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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第1章

2007年平成19年)6月1日金曜日

北京オリンピック 【ペキンオリンピック】

▼おバカ編集部
浜田先生!お久しぶりです。
しばらくお勉強をお休みしていたので、おバカ度がだいぶ増していると思いますが、また、経済や世界情勢について、いろいろ教えてくださーい。どうぞ宜しくお願いします。

早速ですが、最近、北京オリンピックの影響で、日本の鉄やステンレスが盗まれているってニュースを見たのですが、これってどういうことなのですか?

▼浜田先生
お久しぶりですね。お元気でしたか?
世界の情勢は常に動いているので、2年前の状況とは大きく異なってきていますよ。ちゃんと勉強していましたか?

さて、最近頻繁に報道されている鉄やステンレスの盗難事件についてですが、中国は今、来年の北京オリンピックや、2010年の上海万博、それ以外にも高層ビルやショッピング・モールなど、たいへんな建設ラッシュを迎えています。ご存知でしたか?
その為、建築に必要不可欠な資材である鉄を、世界中から買い集めたり、捨てられた車や家電を溶かして鉄の再利用をしているのです。今後も、建設予定の建物がまだまだたくさんあり、今、中国では深刻な鉄不足なのですよ。
高く売れないのが理由で、ほとんどリサイクルされていなかった鉄くずまで、鉄不足の中国なら高く買ってくれるということで、ズル賢い人たちが、鉄やステンレス、電線までも切り取って、中国に売りさばいているわけです。

▼おバカ編集部
そうだったのですね!
世界中の鉄を中国がかき集めているわけですね。

▼浜田先生
はい、そうです。象徴的な例で言うとアメリカでは、2001年にニューヨークとワシントンで同時多発テロという悲しい事件がありましたよね。崩壊したビルから、たくさんのガレキや鉄くずが発生したわけですが、実は世界貿易センタービルには、日本の新日鉄が作った鉄鋼がたくさん使われていたのです。日本の鉄鋼技術は、世界に自慢できる精度を誇っているのはご存知でしょう。崩壊した鉄くずを調べていくと、まだまだ再利用できることが分かったわけです。

「さぁ、復興に向けて力を合わせよう!」と立ち上がったところで、ガレキの山の処理に困ったニューヨーク市は、「これから鉄がたくさん必要になる中国に売ろう」と鉄くずの有効活用を考えたのですが、中国側は、「鉄が邪魔で困っているのはアメリカでしょ。タダなら引き取ってあげますよ」と、跳ね除けてきたんです。

▼おバカ編集部
う~ん、なかなか交渉上手ですね。
それで、アメリカはどうしたのですか?

▼浜田先生
アメリカとしては、莫大な量の鉄くずの処理に困っていたのは事実ですし、早く鉄くずを処理して、次のステップに進みたいと考えていましたから、輸送費は中国が持つこと、跡地に建つ新しいビルに中国企業が、フロアを借りて入ることを条件に、鉄くずを無料で中国に譲ることにしたのです。

▼おバカ編集部
なるほど~!お互いの利害が一致したというわけですね。

▼浜田先生
そうですね。それ以外にも、中国は古紙やいろいろな資源を、リサイクルという形で集めているんですよ。中国の有名な億万長者の女性は、古紙再生のビジネスで年収500億円も稼いだのですから。

▼おバカ編集部
ご、ごご500億!?
スゴイですね~!そういえば、今回の北京オリンピックは2008年8月8日、午後8時8分の開催で8が5つも並んでいますけど、これは中国の方ならではの縁起担ぎなのですかねぇ?

▼浜田先生
はい。中国人の数字の感覚で、「八」は末広がりで縁起が良く、富の象徴ということから、中国のオリンピック委員会がこの日時に決定しました。前回のアテネでは、金メダルの数がアメリカに負け世界2位だったので、今回は何が何でもアメリカを抜いて世界NO.1になりたい、オリンピックを成功させて世界の一員と認めてもらいたいと必死なのです。日本円にして4兆円も予算をとり、新しい施設を建設しているのですよ。

▼おバカ編集部
4兆円も!?そんなにお金をかけたら、赤字になってしまうのでは?

▼ 浜田先生
そんなことないですよ。ロサンゼルス・オリンピック開催以降、オリンピックは、商業主義が前面に出ていますからね。ちゃんと儲かるようになっています(笑)。
例えば、コカ・コーラやマクドナルドなどのスポンサー企業から集める多額のスポンサー料。オリンピックは全世界で放映されるので、機材にロゴをつけたり、CM放映をするなど、企業側から見ると、会社や製品をPRする格好のチャンスなわけです。

今回の北京オリンピックでは、アメリカのNBC放送が莫大な金額で独占放映権を獲得していますから、その宣伝効果に期待して、多数の企業が50億、60億もの広告料を中国に払っているのです。あとは、皆さんが買う観戦チケットも、大きな収入源です。それ以外にも、観光客の誘致など、4兆円を投入しても、充分な経済効果が見込めます。

▼おバカ編集部
なるほど。オリンピックの経済効果ってスゴイのですね。
もしかしたら、海外からオリンピック観戦に来られた観光客の方が、
「そうだ、日本に行こう!」なんて、考えたりしないですかね?
それって、日本の景気回復につながりますよね?

