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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第17章

2009年平成21年)1月28日水曜日

ガザ地区【がざちく】

▼おバカ編集部
昨年末から、「ガザ地区」がニュースで頻繁に映し出されていますが、ここで一体何が起こっていたのですか?

▼浜田先生
はい。まずガザ地区のあるパレスチナは、地中海に面しエジプトと隣接した地域です。その歴史は聖書にも出てくるくらい古く、紀元前6000年頃には「ガザ」地区には人が住んでいたと言われています。紀元前3000年頃には、「カナンの地」と呼ばれ、古代エジプトが支配していました。その後、紀元前12世紀頃から、「ペリシテ人」と呼ばれる海洋民族の支配下になり、これが「パレスチナ」の語源となったのです。
それ以降、エジプトやマケドニアなどの王族たち、ローマ帝国やエルサレム王国など、常に様々な勢力がこの土地を巡って争ってきました。

第一次世界大戦時には、この地域はイギリスの支配下にありました。ちょうどその頃、ヨーロッパで迫害を受けていたユダヤ人が、聖地エルサレムの近くに自分たちの国を持ちたいと願い、パレスチナへ移住してきたのです。当時は、もともとパレスチナに住んでいたアラブ人(後にパレスチナ人と呼ばれる)と、入植してきたユダヤ人は土地を分け合い、平和に暮らしていたのです。

▼おバカ編集部
そんなに深い歴史があったのですね。彼らは、いつから敵対関係になってしまったのですか?

▼浜田先生
第一次世界大戦の、イギリスとナチスドイツの戦いがきっかけです。イギリスは、ドイツと組んでいたオスマントルコに目をつけ、トルコを内部から揺さぶろうとしたのです。そこで、当時トルコに住んでいたアラブ人に対し、「トルコに反旗を翻すなら、パレスチナでの独立を許しますよ」と約束したのです。
しかし、その後も大戦の決着がつかず苛立ったイギリスは、今度はアメリカを味方につけることを目論みました。当時アメリカのウォールストリートに住んでいたユダヤ人は、金融ビジネスが成功しお金を稼ぎ、アメリカにとって大きな影響力を持つようになっていました。だからアメリカを味方につけるためには、彼らの応援も必要だと考えたのです。そこでイギリスは、「パレスチナにユダヤ人の国を作ってもいいですよ。」と言ったのです。つまりイギリスが二枚舌を使い、パレスチナ人とユダヤ人の両方に、矛盾する約束を交わしたわけです。

▼おバカ編集部
なんて無責任な…。それでは戦争が終わったら、パレスチナ人とユダヤ人は当然モメますよね!?

▼浜田先生
はい。結局、第二次世界大戦後に至っても解決の見通しが立たず、イギリスは「お手上げ」をしてしまったのです。イギリスに問題解決を委ねられた国連は「土地を半分ずつ分けたらどうか」と提案したのですが、パレスチナ人もユダヤ人もこれを拒否しました。当初の話と違うのですから、当然ですよね。
そうして1948年、結果的に経済力のあるユダヤ人が、イスラエルの建国宣言を行いました。するとパレスチナ人たちは、もともとこの地に住んでいたにも関わらず差別や迫害を受け、エジプトや周辺の国に難民として逃れるハメになったのです。そこでパレスチナ人はユダヤ人を追い出そうと、攻撃を開始しました。つまりこれが、第一次中東戦争の始まりです。
それからは、お互いにテロや大量虐殺など、まさに血で血を洗う戦いの繰り返しです。特に、経済力や軍事力が劣っているパレスチナはテロの手段に頼るしかなく、自爆テロを行っては、多くの犠牲者を出てしるのですよ。その争いが、今日まで続いているのです。

▼おバカ編集部
途中で誰も止めようとはしなかったのですか?

