鼻がむずむずしてきました・・・

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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第5章

2007年平成19年)10月31日水曜日

裁判員制度【サイバンインセイド】

▼おバカ編集部
この間、ニュースで「裁判員制度」という言葉を耳にしたのですが、これって、一体どういう制度なのですか?

▼浜田先生
今、各地で裁判員制度の導入に向けた模擬裁判が行われていて、話題になっていますね。これは、私たち国民の中から選ばれた裁判員が裁判に参加する新しい制度のことで、2009年5月に開始される予定です。

▼おバカ編集部
私たちが裁判員になるということですか?
裁判員はどうやって選ばれるのですか?

▼浜田先生
はい。我々、国民が裁判員になるのですよ。選挙人名簿から60名の裁判員候補がアトランダムに選ばれ、裁判所に出頭して面接を受けます。最終的には、60名の中から6名に絞られた裁判員と、3名の裁判官とで裁判を行います。
海外でも、アメリカやイギリスは陪審制、フランスやドイツ、イタリアでは参審制といって、国民が裁判に参加する制度があります。実は、日本でも戦前に陪審制を導入していたのですよ。

▼おバカ編集部
そうなのですか!!
でも、なぜ、このような改革が必要なのですか?

▼浜田先生
今、日本の裁判は解決までに非常に時間がかかるという問題を抱えています。オウム真理教事件でも、もう10年以上も裁判を行っていますし、通常の裁判でも2、3年かかってしまうケースが多いのですよ。
これは、国内における裁判官の人数が非常に少ないことが原因の1つと言われています。アメリカでは、国民の1万人に1人、イギリスは1万5000人に1人の割合で裁判官がいるのに対し、日本は、国民の4万4千人に1人しかいないのです。海外と比べても日本の裁判官は非常に少ないと言えるでしょう。

▼おバカ編集部
そんなに違いがあるのですか!
毎日のように凶悪な事件が起きているのに・・・。

▼浜田先生
そうですね。今は、凶悪犯罪が多いだけではなく、世知辛い世の中になって、ちょっとしたことでもすぐに「訴えてやる!」という風潮になっていますからね。急増する起訴件数に対して裁判官の数が圧倒的に少ない為、裁判が順番待ちのような状況になっているのです。

どんな凶悪犯罪でも、時間が経てばどんどん風化してしまい、5年、10年と経つと、世間からほとんど忘れ去られてしまうのが現実です。また、被告人は判決が下るまでの間、拘置所生活を送るわけですが、10年経って、ようやく判決が下り「あなたは無罪です」と言われても、10年間という時間は戻ってきませんよね。

そういう様々な問題が起きており、1件1件の裁判をもっと迅速に進めなければいけないのです。その為、平成30年までに、法曹人口の数を2万人から5万人まで増加させるという動きもあります。今回の裁判員制度の導入によって、迅速な事件解決につなげたいと考えているのです。

▼おバカ編集部
でも、自分が裁判に参加するって、何だかピンとこないです。

▼浜田先生
そうですね。日本人にとって裁判所というのは、裁かれる場所というイメージが強いですから、自分が裁く側に立つというのはなかなか想像しにくいかもしれませんね。特に、裁判官は他人を裁く仕事ですから、身を正した厳格な人間でないといけないという印象を持ってしまいますよね。

実際、裁判官の人たちは、情報漏えいなどの危険性を避ける為、一般の人とあまり交友してはいけないという不分律もあるほどですよ。その為、世の中の動きに疎いという批判の声も上がっていて、今回の裁判員制度は、国民が持つ一般的な常識や良識を取り入れた裁判を行おうという目的もあるのです。

今、ニュースで大きく取り上げられている児童殺害事件などでも、国民のほとんどが犯人を極悪非道だと思っているのに、被告側の弁護士は、法の抜け道を使い、罪を正当化しようとしているでしょう。

▼おバカ編集部
本当ですよ!!
私は、子供が巻き込まれる事件は、絶対に許せません!
でも、法律の専門家でない私たちが判断すると、感情や個人的主観が入ってしまいすぎる可能性もありますよね。

▼浜田先生
そうですね。確かに、人間の感情はいろんな情報に左右されやすいですからね。被告人の容姿や演技に惑わされて、無罪にしてしまう、なんてこともあるかもしれません。

そういう可能性もあるので、合議制という制度が設けられているのですよ。例えば裁判員の6人全員が無罪、裁判官の3人全員が有罪というように、裁判員と裁判官が偏った判決を下した場合、無効になるという決まりになっています。

実際、アメリカでは弁護士の話術に言いくるめられて、真実を見出せなくなることもあるようです。その場合は、二審に持ち込み、陪審員は参加せず、専門家だけで裁判を進めるようになるはずです。

いろいろな危険性や問題を浮き彫りにする為に、現在、各地で模擬裁判を行い、制度導入に備えているわけですね。
裁判員の年齢層や、男女比のバランスなども、今後、検討されていくのではないでしょうか。

▼おバカ編集部
そうなのですね。
実際、私たちが参加する裁判は、どんな事件になるのですか?

