとられているのですか?

▼浜田先生
以前は、日本が援助したお金なので「日本の物を買って下さい。日本の商社を使って下さい。」というのが暗黙の条件だったわけですが、日本の援助は条件付きだと、いろいろな国からバッシングを受け始めたのですよ。本音の部分では、援助される国に対して、日本社以外の企業が商品やサービスを提供出来なくなる危機感があったわけです。それで、援助の条件付きは良くないと言い出したわけですね。発展途上国への援助で、各国の評価を上げたいと思っていた日本政府は、それでは、もともこもないので、お金は出すけれども、口は出しませんという援助に変えたわけです。アメリカやヨーロッパの国々から見たら、発展途上国は、もともと自分達の植民地などが多いわけですから、自分達の国の商品やサービスが日本のお金で提供できるという実に都合がいい形になったわけです。本当はこの時に、もっと「Give and Take」でいかないといけなかったのですが…。

▼おバカ編集部
ちょっと話が反れますが、それだけのことをしてあげて、どうして日本は常任理事国に入れないのですか!

▼浜田先生
まず、常任理事国5大国は軍事力と核を持っています。相手が言うことを聞かなかったら、力づくで相手をギャフンと言わせるぐらいの経済力や政治力・軍事力を持っているわけです。しかも、5大国は第二次世界大戦で、戦争に勝った国なのですよ。国際連合の憲章の中には、敵国条項が未だにあるのです。日本・ドイツ・イタリアは、戦争に負けた国で、戦争を引き起こした悪い国だと思われています。そのため、経済援助や技術援助で何とか日本は支持を得ようと考えたわけですね。今となってはどこの国も、先進国になった日本に力を持たせたくないから当然、常任理事国なんかに入れたくないですよね。

▼おバカ編集部
本当に日本って都合良く使われていますね…。
他に何か良い支援の方法はないのですか?

▼浜田先生
日本は、高齢化社会で元気なお年よりも多いです。60歳で定年退職した人でも、まだまだ元気で技術を持っている人が本当に多いと思います。ただ、まだ働きたいと思っていても、不景気で再就職の先が見つからない場合がかなりあります。そういう方達が、海外に出かけて技術指導をしてくれたら、援助としてもとても有効だし、日本にとっても良いですよね。今後の日本の援助のやり方は、経済の運営とか、教育の制度だとか、研究開発などで途上国のニーズに応じてノウハウを提供する方向にギアチェンジすべきだと思います。

▼おバカ編集部
雇用の問題が少しでも解消されるし、それなら日本にとってもいいですね!

▼浜田先生
そうですね。それに、よく言われることなのですが、援助をもらう側がいつまでも援助してもらえると思っていると、自分達で努力しようという意識が生まれないのですよ。いつまでも助けてもらえると思っていたら、自分達で工夫して生み出そうとする人が出てこないのです。立ち上げに必要なお金を部分的に援助して、残り半分は自分達で工夫して集めてもらうなどして、自分達で何とかすることを考えてもらわないといけないと思います。最終的には援助がなくても成り立つ国になるように、ノウハウを指導するという形にしていかないと、いつまでも日本が援助できるとは限らないですからね。本当に相手の国のことを考えたら、多額のお金を渡せばいいという問題ではないと思いますね。

▼おバカ編集部
そうですよ!発展途上国から先進国になってもらって、財政の苦しい日本を助けて欲しいですよね。

▼浜田先生
とにかく国内も緊縮財政なわけですから、海外援助の見直しが必要です。今までのお金だけの援助で、橋を作って終わり、コンピューターセンターを作って終わりでは駄目なのですよ。それに、日本の国民に向けても、こんな援助をしていますともっとPRしないといけませんね。なんと言っても、我々の税金で海外援助しているわけですからね。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
ODA
政府開発援助(Official Development Assistance)。先進国政府機関による開発途上国や国際機関への援助のことで、以下の3要件を満たすもの。
1・政府ないし政府の実施機関によって供与されるもの。
2・開発途上国の経済開発や福祉の向上が目的。
3・供与条件が開発途上国にとって重い負担にならないこと。
(グラント・エレメントが25%以上であること)

グラント・エレメント
貸し付けの度合いを表わす数値で、無償資金協力(無償で相手国政府に供与するもの)を100%、市中銀行と同じ金利で貸し付けるものを0%として計算されたもの。
グラント・エレメントが低くなると、開発途上国側の負担が重くなることになります。

GDP
国内総生産(Gross Domestic Product)。その国の中での一年間の経済活動により生み出された財とサービスの合計。国内で算出された所得であるならば、国民・外国人をとわない。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
経済成長を遂げて、先進国世界と呼ばれるようになった現在でも、世界の国において日本
の地位が、まだまだ低いのを思いしらされるお話でした。日本は、援助してもらう立場か
ら、援助をする立場になりましたが、援助の仕方を間違えて今日まできてしまったようで
す。以前、先生にお伺いしたように、現在の日本の財政はガタガタで、年金さえもらえるかどうか分からない現状です。海外支援のあり方というのを早急に検討して、日本にとっても、発展途上国にとっても有効的な支援方法に変えていって頂きたいです。

おバカ編集部 廣田美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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