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おバカ編集部HYPER 浜田和幸先生(経済学者)に日本経済&世界情勢を学ぶ
5月20日 update

公定歩合、ペイオフ、デフレ・・・・。テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。でも、皆ちゃんと意味わかってる?今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。浜田先生~!おバカ編集部に、愛のご講義を!



- 本日の課題 - 第15回
上場【じょうじょう】

▼おバカ編集部
少し前まで、テレビや新聞などで企業の「上場」のニュースが取り上げられることが多かったのですが、そもそも上場ってどういうことなのですか?

▼浜田先生
株式を公開することを上場といいます。証券取引所で株を扱ってもらえるようになるということですね。

▼おバカ編集部
どんな株でも証券取引所で扱ってくれるのではないのですか?

▼浜田先生
いいえ違います。証券取引所で株を扱ってもらうには厳しい審査があるのですよ。「東証1部」や「東証2部」、証券取引所では扱っていないけれど、証券会社の店頭で売り買い出来る、東証のマザーズや、大証のヘラクレスのような「店頭公開」など、証券取引所の中でも市場が分けられています。

▼おバカ編集部
東証とか、大証ってなんですか?

▼浜田先生
「東京証券取引所」を略して東証、「大阪証券取引所」の略が大証です。証券取引所は、東証が一番大きくて、全体の8割~9割の取引を占めています。その次に大きい市場が大証です。名古屋や福岡なども含めて、現在6箇所に証券取引所があります。

▼おバカ編集部
そうなのですね!
じゃあ、1部とか2部ってなんですか?

▼浜田先生
1部というのは、資本金がしっかりしていて、経営も着実で、立派な経営をしているので、一般の投資家がその企業の株を買っても間違いがないというお墨付きのついた株の市場です。新聞やニュースなどで、「東証一部に上場!」というのを目にしたことがあるでしょ。1部は、規模が大きく、世の中に流通している数も多いわけですね。2部というのは、これからという株です。
株の時価総額が、500億~1000億ぐらいの株の価値がある会社というのが東証1部。東証2部の場合は、だいたい10億~50億ぐらいの間です。一般の投資家が、株を買っても心配ないように証券取引所で審査をしているわけですね。

▼おバカ編集部
証券取引取引所って国の機関なのですか?

▼浜田先生
いいえ、証券会社がお金を出し合って証券取引所を作っているのですよ。株の売買をする際に、共通の取引所がないと不便ですからね。以前は、東京や大阪を中心に新潟や広島にも証券取引所があったのですが、景気が悪くなってかなり閉鎖してしまいました。

▼おバカ編集部
そもそも、企業にとって上場するメリットって何なのですか?

▼浜田先生
企業にとっての一番のメリットは、幅広く資金を集めることが出来ることです。もちろん、それだけでなく、上場するということは社会的な評価に繋がるので、社員のモチベーションや、社内全体の雰囲気が上がるという大きなメリットも考えられます。後は、創業者利益も大きいですね。創立者は、当然、会社の株を持っていますから、上場すると一夜にして大金持ちになるケースも多いわけですよ。

▼おバカ編集部
幅広く資金を集められるというのは、企業にとって嬉しいですよね。
上場の審査に、国の機関はまったく関わらないのですか?

▼浜田先生
いえいえ、証券会社が推薦し、証券取引所が承認するのですが、そのプロセスに問題がないかどうかを金融監督庁が監督するのです。先程も少し話しましたが、きちんとした業務内容なのか、企業の将来性があるのかどうか、経営者の人柄はどうか、などを調べるわけですね。上場したいと思っているエリアを決め、東京なら、東証の1部なのか、2部なのかを決めて申請するわけです。もちろん、申請するにも前提条件があり、会社の規模や、会社の時価総額がみられるので、1部に申請するか、2部に申請するのかを企業側が判断して申請するわけです。通常は、2部から入って1部に上がっていくパターンが多いです。

▼おバカ編集部
1部や2部に上場するのは大変ということですね。
うちの会社のようなベンチャー企業では難しいのでしょうか?