▼浜田先生
残念ながら、その可能性は少ないですね。中国は、パッケージツアーなどを組んで、観光客を囲い込もうと必死ですからね。
それに、今は、全体的に経済の流れが中国に中国に、という動きがあります。人口が13億人を超える中国では、ちょっとした商品でも売れれば莫大な金額になります。そういった経済力やマーケット力にたくさんの外国企業が目を付けています。

日本の資生堂だって、中国での売り上げが一番伸びているのですよ。
今、中国は急速な経済成長の最中にあって、中国の経済事情は大きく変わってきています。外国のマネをしながら、少しずつ力をつけてきたわけですね。

▼おバカ編集部
そういえば、最近は話題になったヘンテコな遊園地ありましたよね?
アメリカや日本のキャラクターばかりで驚きました~!

▼浜田先生
そうですね(笑)。アメリカや日本に行かなくても、国内でも充分楽しめますよ、と言うことなんでしょうね。日本も、戦後は外国のモノマネ商品で経済発展を遂げてきたわけですが、中国はこれに輪をかけて、映画やCDのコピー商品を安く売りまくり、経済発展を遂げているのです。

中国は文化大革命の混乱が収まって解放経済を進めるにあたって、外国の企業に安い労働力を利用してもらって収入を得る、という政策をとりはじめました。日本の1/10以下の人件費で人を雇えますから、日本企業も国内工場より、土地も人件費も安い中国の工場へ移行するようになったのです。産業の空洞化という現象ですね。日本の工場は相次いで閉鎖しました。

そんな中、中国はどんどん外貨を稼ぎ、少しずつ国が豊かになってきたわけです。当然、国が豊かになってくると安い賃金で雇われていた人たちも、自信をつけてきて、賃上げを要求するようになってきたのです。

▼おバカ編集部
そうなのですね。
じゃあ、中国の方は、みんなお金持ちになってきたってことですか?

▼浜田先生
いえいえ、残念ながら全体的には、まだまだ貧しいですね。
国家としては、毎年10%の経済成長を遂げていますが、なにせ中国は人口が13億人、実質は14億人以上と言われていますから、国が豊かになったとはいえ、一人当たりの生活水準は、とても低いのが現状です。一部には経済成長の波に乗って大もうけした富裕層もいますが、国内の貧富の差は非常に激しいものがあります。

▼おバカ編集部
だから、日本も多額のお金を援助しないといけないのですね。

▼浜田先生
う~ん、それは一概には言えないのですよ。実は、中国は世界一貿易黒字を溜め込んでいる国なのです。
外貨の保有量は1兆2千億ドル、これは日本やドイツなどの先進国を抜いて、国としては、世界で一番お金持ちということになります。
ただ、中国側は、まだまだ国民の8~9割は農村部で暮らす発展途上国だと言って、日本から援助を受けたり、貿易上中国が得をするよう通貨である人民元の交渉レートを制限することでバランスを取っているのです。

▼おバカ編集部
何だかズルくないですかぁ~!日本ってすごく損している気が・・・。
そもそも、歴史も長く、人口も多い中国が、どうしてこんなに発展が遅れてしまったのですか?


▼浜田先生
それはね、人口が多いからこそなんですよ。国土が広く地域によって言葉も違う、自己中心的な国民性もあって、なかなか統一的な政策がとれなかったのです。かつてフランスのナポレオン皇帝は、「眠れる獅子(中国)が目覚める時、世界は震撼させられるだろう」という予言を残していますが、今まさに国の発展と、来年の北京オリンピックのタイミングがピッタリと合い、中国の勢いは加速しています。
今まで国営だった企業がどんどん民営化し、上海や香港、そしてニューヨークなどの株式市場で上場を果たしています。株価はどんどん上がり、景気が上向きになっています。東京オリンピック頃の日本とよく似た現象が起きているわけです。
北京オリンピックの後も、かつての日本のように、さらなる経済成長を続けるか、もしくは、バブルがはじけて不景気になってしまうか、中国経済は大きなターニングポイントを迎えているといえるでしょう。

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
知っツモ WORD
上海万博
2010年に開催される上海世界博覧会。現在、アフリカ29カ国、南北アメリカ6カ国、欧州18カ国、アジア21カ国、オセアニア7カ国の計81か国と11の国際機構が参加を決定している。
文化大革命
中国で1960年代後半から1970年代前半まで続いた、権力闘争。共産党指導部内での権力が後退した毛沢東が、失った権力を再び取り戻すために仕掛けた大規模な権力奪還闘争である。
産業の空洞化
日本の企業がこぞって海外進出し、国内工場などを閉鎖する現象。ドーナツ化現象ともいう。失業率の増加、賃金の低下、購買力の低下など、さまざまな影響が懸念されている。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第35回 「メキシコ湾原油流出事故
【めきしこわんげんゆりゅうしゅつじこ】」
第34回 「2010年 参議院選挙【2010ねん さんぎいんせんきょ】」
第33回 「ギリシャ経済危機【ぎりしゃけいざいきき】」 第32回 「新党【しんとう】」
第31回 「高速道路無料化【こうそくどうろむりょうか】」 第30回 「外国人参政権【がいこくじんさんせいけん】」
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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