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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第23章

2009年平成21年)8月12日水曜日

衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】

▼おバカ編集部
とうとう話題の衆院選が目前に迫りましたね!自民党と民主党、果たしてどちらに軍配があがるのでしょうか?

▼浜田先生
はい。まず7月の都議選では民主党が圧勝し、有権者の政治に対する意識が如実に表れた結果となりました。
たしかに自民党は、戦後の経済発展の中で大きな功績を残したことは間違いありません。しかし自民党中心の政治はもう55年近く続いているわけで、そろそろ賞味期限を迎えようとしています。そこで民主党は、「日本にもチェンジが必要だ」と言っており、有権者には相当アピールしています。

▼おバカ編集部
民主党は現在、参議院の第一党なのですよね。それで“ねじれ国会”になっていると以前勉強しましたが…、そもそも衆議院と参議院は何がどう違うのですか?

▼浜田先生
はい。まずは任期が異なります。参議院の任期が6年なのに対し、衆議院は4年です。参議院は6年のうち3年ごとに半分ずつ入れ替わりますが、衆議院は突発的な理由で解散しやすく、比較的民意を反映しやすい点があります。国会においては、総理大臣の指名や、法案や予算案の検討、条約の承認などについても、優先権は衆議院にあります。つまりは政治の中心になるのが衆議院で、このままいけば民主党がその座を獲得するかもしれない、というわけです。これは日本の政治にとって、短命に終わった細川政権を除けば、初めての政権交代につながるわけで、そこが今回の選挙で一番注目すべきところですね。

▼おバカ編集部
だからこんなに盛り上がってるんですね~。それにしても、最近ニュースでさかんに取り上げられている「マニフェスト」が気になるのですが、具体的にどんなものなのですか?

▼浜田先生
はい。とくに注目すべきは民主党のマニフェストで、まず月額2万6千円の「子供手当て」の支給、出産育児一時金を55万円まで引き上げ、公立高校を無料化、私立高校の学費補助、さらにはガソリン税の廃止や農家への個別保障……と、「あれもタダ、これもタダ」状態になっています。これは自民党側から“バラマキ”だとの指摘もされています。

▼おバカ編集部
確かに子育てで月2万円以上もらえたり、出産育児一時金が増えたりするのは、私たち女性にとって大きいですけれど、その予算の出所がどこなのか、はっきり伝わってこないので、いまいち手放しで喜べないんですよね。

▼浜田先生
民主党にとっても、そこが一番イタイところです。どういうことかというと、結局今はまだ民主党は政権を握っていないから、国の懐具合が正確には分らないのです。けれど、民主党の言う「無駄使いの廃止」や、自民党がいままで裏金のように使ってきた4兆円にも上るいわゆる埋蔵金を掘り起こすことができれば、これらの予算に充てられるだろうと考えているわけです。一方で自民党は、そんな夢のようなバラマキ政策なんて実現するのか、結局は自分たちの責任力だ、とアピールしているわけです。
そもそもマニフェストというのは、長期的なビジョンを示した上で具体的な政策を打ち出すのが、本来の姿のはずです。しかし今はどの政党も、とにかく有権者の関心を買いたいがために、「あれもこれも」と品物をズラーっと並べて、まるで百貨店の解体セールのバーゲンのようです。でも4年前のマニフェストだってほとんど実現していないのが実情で、たとえば郵政民営化にしても、どこまで成功して、何が失敗だったのかをきちんと評価したうえで、次の政策をどうするか考えるべきなのです。

▼おバカ編集部
たしかに、過去の4年間を放っておいて、目先のことばかり話したって、有権者がますます政治不信になるだけですよね。

▼浜田先生
はい。今の国会では、自民党にしても民主党にしても、もう単独での政権維持は難しいでしょうね。自民党は公明党と連立を組んでいますし、民主党はおそらく国民新党と社民党との連立になるでしょう。しかし、たとえば安全保障の問題など、民主党と社民党の意見はまるで違うのですよ。そんな彼らが連立を組めば、混乱が起こる可能性は否めません。また、どの党もマニフェストでは良いことばかり言っているけれど、有権者はその政策実現能力や、どの党が国民の幸せを一番真剣に考えてくれるのかを、きちんと見極めなければいけませんよね。

