鼻がむずむずしてきました・・・

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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第26章

2009年平成21年)12月3日木曜日

普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】

▼おバカ編集部
連日報道されている普天間基地の移設問題。いったい何をこんなにモメているのですか?

▼浜田先生
はい。まずこの普天間基地というのは、沖縄宜野湾市に位置する米軍基地です。1945年、太平洋戦争の戦地であったこの地を米軍が占領し、本土上陸に備えて飛行場を建設していきました。その名残となるのが、普天間基地や嘉手納基地です。1972年の沖縄返還後には規模が縮小されたりもしましたが、日米安保条約のもと現在まで存在し続けてきました。そこで今、日本政府はこの基地を「最低でも県外、できれば国外に移設したい」と言っているのです。

▼おバカ編集部
なぜ、移設する必要があるのですか?

▼浜田先生
もともと米軍基地は飛行訓練による騒音問題や、米兵による事件や事故など多くのトラブルを抱えていました。そこで1995年に起きた普天間基地の米兵による日本人少女暴行事件を引き金に、米軍に対する沖縄県民の怒りが爆発し、大規模な反対運動へと発展したのです。
ほかにも、2004年に沖縄国際大学の米軍ヘリ墜落事故があったように、普天間基地は近隣の住宅や学校と非常に密接している点も問題です。現在、在日米軍のうち半数以上が沖縄に集中していますから、沖縄県民は常にこのような危険や苦痛にさらされていて、おのずと沖縄への負担が大きくなるわけです。その負担を軽減しようということで、普天間基地を移設しようという動きがあるわけです。

▼おバカ編集部
確かに、戦後60年も経つのに、いまだに沖縄の人たちが苦しんでいるのはおかしいですよね。しかし一向に解決する気配がないのはなぜなのですか?

▼浜田先生
はい。先にもお話した通り、普天間基地を県外か国外に移設したいと訴えている日本政府に対し、アメリカ政府はこれを受け入れてようとしてくれないからです。というのも、そもそも96年の橋本政権時代に、この普天間基地を同県名護市にある辺野古(へのこ)に移設することで日米ともに合意ができていたのですよ。名護市側もこれを受け入れて、20年近く続いた話し合いの決着がようやくつく寸前だったのです。それがここへきて鳩山政権になった途端、普天間基地の沖縄撤退を申し出したので、オバマ大統領は過去の合意を主張し、話し合いがこじれている状況なのですよ。
そもそも長い自民党政権のもとでは、アメリカとの関係が第一でしたから、米兵の給料や基地内の娯楽施設など、いわゆる「思いやり予算」として、米軍にお金を提供してきた歴史があります。現在は、世界各地にある米軍基地の維持費のほぼ半分を、日本が支援しているのですよ。経済危機に直面しているアメリカからしてみれば、これだけ条件の良い国の基地を手放したくないと考えるのは当然です。こうなってしまったのには、日本にも責任があると言えるでしょうね。

▼おバカ編集部
うーん、日本は本当にお人よしですね。でも、いつまでもアメリカの尻に敷かれているわけにはいかないですよねぇ?

▼浜田先生
そのとおりですね。たとえば1960年に結ばれた日米安保条約は、アメリカが一方的に日本を守るというだけで、逆に日本がアメリカを守るという約束はしていません。つまり日米間がまったく対等ではないのですね。これは当時、アメリカの力が圧倒的に強かったからですが、今は時代も変わり日本も力をつけてきましたから。政権交代という機会に、日本とアメリカが対等でいられるようにチェンジして、条約の中身を見直すチャンスでしょう。

▼おバカ編集部
条約そのものをなくしてしまうなんてことも可能ですか?

▼浜田先生
もちろんです。条約は、必要ないと判断した時点で通告をすれば、一年後には破棄できるようになっています。そうすれば、条約のもとで設置されていた米軍基地を撤退させることができますね。

▼おバカ編集部
なるほど!でも果たして日本政府にそこまでの覚悟があるのでしょうか…。そもそも、日本にとって米軍の必要性ってどのくらい高いのですか?

▼浜田先生
そうですねぇ。たとえ中国が軍事力を高めているとはいえ、鳩山さんは中国との友愛外交を宣言しているし、これからはロシアとの関係も修復しようとしています。以前のように米軍に頼らなければならないという状況ではないのは確かです。とはいえ、核を持つ北朝鮮が近くにありますし、まったく不要だと言って手放すことにも不安があります。その辺は、政治的判断になるでしょう。

▼おバカ編集部
岡田外務大臣は、嘉手納基地との統合案を検討していましたよね?これはなぜ駄目なのでしょう?ひとつにまとめてしまえば、効率も良さそうなのに…。

▼浜田先生
はい。米軍は陸海空に加えて海兵隊の4軍で成り立っていますが、普天間は海兵隊、嘉手納は空軍と、実はそれぞれちょっとずつ役割が違うのですよ。同じ飛行機といっても、海兵隊は大型ヘリを、空軍は高速のF15戦闘機を扱うので、同時に管理するのは難しいということなのですね。