▼浜田先生
これから企業を起こそうとしている人や、ベンチャー企業などは、そう簡単に東証1部・2部に入ることは出来ませんが、立ち上げたばかりの企業だって急激に伸びる可能性を秘めているわけですから、そういう企業の株を、東証のマザーズ、大証のヘラクレスと言われる店頭公開の株として扱っているのです。

▼おバカ編集部
ジャスダックやマザーズ、ヘラクレスに入れたら上場したと言ってもいいのですか?

▼浜田先生
はい。株式を公開しているのですから立派な上場です。会社を立ち上げる場合、家族や知り合いからお金を集めて、会社を起こすケースが多く、その段階では、株の一般的な流通は行われていないので、情報の公開を求められません。でも、ジャスダックやマザーズで株を扱ってもらうようになると、株を一般的に流通させることになるので、情報公開が必要になるわけですからね。立派な上場ですよ。

▼おバカ編集部
でも、今は景気が良くないから、投資家に株を買ってもらって集まる資金をあてにできる企業なんてないですよね?

▼浜田先生
いいえ、とんでもないですよ!昨年9月半ばから今年の3月半ばまでの半年間に81社が新規上場を果たしています。最近世の中を注目させた、新生銀行の再上場をご存知ないですか?5年ほど前に破綻した日本長期信用銀行が国有化された後、リップルウッドに買い取られたのですが、5年ほどの間に不良債権をほとんど処理して、東証一部に上場したというニュースです。

▼おバカ編集部
あっ、何かニュースで聞いたような・・・。
リップルウッドって何ですか?
長銀とどう関係があるのですか?

▼浜田先生
リップルウッドは、アメリカの投資会社です。長銀の持っていた債権を10億円で買い取ったのです。リップルウッドは、長銀の再生復活をアピールして、外国の投資家から1200億円を集め、合計で1210億円をもとでにして、長銀を新生銀行という新しい銀行に生まれ変わらせたのです。一度破綻してしまった銀行を、新しいアメリカスタイルの経営に切り替えて、今年の2月に再上場させたわけです。

▼おバカ編集部
それって凄いことなのですか?

▼浜田先生
銀行が一度破綻して、それが蘇るなんてこと、今までにありませんでしたからね。しかも、東証1部に再上場するなんてことは過去に例のないことなのですよ。既存の日本の銀行、東京三菱やみずほ銀行など、いろいろな銀行がありますが、どこの銀行と比べても財務体質が格段に良くなったのです。

▼おバカ編集部
なんで、そんなに評価される銀行になったのですか?

▼浜田先生
1210億円のお金を使って、社内の人員調整を行ったり、不良債権を処理したりして、従来の日本の経営スタイルでは考えられない手法で、財務体質を改善させ、今回の上場につなげたわけです。

▼おバカ編集部
不良債権を抱えた企業を買い取ってくれて、しかも復活させてくれるなんて、いい人達ですね!

▼浜田先生
それは一概には言えないのですよ。長銀はリップルウッドに売却する前に国有化していますから、約8兆円の国民の税金を投入しているのですよ。しかも、長銀の持っていた不良債権が、どのくらい悪いものか分からないから、買った時の値段より2割以上値段が下がった場合は、国が補填するという瑕疵担保特約を結んで長銀は買い取られたわけです。その瑕疵担保特約を使って、長銀を買い取ったリップルウッドは、日本企業およそ400社が持っていた不良債権を無理やり国に買い取らせたわけです。長銀が抱えていた不良債権を我々の税金を使って処理しているのですよ。それだけ有利にことが運べば、当然、財務体質は良くなりますよね。日本の他の銀行と比べても、格段と不良債権の比率が低くなったわけです。

▼おバカ編集部
ヒドイじゃないですかぁ~!
私達の税金を使ってお金儲けするなんて!

