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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第24章

2009年平成21年)9月17日木曜日

政権交代【せいけんこうたい】

▼おバカ編集部
とうとう鳩山内閣が発足し政権交代が実現しましたね。実際のところ、民主党の勝因は何だったのでしょうか?

▼浜田先生
はい。まずはやはり、自民党に対する国民の不信感がピークに達したこと、そこへ民主党が「政権交代」を掲げ、国民の心を掴んでいったことでしょうね。そして、4年前の「郵政選挙」と同様に、その象徴となっていたのが「小沢ガールズ」です。今までの自民党の体質というと、「長老」と呼ばれるベテラン議員がいて、派閥政治、利権構造、政官財の癒着と、いわば“加齢臭”そのもののドロドロとしたものでした。しかし民主党はそこに、清涼剤のごとくフレッシュな、これまで政治とは無縁だった若々しい女性、しかも見栄えの良い女性をぶつけていったわけです。案の定、公明党の太田議員のようなベテラン議員でも、初めて出馬した女性候補にバタバタと敗れてしまったわけで、そのくらい、民主党の風はハリケーンのように勢いが止まらなかったのです。

▼おバカ編集部
なるほど~。でも実際国民は、鳩山さんに期待をしているわけでも、民主党のマニフェストに納得しているわけでもなく、決して民主党を「選んで」はいないですよね。“民主党の勝因”というよりは、“自民党の敗因”と言った方が適切かもしれませんね。

▼浜田先生
その通りです。これまで安倍さん、福田さんと辞任が続き、キャラの濃い麻生さんが担ぎ出されたわけですが、結局失言を繰り返したり、議員の不祥事が発生したりして、危機的状況に陥ってしまった。そこでもっと早く解散をしていれば、政権を維持できたかもしれないのですが、麻生さんとしては一日でも長く総理でいたいとの想いから、なかなか決断できなかったのです。こうして結果的に、自民党ならぬ“自滅党”になってしまったのです。

▼おバカ編集部
それが、今回の歴史的な惨敗につながり、政権交代となったのですね。

▼浜田先生
はい。過去にも細川内閣で、1年近く自民党が下野したことはありましたが、今回は民主党が308議席と完全な独裁状態ですよね。たとえばアメリカでは、民主党と共和党のどちらが勝ってもおかしくない実力をもってして、2年ぐらいかけて大統領選挙を戦います。本来ならそれが二大政党制の理想形なのですが、日本では自民党の独裁状態から今度は民主党のそれへ、ガラっと変わってしまった。これは二大政党制とはちょっと言い難いです。

▼おバカ編集部
今回当選した人たちのほとんどが政治の素人なのに、鳩山さんは彼らを各役所のトップに送り込むと言っていますよね。これって本当に大丈夫なのでしょうか?

▼浜田先生
そうですねぇ。これまでは自民党があぐらをかいて税金の無駄遣いを積み重ねてきましたから、ここで一度、各役所のトップを総入れ替えにしてクリアにする必要があります。この50年間、トップが入れ替わらなかったのは、確かに異常なことですから。そこで、国民が選んだ政治家に役所を“監視”させるのはとても理想的ではありますが、彼らが役人以上のヴィジョンを持って、政策を理解して、それらを実行できるだけの指導力がないと、実際はなかなか難しいでしょう。

▼おバカ編集部
そうなのですか~。やっぱり、政権交代したからと言って、一気にすべてが良くなるわけじゃないんですね。

▼浜田先生
そうですね。これまで自民党が決定権を持っていた国家予算は、もうすでに大部分に行き渡ってしまっていますし、そこをこれからすべて見直すというのは、場合によっては大混乱を招きかねません。たとえば八ツ場ダム問題にしても、もうほとんど建設が進んでいて、そこには多くの人が携わっていますから、中止となると補償問題が発生するでしょう。あるいはアメリカとの関係においても、鳩山さんはインド洋への給油をやめると言っていますが、これだって相手のあることですから。選挙時にあれこれと希望を述べるのは結構なことですが、実際に政権を取ったあとは、もう少し現実的に考えて判断していくことが求められるでしょうね。
また、オバマ大統領と鳩山さんは、NYの国連総会で初顔合わせを済ませた後、11月のAPEC総会で本格的な日米首脳会談を行う予定です。そこで、「日本は軍事面では協力はできないけれど、環境技術などで貢献をする」とアピールしていくでしょう。

▼おバカ編集部
でも日米安保に関して、民主党・社民党・国民新党の連立3党は、意見の相違で早くもモメていますよね。それにしても、民主党は圧倒的な議席数を持っているのに、なぜ連立を組む必要があるのですか?