▼おバカ編集部
でも、今は確実に民主党に風が吹いていますよね。とはいえ、それはあくまで自民党が頼りないからであって、民主党が優れているからではないと思うのですが……。

▼浜田先生
その通りです。気をつけるべきなのは、歴史的な政権交代が起こるかもしれないというムードに流されてはいけないということです。民主党は小沢さんの献金問題からはじまって、鳩山さんも献金問題も浮上していたでしょう。でもマスコミがさほど大きく報道しなかったのは、「一回、民主党に政権をとらせてみたい」という民意を吸い上げたからです。しかし、今の民主党にいる比較的若い議員たちは、実は自民党にいてもおかしくない人が多いのですよ。どういうことかというと、自民党は長年に渡って世襲が続いていましたから、若くて新しい人が入り込めるポストがなかったのです。だから実際は、自民党的発想で民主党に在籍している議員が非常に多いのですよ。そもそも民主党は、自民党への対抗勢力を目的とした極めて寄せ集めの党ですから、各々の考え方は統一が取れていないのです。小沢さんだって自民党出身で、麻生さんよりも自民党の体質はしみ込んでいるくらいですからね。

▼おバカ編集部
それって、今は自民党を負かすことが共通目的となって頑張っているけれど、実際政権をとったらバラバラになって空中分解する可能性もある、ということですよね。

▼浜田先生
そうですねぇ。今の民主党にしてみたら、やはりまずは第一党をとることが最優先で、国民の生活は二の次です。それで今の日本が置かれている状況を克服できるかどうかは不安ですよね。確かに少子化対策として、子供手当てや出産育児一時金は有効かもしれませんが、誰かれ構わず配る、というのは問題視すべきでしょう。国からの援助がいらない家庭だってあるわけで、これでは定額給付金の二の舞ですよね。今は国家予算の倍以上の借金があるわけですから、もっと有効な使い方をするべきです。

▼おバカ編集部
そうですよね~。では、具体的にはどんなことが考えられますか?

▼浜田先生
はい。今これだけ日本が不景気なのは、新しい産業やビジネスが起こっていないからですよね。それならば新しい産業が発展出来そうな分野、たとえば環境技術や食の安全、健康・長寿といった日本の得意分野に、まとまった予算を注入する方が現実的だし効果的じゃないでしょうか。

▼おバカ編集部
なるほど~。今後、日本を良くしていくために、私達がすべきことは何でしょうか?

▼浜田先生
国民一人ひとりがしっかり悩むことが大事です。いくつもの政党があって、候補者がズラリと並ぶわけですが、まずは選ばなければ何も変わりません。誰を選んだら良いかは、マニフェストを見比べたり、実際に街頭演説に足を運んだりして、自分の目と耳と頭を使い、努力して見極めることが大切です。
私は、現在の流れからすれば今回の選挙ではまず自民党が第一党を退いて、民主党が他の党と連立を組んで新しい体制で政権をとるのではないかと考えます。それでも結局、自民党も民主党でもダメだったという場合には、今回の選挙が政界再編のきっかけになれば良いと思います。政権交代がゴールになるのではなく、そこが新たな政界づくりのスタートになることを望みますね。


取材・文/皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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知っツモ WORD
マニフェスト
政党と有権者との間の政権公約。政党や自分たちの掲げる政策や予算などを掲示し、有権者はそれをもとに、誰に一票を投じるかを選ぶ。今回の衆院選では、自民党よりも先に民主党がマニフェストを公開したことが話題に。
出産育児一時金
被保険者が出産・育児するにあたり、出産費用の一部を補助してくれるお金。現在は1児につき35万円。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第35回 「メキシコ湾原油流出事故
【めきしこわんげんゆりゅうしゅつじこ】」
第34回 「2010年 参議院選挙【2010ねん さんぎいんせんきょ】」
第33回 「ギリシャ経済危機【ぎりしゃけいざいきき】」 第32回 「新党【しんとう】」
第31回 「高速道路無料化【こうそくどうろむりょうか】」 第30回 「外国人参政権【がいこくじんさんせいけん】」
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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