▼浜田先生
そうですよね。長銀がそれだけ良くなったのは、私達、国民の税金がたくさん入っているからという考えも出来ますよね。新生銀行は上場益が出ているのだから、国民の支援に対してのお礼として、キャピタルゲインに対する税金が国庫に入ってきて当然だと言う意見も出てきています。

▼おバカ編集部
当然ですよぉー!!
ちなみに今回の上場でどのくらいの利益が出たのですか?

▼浜田先生
今回の上場で3分の1の株を放出して、2000億の純利益を出しています。元手にした資金は1210億ですから、倍近いお金を稼いでいることになりますね。しかも、まだ3分2の株は持っていますから、値上りした株を全部売ったら1兆円ぐらいになると言われています。

▼おバカ編集部
キャー!!絶対お金返して欲しいです。
私達の税金分を返してもらうのは無理なのですか?

▼浜田先生
残念ながら難しいのですよ。リップルウッドも賢くてね、日本との間に租税条約が無い、オランダに投資組合を作っているのです。本来であれば、東京で上場したら1200億円ぐらい課税されて、日本の国庫に入るのですが、オランダとは租税条約がないので、日本にはいっさいお金が入ってこないのですよ。

▼おバカ編集部
国は大損することが分からなかったのですか?
まんまとお金を持っていかれて~!

▼浜田先生
国も分かっていましたよ。ただ、あれだけの不良債権を抱えていて、実態も分からない銀行を買い取るという企業が、日本にはなかったのです。そういう意味では、アメリカのリップルウッドはリスクを取ったわけですね。そして、リスクをいかにプラスにするかを考え、日本の政府との間に瑕疵担保特約という約束を結ばせたわけです。

▼おバカ編集部
でも、貸し担保条約みたいな契約を国と交わせると分かっていたら、日本の企業の出方も違ったのでは?

▼浜田先生
そうですね。そういう批判が確かにあります。

▼おバカ編集部
せめて、今回の新生銀行の再生を手本に、日本の企業や投資家によって、日本の銀行を復活させて欲しいですよね。

▼浜田先生
そうですね。従来の日本の経営手法と全く違うので、外資のハゲタカファンド的な批判的な受けとめ方をされている部分があるので、手本というには難色があるかもしれませんが、今まで日本の企業が踏み込めなかった部分に大胆に踏み込んでくれたという見方も出来ますからね。日本の企業のやる気のある方達に、是非、名乗りをあげて頂きたいですね。


Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生

1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。

→主な著書

浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。


知っツモ!WORD
マザーズ
時世代を担う高い成長可能性を有した企業に、直接金融による早期の資金調達の途を確保し、企業の一層の飛躍を促す市場として、東京証券取引所が開設している市場。

ヘラクレス
ベンチャー企業等新興企業をはじめ高い成長力が期待できる企業に上場による資金調達の機会を与え、また、投資者に多様な投資対象を提供するために大阪証券取引所に開設している市場。2002年12月16日にナスダックジャパンからヘラクレスへ改称。

金融監督庁
不良債権の処理に公的資金をつぎ込んだ住専問題など一連の金融・証券不祥事に絡む、大蔵省の金融行政に対する批判から、財政・金融を分離し、市場の自己責任に基づいた、事後チェック重視型の金融行政への移行を目的として、97年6月の「金融監督庁設置法・同関係法整備法」の成立で設置が決まり、98年6月22日に発足。




おバカ編集部の目からウロコ
-編集後記-
新生銀行の再上場のお話を伺っても、以前より先生から伺っているビジネスアイディアの必要性を痛感しました。ただ、新しい芽を育てていこうという、マザーズやヘラクレスのような市場が出来てきていることを考えると、少しずつ日本の企業体質が改善されてきているように感じます。全国的な展開をしている「ブックオフ」の東証2部への上場を含め、今年の2月、3月は株の公開ラッシュだと伺いました。企業の経営体質が少しずつ変化しているように、私達に一般の投資家としての意識が生まれることも、景気回復に大きく繋がるのではないかと感じました。

おバカ編集部 廣田美千代



これまで学んだこと
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」


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