▼浜田先生
主な事件は、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、危険運転致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、保護責任者遺棄致死罪などです。人を殺したり、他人に危害を加えたりという、事件性のある刑事裁判ですね。

▼おバカ編集部
凶悪犯罪ばかりじゃないですか~!民事裁判のような、もっと身近な問題に関わるのかと思っていました。
なぜ、こんな重要な裁判に国民を参加させるのですか?

▼浜田先生
裁判官は、日常的に色々な事件を見ていますから、どこか感覚がマヒしてしまっているところがある事は否めないですよね。「この事件なら、懲役○年でいいだろう」といった形で、裁判がパターン化している可能性もあります。

それに、法律の専門家だけの裁判で無期懲役という判決を下しても、10年ぐらいで仮出所するケースが多く、遺族や被害者側の「罪を軽視している」という感情も理解できなくないですからね。そこで国民の新鮮な感覚で、どの罪にはどのぐらいの罰が妥当なのかを、皆で協議するわけです。

▼おバカ編集部
でも、私たち国民が判決を下したことで、被告人や関係者から逆恨みや仕返しを受けたりしないのでしょうか?

▼浜田先生
そうですね、それは心配ですよね。そういう恐れを避けるために、被告人が知人や身内ではないか、利害関係がないかを面接で確認していくので、何か事情がある場合は、きちんと申告することが大切になりますね。

それに、忙しい方も多いですから、裁判のために1週間など長期に渡って時間をとれない人が出ることも予測されますよね。例えば、海外出張の予定があるとか、どうしても職場を離れられないポジションにいる人、子育てや介護などで自宅を開けられない人や、体調に心配がある人など・・・。それぞれの理由を申告し、それが裁判所から認められれば、裁判への参加を免除されるようになっています。

ただ、裁判員制度は国民の義務ですから、ただ面倒だとか、行きたくないという理由で虚偽の申告をすると、罰金が科せられてしまいます。

▼おバカ編集部
それなら、参加したい人が立候補するようにしたらどうですかね?

▼浜田先生
その意見に対しては議論が分かれるところですよね。確かに、立候補で裁判員を選出した方が効率は良いのですが、そうすると、それでお金儲けをしようとか、犯罪に発展する可能性もないとは言えません。裁判員になると日給が支給されますから時間的に余裕のある人たちからすると、お金目的で是非やりたいということになる恐れもあります。そうなると、裁判員の全員がお年寄りやフリーターの方ばかりということになりかねないですからね。

あるいは被告人側が裏金を回して、立候補させて無罪にしてもらおうなんてことを考える人がいるかもしれません。
そういう危険性も踏まえ、被選挙権を持つ国民の中からアトランダムに選出されるのです。法務省の予測では、6000人か7000人に1人の割合で、生涯の間で裁判員候補の通知が来るということです。

▼おバカ編集部
私にもそういった機会が訪れるかもしれないということですよね?もし通知が手元に届いたら、ぜひ参加したいです!

▼浜田先生
良い心がけですね!今回の裁判員制度の狙いは、犯罪への抑止力も見込まれていますから。「こういう事件を起こしたら、こういう罪に問われて、こういう罰を受けなければいけないのだ」という、国民一人一人に犯罪に対する意識付けをさせる機会になるので、犯罪の予防効果も期待できるでしょう。

▼おバカ編集部
そうですよね。子どもの頃って、未来は明るいものなのかなって思っていたのですが、最近はどんどん暗い世の中になっている気がします。環境も悪化する一方だし…。

▼浜田先生
そうですね。本来ならば、して良い事、してはいけない事が明確であるべきなのですが、法律の知識や、善悪の意識が国民一人ひとりに行き渡っておらず、平気で不法投棄をしたり、他人のプライバシーを侵害したりと、残念な事件が頻発していますね。

世の中の問題を、どこか他人事に感じ、なるべく関わらないようにしてしまっているのでしょう。非行やいじめだって、最初は小さな問題でも、それを見て見ぬふりをして避けているうちに、どんどん大きくなって、最終的には事件になってしまう。

今回の裁判員制度を導入することで、罪を裁くだけでなく何故こういう事件や問題が起こるのか、という根本的な原因を、多くの国民が考えるきっかけになることを期待します。


取材 : 皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
知っツモ WORD
選挙人名簿
選挙権を持つ成人男女の氏名を登録した名簿。3ヶ月以上、一定の市町村に住民基本台帳に記録されたものが、登録される。選挙時の投票用紙などは、この名簿を元に送付される。
三審制
裁判において、公正な判断がされなかった場合、合計3回までの真理を受けることが出来る。第二審を求めることを控訴、第三審を求めることを上告という。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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