鼻がむずむずしてきました・・・

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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第20章

2009年平成21年)5月8日金曜日

2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】

▼おバカ編集部
最近、IOCのムータワキル委員長や評価委員による視察が行われましたよね。現状、東京五輪が開催される可能性はどのくらいあるのですか?

▼浜田先生
はい。東京は、治安が良く財政面でも不安がない点、また交通機関や宿泊施設が充実している点が高く評価され、昨年の一次選考をトップで通過していました。
約半世紀ぶりの五輪開催を目指す東京は、地球環境に配慮した「エコオリンピック」を強調しているのが特徴です。たとえば、東京には1964年の東京五輪で建設した施設がたくさんありますから、それらを再利用できることは強みとなるでしょう。さらに選手村やメインスタジアムから各競技場までの距離を半径8キロ以内とした「世界一コンパクトな五輪」を打ち出し、選手や観客の移動にかかるエネルギーを最小限に抑えることも目指しています。ほかにも、使用するエネルギーを太陽光や風力といった自然のものにすることなどを、東京視察でも懸命にアピールしていたのですよ。しかしIOCは、「五輪と地球環境は別問題だ」と、戸惑いを隠せないようですが(苦笑)。

▼おバカ編集部
そうなのですね。でも、IOCが行った世論調査では、日本国民の支持率は59%と、四都市の中で最も低かったのですよね?

▼浜田先生
そうなのですよ。これに象徴されるように、五輪開催というのはだいたいにおいて、その国の威信をかけるケースが多いのです。五輪はスポーツの祭典であると同時に、その国や土地の経済発展が期待できることも魅力の一つですからね。そのため各国とも財政負担を覚悟で五輪招致に挑みますが、それでも十分モトがとれるくらい、経済効果が期待できるのですよ。昨年の北京では500億ドル(5兆円)もの赤字が出ていましたが、それでも中国にとっては、国の成長のきっかけになったことは確かですよね。
かつての日本にとっても、1964年の東京五輪というのは、「戦後の苦しい状況を乗り越え、これから日本は世界に飛躍するのだ」という夢の象徴でした。しかし現代の日本にとっては、「五輪をきっかけに国を発展させたい!」という是が非でも、という強い想いがないのですよね。これはある意味、恵まれた環境とも言えるのですが・・・。

▼おバカ編集部
確かにそうですね。そういう意味では、今まで一度も五輪を開催したことがない南米・ブラジルのリオデジャネイロの期待は高いですよね?

▼浜田先生
そうですね。しかしブラジルは、2014年にサッカーのワールドカップ開催を控えていますから、世界的なスポーツ大会を立て続けに行うのはどうか、という意見があります。それに治安があまり良くなく、テロなどの不安が問題視されているのですよ。
このように、それぞれの都市は強みと弱みを併せ持っているため、10月のIOC総会まで、結果はまだまだ予測がつかないと言えるでしょう。

▼おバカ編集部
そうなのですね。では、スペインのマドリードとアメリカのシカゴの強みと弱みは何なのですか?

▼浜田先生
はい。まずマドリードの強みは、国民からの支持率が90%と最も高いということです。しかし、リオデジャネイロと同様、治安問題に不安があります。シカゴは、何といってもオバマ大統領の地元という点が最大の強みでしょう。IOC総会ではオバマ自身がPRする可能性も高く、そうなれば最有力候補となるかもしれません。しかし、世界的不況の中心であるアメリカは、財政破綻といった大きな問題を抱えています。
そんななか、東京は経済面も治安面も不安がないものの、いかんせん国民が盛り上がらない(笑)。これこそが日本の弱みなのですよ。

▼おバカ編集部
確かに、五輪招致に対する反対派は多いですよね。「招致活動をするお金があるなら、ニートや失業者の支援施設を作るべきだ」という意見もよく耳にします。

▼浜田先生
う~ん、雇用問題は五輪とは関係なく解決すべきものですから、天秤にかけてはならないでしょう。また、IOCの評価委員が反対派グループの意見をヒアリングしたところ、国民に対する説明がないことや、国民の意見を無視した計画に反発していることが分かったのです。ですから、きちんと意図を説明して、国民の意見を吸い上げれば、賛成派が増える可能性は高いでしょう。それにもし五輪開催が決定すれば、新規のインフラ整備などで新しい雇用が生まれる可能性もあります。2016年頃には景気もある程度回復しているだろうと言われていますが、それでも五輪開催が経済発展の起爆剤になることは間違いないでしょう。

▼おバカ編集部
なるほど~。では、実際どのくらいの経済効果が期待できるのでしょうか?

▼浜田先生
日本で五輪を開催した場合の経済効果は、3兆円と言われています。これには、新設する競技場や選手村などのインフラ整備は含まれておらず、チケット代や物販といった間接的な波及効果のみの金額なのですよ。ただし、本当にこれだけのお金が動くかは、実際にやってみないと分かりませんし、こうして発表される経済効果というのは、ほとんどの場合、多めに見積もることが多いのですよ(苦笑)。
また、五輪は「平和とスポーツの祭典」と言いつつ、ロス五輪以降は放映権や関連グッズをめぐり商業化しているのが実状です。そうすると、どうしてもメダル獲得が目的になったり、視聴率獲得のためにスペクタルなシーンが求められたりしてしまうんですよね。そのためにドーピングや審判員の買収などが発生してしまうのでは、純粋なスポーツマンシップは生まれにくいでしょう。人間の限界に挑戦することで感動が生まれるというのが、本来のスポーツの姿なのですから。

▼おバカ編集部
確かにそうですよね!そもそも五輪の役割は、子どもたちにスポーツの素晴らしさを伝えて、夢を与えることですものね!

▼浜田先生
その通りです。そこで、石原都知事は「もし東京での開催が決まったら、男子シンクロをぜひ新しい種目に加えたい」と言っているのですよ。日本では、映画の『ウォーターボーイズ』がきっかけで、男子シンクロが一躍人気を集めたでしょう。実は海外にも、男子選手が増えているそうなのですよ。だからもし、男子シンクロが種目として正式に認められれば、男性ならではのアクロバットな技が披露されたりと、今までにない楽しみが期待できるかもしれません。

▼おバカ編集部
へ~、それは盛り上がりそうですね!東京五輪、決まれば楽しみですね!

▼浜田先生
そうですね。
しかし今の日本は、不景気で閉塞感がありますから、「1964年の夢を再び」なんて言って、日本が明るくなればいいですよね。しかしながら、世界には、東京よりも経済発展が必要な国や都市がたくさんあります。いろんな国が、五輪によって発展していくチャンスを得ることも大切なことです。いずれにしても、10月のIOC総会を楽しみに待ちましょう。


取材・文/皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
浜田先生へ質問!
あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
知っツモ WORD
ナワル・エル・ムータワキル
1962年生まれの、モロッコの元陸上競技選手。ロス五輪にて、女子400mハードルで金メダルを獲得した。1998年、IOC委員に就任。2016年の五輪評価委員長を務める。
IOC総会
2009年10月2日、デンマークのコペンハーゲンで開催予定。4月~5月にかけてIOC評価委員会が行った現地視察の評価報告書を9月に提出。総会ではその報告書を元に評価委員が投票を行い、過半数を獲得した都市で、五輪が開催される。1回の投票で決定しなかった場合は、最下位の都市を除いた3カ国で再投票を行う。投票は、いずれかの都市が過半数を獲得するまで何度でも行われる。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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