▼浜田先生
それは、民主党は衆議院では過半数を取りましたが、参議院では残念ながらまだ単独で過半数を取れていないからです。衆参両方で過半数を取らなければ法案はスムーズに通りませんから、そのためにも社民党と国民新党が必要だったのです。鳩山さんも、まさかこれほどの議席数を獲得するとは思っていなかったでしょうから、保険を掛けていたのですよ。しかし、これからまだ神奈川と静岡の補選が残っていますが、両方とも民主党の強い地区です。310議席を獲得見込みのある今となっては、「社民党も国民新党もいらないよ」というのが本心でしょうね(苦笑)。

▼おバカ編集部
そうなのですか~。なかなかうまくいかないものですねぇ。

▼浜田先生
それに、これは以前もお話ししましたが、民主党はそもそも寄せ集めの党ですから、考え方はみんなバラバラなのですよ。そこに「小沢さん」という重しがあることで、どうにか成り立っている面があります。今後、政権交代をより完璧なものにするためには、来年の参議院でさらに躍進することが重要になります。そのためには、やはり「選挙の神様」である小沢さんの力が必要でしょうね。ただ、「鳩山さんは小沢さんの操り人形だ」と言われないよう、極力表に出ないようにはしているようですが。

▼おバカ編集部
小沢さんといえば、「小沢ガールズ」の田中議員の過去が次々と明らかになっていますが、なぜ当選してから騒がれるのでしょうか?選挙前に知っていれば、当選しなかったかもしれないのに……。

▼浜田先生
それはやはり、当選してから明かした方が、マスコミ的にインパクトが得られるからでしょう。マスコミも生き残りをかけて話題が欲しいわけで、政権交代はまさに国中が注目する格好の話題でしたからね。しかも今回は、「自民党の大物に挑む、若く美しい女性候補」と、それだけでもじゅうぶん絵になりますから、マスコミは民主党に対して、ある種の恩があるのでしょうね。だから、民主党は献金問題など不祥事を抱えていながらも、それらにはスポットが当てられないまま、うやむやになっているという面もあります。

▼おバカ編集部
う~ん。あれだけ話題になった「小泉チルドレン」だって、今や生き残っている人なんてほとんどいないのに、まだまだ不安な部分がありそうですねぇ。そして気になるのが、自民党の行く末なのですが……。

▼浜田先生
はい。今の自民党は、今回の大敗の余波があまりにも大きく、まさに崩壊寸前の状態にあります。無論、これからは野党となるわけですから、総裁になっても得することはないと考えるのでしょうね。ただ「民主党が純粋に支持されているわけではない」というのが世論調査でも明らかになっているわけですから、この渦中に飛び込んで自民党を立て直すことができれば、高い評価は得られるでしょう。しかしそういう人物がいないところが、まさに「自滅党」なのですが(苦笑)。

▼おバカ編集部
でも、今回の選挙で、国民の一人ひとりの政治に対する意識は高まりましたよね。選挙の時だけ盛り上がるのではなくて、今後も関心を持ち続けて欲しいですね。

▼浜田先生
そうですね。子ども手当も来年から半額で支給されますし、公立高校の実質無償化や農家の個別補償などバラマキをした結果、民主党は票を得られたわけですが、問題はこれからです。日本初の政権交代で、国民にとっても初めての経験ですから。短期間で結果を求めるのではなく、もっと長い目で見据える必要があるでしょう。


取材・文/皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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知っツモ WORD
小沢ガールズ
薬害肝炎訴訟の福田衣里子氏や、元フジテレビ記者の三宅雪子氏、元海上自衛隊の小原舞氏など、自民党の重鎮に挑んだ女性新人議員。これまで政治と無縁だった女性を全国から発掘し、小沢一郎自ら口説き、選挙に勝つためにバックアップを施した。田中美恵子氏の「元風俗ライター」などの過去が当選後に明らかになり、にわかに問題になっている。
八ツ場ダム
群馬県の吾妻川中流群に建設中のダム(2010年完成予定)。神奈川以外の1都5県の水瓶として建設が進められていたが、一方で川原湯温泉や吾妻峡などの観光資源が水没してしまうことから、反対運動も行われてきた。民主党は建設中止を主張しているが、既に多額の費用をかけて建設が進んでおり、その事業費の一部は受益地の1都4県からの負担金だったため、中止されれば当然返還請求が懸念される。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第35回 「メキシコ湾原油流出事故
【めきしこわんげんゆりゅうしゅつじこ】」
第34回 「2010年 参議院選挙【2010ねん さんぎいんせんきょ】」
第33回 「ギリシャ経済危機【ぎりしゃけいざいきき】」 第32回 「新党【しんとう】」
第31回 「高速道路無料化【こうそくどうろむりょうか】」 第30回 「外国人参政権【がいこくじんさんせいけん】」
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」 第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」 第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」 第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」 第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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