鼻がむずむずしてきました・・・

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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第7章

2007年平成19年)12月25日火曜日

山田洋行【ヤマダヨウコウ】

▼おバカ編集部
最近、「山田洋行」の不祥事が連日報道されていますが、いったい何をしちゃったのですか?
この会社はどんな会社なのでしょう?

▼浜田先生
山田洋行は、海外から防衛機器などを輸入する代理店業を行っている中堅の防衛商社です。
実は、この会社、もともと不動産会社だったのですよ。戦後、焼け野原だった土地を真っ先に買い占め、都内の一等地にビルを建てたり、全国各地にゴルフ場やリゾート施設を作ったりして、大きくなってきました。

▼おバカ編集部
不動産業をやっていたのに、どうして防衛商社になったのですか?

▼浜田先生
不動産関係者の紹介で、後に山田洋行の専務となる宮﨑元伸氏と知り合い、「不動産もいいけれど、防衛産業も儲かるよ。」と持ちかけられ、防衛部門を立ち上げたのです。

▼おバカ編集部
不動産会社が防衛商社の事業も始めたわけですね。
でも、ノウハウや人脈もない、畑違いの世界で経営は成り立っていたのですか?

▼浜田先生
元専務の宮﨑さんは、防衛庁(当時)の出身だったので人脈があったのですよ。彼のおかげで山田洋行は、どんどん契約を取り、アメリカに子会社を作って、事業を拡大することが出来たのです。

宮崎さんのお陰で、山田洋行は急成長を遂げたのですが、バブル崩壊により土地の値段が下ってしまい、山田オーナーは、多額の不良債権を抱え込んでしまったのです。本業である不動産を第一優先に考える山田オーナーは、その損失を取り戻すために、経営が順調だった防衛部門を売り払おうと考えたのです。

しかし、それに対して宮﨑氏が大反発し、山田洋行から力のある部下たちも引き連れて独立し、「日本ミライズ」を立ち上げてしまったのです。独立後、宮﨑さんは、今まで山田洋行が結んでいたアメリカの大手防衛商社・GE社らとの代理店契約を、全て「日本ミライズ」との契約に結び直してしまったのですよ。

当然、山田オーナーは憤慨しますよね。現在、山田洋行と日本ミライズの間には7件もの訴訟が起こっているのです。

▼おバカ編集部
そうなのですね。でも、防衛部門を売り払うつもりだったのなら、怒る必要ないですよね?

▼浜田先生
そうですね。ただ、ここ4、5年、土地の値段が戻ってきていることもあり、山田オーナーは防衛部門を切り離さなくてもやっていけそうだと考えが揺らいでいたところだったのです。そんなタイミングでの独立だったので、「宮﨑さんのやっていることは営業妨害だ」と訴え、損害賠償請求を起こしたのですね。

▼おバカ編集部
手放すのがもったいなくなってしまったわけですね。
でも、そんなことでこんなに大騒ぎになってしまったのですか?

▼浜田先生
いえいえ、問題は、その裁判の中で、山田オーナーが、宮﨑さんと防衛省官僚との癒着疑惑を暴露したことからなのです。宮﨑さんは山田洋行時代、契約をとるために、官僚へ過度の接待をしていたのですよ。

山田洋行が持っていた全国のゴルフ場にタダ同然で接待して、有益な情報を集めたり、優位な立場にいられるようにお願いしていたのです。

なかでも、常習的に接待を受けていたのが、守屋前事務次官。彼は奥さんのゴルフ代や、娘の留学費用まで、家族ぐるみで接待を受けていましたから、これにマスコミが飛びつき、大きな問題となっているわけです。

▼おバカ編集部
山田オーナーにしたら、とんでもない相手を雇ってしまったわけですね?

▼浜田先生
いえいえ、山田オーナー自身も、元防衛庁長官の額賀さんや、久間さんを接待づけにしていましたから、同じ穴のムジナです。なんでも、娘さんの結婚式に100万円ずつ“お車代”を渡していたとか!もちろん国内での挙式ですよ。

▼おバカ編集部
渡す方も渡す方ですが、貰う方も貰う方ですよぉ~!

▼浜田先生
そうですね。しかも、今、山田洋行による防衛省への水増し請求が明らかになり、また大きな問題となっているのです。

山田洋行は、取引先である海外企業の見積書を偽造し、不当な金額を上乗せして、防衛庁に提出していたのですよ。

▼おバカ編集部
そんな巧妙な手口を使っていたのですか!
でも、それって、防衛省は気づかないのですか?