▼おバカ編集部
うまくいきませんねぇ。鳩山さんにとっては、外交面で一番、頭を悩ませる問題ですね。

▼浜田先生
そうですね。先日行われた日米首脳会談では、鳩山さんはオバマ大統領に対して、「自分を信じて」と発言しました。決して悪いようにはしないから、というニュアンスが込められているのでしょう。とは言いながら、「アメリカと日本とは対等であるべきだ」と主張しています。また、「沖縄県民の気持ちを優先したい」とも言っていますよね。

▼おバカ編集部
もし米軍を追い出したとして、アメリカとの関係が悪化しませんか?あとから仕返しをされたりとか…。

▼浜田先生
うーん、その心配は少ないと思いますよ。たとえば過去に米軍基地を撤退したフィリピンも、米軍基地の土地代を徴収しているキルギスも、特別アメリカから怒りをかったりはしませんでした。要は、国民の意見をバックに、いかに交渉するかが外交の役割ですからね。岡田外務大臣や北沢防衛大臣の考えとしては、年内にも決着をつけたいところでしょう。しかし、鳩山さんは来年1月の名護市長選挙まで待つと言っていますね。

▼おバカ編集部
なぜですか?これ以上長引かせても、解決が遅れるだけですよね。沖縄県民も国会も、みんなイライラを隠せないのだから、 早く結論を出して欲しいです!

▼浜田先生
確かに、その通りです。しかしながら、沖縄県民の中には、米軍賛成派と反対派がいるのも事実なのです。基地の土地代で潤っている地主がいたり、2万人以上もの米兵(家族を含めると4万人以上)が生活することによって沖縄経済が保たれていたりと、利害調整がなかなか微妙なのですよ。軍用地料や基地従業員所得だけでも2155億円が落ちていますから。ただし今度の市長選挙は、まさにこの賛成派と反対派が戦う注目の選挙なのです。鳩山さんはその結果を踏まえて、決断しようと考えているわけです。
また、これは推測にすぎませんが、おそらく鳩山さんの発想としては、決断を焦らすことで沖縄県民をヒートアップさせて、「基地を早く追い出したい!」との思いを強めようとしているのかもしれませんね。あるいは、マスコミに連日報道させることで、沖縄だけでなく日本全体の問題だということを伝えようとしているのかもしれません。こうした国民の声をバックにすれば、アメリカに対してきちんとした要求を突きつられると考えているのではないでしょうか。

▼おバカ編集部
そうなのですね。ちなみに、移設先の候補はどこが挙がっているのですか?それに、もし本当に普天間基地を撤退した場合、土地の原状回帰などにかかる費用は、日本とアメリカのどちらが負担することになるのですか?

▼浜田先生
はい。国内なら岩国、国外ならグアムの可能性が高いといわれています。撤退費用は、日米安保条約を破棄すればアメリカが、破棄しなければ日本が負うことになります。
もし本当に日米安保条約を破棄することになれば、それに代わる条約のようなものを作ることになるでしょう。たとえば鳩山さんが提案しているのは東アジア共同体などがそうですね。

▼おバカ編集部
みんながきちんと納得する形で移設をしないと、いらないものの押し付け合いのようで、結局問題はいつまでも付きまといますよね。ただ移設しただけでは、根本的な解決にはならないような…。

▼浜田先生
はい、そうですね。ただでさえ今の世の中は不景気で、国民が不平不満を募らせています。それがこのままヒートアップすれば、犯罪や暴力など、何が起こるか分かりませんよね。他国と戦うより先に、日本国内での争いが起こったら同じことです。いいえ、もっと始末が悪いでしょう。日本の国民の生命や財産を守るには、もっと違う発想で危機管理をするべきだと思います。アメリカに頼るのではなく、日本が本当の意味で独立しないといけない時期なのです。どうしたら日本がもっと良くなるかを、みんなで考えていきたいですね。


取材・文/皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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知っツモ WORD
嘉手納基地
沖縄県中頭郡嘉手納町、沖縄市、中頭郡北谷町の1市2町にまたがる空軍基地。総面積は1,997ヘクタール。正式名称は嘉手納飛行場。
日米安全保障条約
1960年、東西冷戦時代に成立。他国からの攻撃をアメリカの軍事力に守ってもらう代わりに、日本国内に基地を提供することを定めた条約。
東アジア共同体
鳩山首相が提唱する、欧州連合(EU)をモデルにした東アジアの共同体構想。日中韓などアジア各国の政治経済統合、さらに文化やスポーツなどで交流を深めることで戦争のない一つの共同体を作ろうという考え。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」 第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」 第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」 第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」 第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」 第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」 第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
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第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」 第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
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第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」 第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」 第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」 第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
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[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
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第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
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第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
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