▼浜田先生
もちろん、仲直りを試みた時期もあったのですよ。
1994年ノルウェーの仲介により、イスラエルとPLOとの間でオスロ合意が交わされて、和平への取り組みがなされたのです。これによりパレスチナ人はガザ地域とヨルダン川西岸の一定地区を確保でき、「パレスチナ自治政府」をようやく発足することが出来たのです。しかしこれも一時的なもので、結局は摩擦が絶えず、結果的には4回もの中東戦争を起こすこととなってしまいました。
現在ガザ地区はイスラエルによって閉鎖されていて、パレスチナ人はある意味、ガザに閉じ込められて暮らしているのです。

この地は本来、綿花しか産物がなく、とても貧しい地域でした。しかし昨年の10月に、ガザ地域に石油と天然ガスが見つかったのです。イスラエルからしてみれば、その資源は自分たちだって欲しいものであり、またそれと同時に、パレスチナ人が自分たち以上に経済力や軍事力を持つことを恐れたのです。そうなる前に徹底的に潰そうと、昨年12月、イスラエルはガザへの攻撃を激化したのです。約一ヶ月に渡り空爆などを続け、結果的に1000人以上もの犠牲者を出す、惨劇となってしまったわけです。

▼おバカ編集部
でも、1月にオバマ大統領が就任した途端、イスラエル軍はガザから撤退して、パレスチナも反撃の手を止めましたよね?これは何故ですか?

▼浜田先生
それは昨年の7月に遡りますが、イスラエルは、まだ大統領候補であったオバマ氏に「大統領になったら、イスラエルを守ってください」とお願いをしており、またオバマ氏もこれを約束していたのです。
犠牲者数で見るとパレスチナの方が多いので、イスラエルが圧倒的に強いように見えるのですが、実際には、エジプトや周辺の国にパレスチナの難民が散らばっていて、その数500万人にも登ると言われています。もし彼らがパレスチナに戻ってくれば、イスラエルに更なる危機が訪れるのは目に見えていますからね。
就任後のオバマ大統領は、自国の金融危機と同じくらい、この中東問題を解決すべきだと考えているのは間違いありませんね。

▼おバカ編集部
歴代のアメリカ大統領が解決できなかった中東問題を、オバマ大統領なら「チェンジ」してくれるかもしれないですね。でも日本にとっては、あまりに遠い国で起こっていて、なかなか現実として考えられない気がします。

▼浜田先生
確かにそうかもしれませんね。でも、日本は原油の輸入を中東に頼っていますから、もし戦争が始まれば、再び原油価格が高くなる可能性があります。それにこのまま争いが続けば、いずれ第3次世界大戦が勃発することも否めず、とても危険な可能性を秘めているのです。日本にとっても、決して他人事ではないのですよ。
それに、かつて日本に特攻隊がいたように、この地では、「自分の国が勝つために自分の命をも落とす」という考えがいまだに良しとされているのです。いつミサイルが飛んでくるか分からない、どこで命を落とすか分からない、彼らはそんな環境で暮らしているのです。

▼おバカ編集部
同じ地球なのに、悲しいですね。どこかに解決の糸口はないのでしょうか?

▼浜田先生
紀元前6000年からの長い歴史的な背景がある中、共存共栄が成立しなかったわけですから、一筋縄では行かないでしょう。このままでは、どちらかの国が滅びる、あるいは核によって地球全体が危険にさらされるしかありません。自分たちのエゴばかりを貫こうとするのではなく、多宗教・多民族を受け入れることが大切です。お互い譲り合う心を持てば、解決へ一歩近づくと思います。


取材・文/皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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知っツモ WORD
PLO
パレスチナ解放機構(Palestine Liberation Organization)の略称。1964年にアラブ連盟が設立。イスラエルに支配されたパレスチナを開放することを目的とした組織。最大派閥には、穏健派のファタハ。反PLO組織には、イスラム主義団体・過激派のハマスがある。
オスロ合意
1993年9月にイスラエルとPLOの間で交わされた協定。パレスチナ問題の解決を合意したもので、PLO第3代議長・故ヤーセル・アラファトは、これによりノーベル平和賞を受賞した。ノルウェーのオスロ周辺で交渉が行われたためこの名が付いた。正式名称は「パレスチナ暫定自治原則宣言」。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
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第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
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第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
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[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
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第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
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