▼浜田先生
もちろん、防衛省にも調達本部というのがあって、見積書の金額が適正かどうかチェックする部署があります。ただ、防衛関連の装備品は、非常に数が多いため、調べきれないのが現状なのですよ。

過去の実績を元に、業者にランク付けを行い、Aランクの実績のある企業を中心に仕入れをしているのです。接待などで親しくしている山田洋行は、Aランクの評価を得ていましたから、調達本部も疑うことなく、山田洋行からの請求書は素通りだったわけです。

▼おバカ編集部
水増し請求して儲かったお金を使って、接待を繰り返していたわけですかぁ~!!

▼浜田先生
そうですね。本来ならば、こういった取引は複数の業者に競争させて、良い物を安く仕入れるのが普通の考え方なのですが、防衛産業の場合、“良い物なら、高くてもいい”という考えなのですよ。安くて品質の悪いものを買った結果、国を守れなければ意味がありませんからね。

守屋前事務次官は、山田洋行を指名取引していましたから、競争相手もいないので値段を下げる必要もなかったわけです。商社として、正当な利益を上乗せするのならいいのですが、山田洋行は、5割も水増して請求していましたから大問題です。

▼おバカ編集部
こんなスキャンダルを抱えてしまって、どうして山田洋行は倒産にならないのですか?

▼浜田先生
山田洋行はグループ企業だからです。本業の不動産は順調ですから、今回のようなスキャンダルに追われていても、会社としては安泰しているのですよ。

山田洋行の来年度の採用条件には、「アイデアがあり、ガッツがあり、人に好かれる人」なんて書いていますよ。まだまだ、会社として頑張っていこう!という意思の表れかもしれませんね。

▼おバカ編集部
本当に、それだけ見たらやる気のある企業ですよね。
防衛産業って馴染みがないですが、山田洋行だけがやっていることじゃない気がします・・・。

▼浜田先生
そうですね。特に、防衛産業というのは企業数が極めて少ないうえ、国の予算で成り立っていますから、三菱重工のような巨大な企業でない限り、中堅以下の防衛商社はみんな共存共栄のしているのです。

今は、山田洋行が批判されていますが、日本の防衛関連の商社は、どこも似たり寄ったりですね。その結果、必要以上に高価な物や、いらないものまで購入されているのです。

▼おバカ編集部
そんなぁ~!!
国の予算っていうことは、税金ですよね?
何とかならないのですか~!?

▼浜田先生
残念ながら、なかなか難しいのですよ。防衛産業は、専門的すぎて情報を持っている人が極端に少ないですし、一つの単価が何百億円もする物がザラですからね。物によっては、1千億円といった想像を絶する金額です。そこに、20億円、30億円の水増しをされても、もとの単価が1千億円だったらピンとこないですよね。

ましてや、購入した武器の金額や、種類を公にしてしまっては、海外に防衛情報が漏れてしまう可能性があります。そんなわけで、誰も踏み込むことが出来ず、防衛の世界は、聖域とすら言われているのですよ。

特に、日本は武器輸出三原則というのがあり、仮に日本で武器を作ったとしても海外で売ることが出来ないのです。そんな事情もあり、武器を買い付ける役割を専門商社が一手に引き受けることになり、なかなか表に出てこないグレーの部分が出来てしまうのです。

▼おバカ編集部
私たち国民が、見えないお金の使い方をもっと分かりやすくしてもらわないと不安ですよね。結局、税金が本当に私たちの生活に役にたっているのか疑問に感じてしまいます。

▼浜田先生
そうですね。国には、会計検査院といって税金の無駄使いがないかをチェックする機関があるのですが、彼らもまた役人なので、接待を受けていたりと、あるまじき実態が明らかになっています。

人間、どうしてもお金には弱いですからね。現場の自衛隊員たちは、国のために一生懸命任務を遂行しているのに、トップの人間がお金に目がくらんで誘惑に負けてしまっているのでは、国防への不安も募ってしまいます。税金を払ってもしょうがないと感じる国民が増える一方ですよね。

▼おバカ編集部
人間弱いですからねぇ、お金に目がくらむのも分からなくないですが、何かいい解決策はないのですか?

▼浜田先生
そうですねぇ、例えば、任期を1年ごとの短いサイクルにして、同じ人間が権力を持ち続けないようにすることですね。悪事をしたら、すぐにバレてしまう組織づくりをするのが大事だと思います。短いサイクルで任期が終われば、不正をしたら、すぐに後任者にバレてしまうという気持ちにもなり、悪事を行う際のブレーキにもなりますからね。

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
知っツモ WORD
武器輸出三原則
1967年 佐藤栄作首相時代に答弁された、武器の海外輸出に関する条例。輸出そのものを禁止しているわけではないが、条件を設けることでその頻度を下げている。日本は、国内で製造しても海外に輸出できない上、コストも高くなるため、武器が海外からの輸入に頼っている。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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