鼻がむずむずしてきました・・・
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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!
第27章
2009年
21
12月21日
日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】
▼おバカ編集部
ここ最近、取り沙汰されている日本航空(以下:日航)の再建問題。なぜ、一企業の経営状況が、ここまで騒がれているのですか?
▼浜田先生
はい。もともと日航は、国の支援のもと、戦後の日本にとって初めての旅客航空会社として誕生しました。あの「鶴」と「日の丸」のトレードマークは、まさに当時の日本の象徴でした。その後、日本が経済発展を遂げるにつれて日本から海外へ、また海外から日本へたくさんの人やものを運び、日本の国旗とともに世界に羽ばたく航空会社として成長していきました。1983年には国際線の定期運行実績が世界一位になり、名実ともにナショナルフラッグキャリアとしてのポジションを確立したのです。
とくに当時は飛行機そのものがまだめずらしく、ましてや海外へ行くなんて夢のような時代でしたからね。当時の日航のサービスは海外から高評価を得ていましたし、日航ブランドというのはある種のステータスシンボルだったのですよ。
このように、かつては安定した経営基盤を持っていたものの、現在は赤字が膨らみ続け、その額は5000億円にも上ると見られています。それでも毎日、国内外1100便を超える路線を運行していますし、関連会社を含め何万人もの雇用があります。つまり、それだけ多くの人やものを動かしている、日本経済にとって重要な存在なのですね。しかし今は銀行からの融資も厳しい状態になってしまったので、今回、民主党鳩山政権になったことをきっかけに、日航の経営方針の抜本的見直しをしようという動きになったのです。
▼おバカ編集部
なるほど~。でもそもそもなぜ、日本を代表する大企業がここまで経営不振に陥ってしまったのですか?
▼浜田先生
はい。まず日航の特徴として、国策航空会社である、いわゆる半官半民の企業であったことが挙げられます。いわゆる「親方日の丸」会社の典型で、歴代の社長も、旧運輸省(現・国交省)のOBが就任してきました。つまり経営陣はみな天下りで、そのポストを維持するために、空港整備特別会計を充ててあちこちに路線を拡大していったのですよ。結局、乗客率60%に満たない不採算路線が増えるばかりで、赤字がふくらみ続けてしまったのです。
それから、御巣鷹山の墜落事故をはじめとした、あらゆる事故やトラブルが相次いで発生しても、内部から解決していこうという動きがなかったことも、原因のひとつでしょう。そうしているうちに、今度は9.11テロやSARS(サーズ)の影響で海外旅行客数が大幅に減ったことが重なり、最終的には国際線の2/3が不採算路線となってしまったのです。
▼おバカ編集部
普通の企業ならとっくに倒産していてもおかしくない状態ですよね!それでもやっぱり、国の後ろ盾があったから生き延びたということですか?
▼浜田先生
はい。「赤字経営でも、国が何とかしてくれる」とあぐらをかいて、サービスの向上や経営戦略などを怠ってきたのですね。どこかお殿様商売で、プライドの高さをも感じられるほどです。一方で競合の全日本航空(以下:全日空)は自分たちで努力をしてきましたから、それと比べると、サービスなどの面でどうしても差が出てしまうのです。たとえば機内サービスも、全日空なら飲み物とサンドウィッチが出るところを、日航は全日空と同等の路線でも、飲み物とおせんべい1枚しか出ないとか(笑)。
それに、今はうんと安く利用できる航空会社もたくさんありますから。日航にはかつては「JALパック」なんていう人気パックもありましたが、最近は海外慣れした日本人が随分と増え、パッケージプランよりも安いフリープランの方が人気ですよね。
そういった意味で、もっと消費者のライフスタイルに合わせた経営戦略を練っていくべきだったのです。
▼おバカ編集部
こんな危機的状況になるまで、何もしてこなかったのですね。
▼浜田先生
はい。一応は、2002年には日本エアシスエム(JAS)との統合、いわゆるJJ統合をし、経営規模を拡大することで状況打破を試みました。しかしながら、ローカル線の飛行機会社だったJASはもともと赤字路線を抱えていたため、結果的に経営拡大どころか、かえって状況を悪化させてしまったのですね(苦笑)。
▼おバカ編集部
でも、今でこそ大赤字ではあるものの、それでも日航のパイロットは年収2000万円とかもらっているんですよね? 消費者へのサービスを下げる前に、社内のムダから削減していくべきではないのでしょうか?
▼浜田先生
たしかに。もともと日航は、人件費やコスト高が当たり前でしたから、そのツケが溜まってしまったのですね。現段階で、人件費削減の面でいうと、約9000人の人員削減や社員のボーナスカット、正社員雇用ではなく契約社員や一度退職した人を安く採用するなどのコストカットを図っています。しかし、日航には8つも労働組合があり、「絶対に給料は下げさせない」と強い発言力を持っているのですよ。この組合というのも再建の足かせになっていて、そもそも民主党は労働組合の支持で選挙に勝てたという背景があるために、なかなか突っぱねることもできないようですね。
また、日航OB約8800人に対して、企業年金給付額(月額約50万円)の30%引き下げ案を要請しています。年金カットにはOB全体の2/3の同意が必要なのですが、もちろん賛否両論あり、現段階ではまだ65%ほどの同意しかえられておらず、2/3には達していません。それこそ会社が破綻してしまえば、年金そのものがもらえなくなるわけですが、「自分たちが今まで積み立てた年金がもらえないのはおかしい!」と断固拒否しているOBもたくさんいるのですよね。
▼おバカ編集部
うーん。やっぱり高給取りなのは一部の人だけで、今現場の第一線で頑張っている人たちが被害を被っている気がします。日航はこれからどうなっていくのでしょうか?
▼浜田先生
はい。日航再建に関連して、もうひとつ、いま問題になっているのが、アメリカのデルタ航空との提携です。もともとアメリカは、日航の持つ太平洋路線に目をつけていて、これから発展が望めるアジアへの便を増やせると考えていたのですね。そこで日米間でオープンスカイ協定が結ばれたことから、アメリカン航空との「日航争奪戦」が繰り広げられていました。しかし先日、日航はデルタ航空から約10億ドルの出資を受け入れるとし、デルタ航空との提携が有力になってきました。
デルタ航空としては、日航を傘下におさめれば十分なビジネスになると見込んでいるわけですから、うまくいけば、日航も再建できるチャンスは多分にあるといえるでしょう。しかし、アメリカのファンドが経営に加われば経営陣のトップも一新されることになります。アメリカの利益優先の経営方法のもとでは、大胆なリストラや経営方針の大幅な見直しは避けられず、日航側も手放しで喜べない部分もあります。
海外の企業の力を借りるのか、あるいは企業再生支援機構が資金を注入するのか、日航再建の筋道は、最終的には来年1月にも前原国交相が決断を下すことになるでしょう。
▼おバカ編集部
今後の行く末が気になります!
▼浜田先生
そもそも、この狭い日本に100近くもの飛行場があること自体がおかしいですよね。新幹線も高速道路も交通手段は整っているわけだから、飛行場もなるべく徐々に減らして、その土地を違う目的で活用するなど考えていくべきかもしれません。
国も、日本企業の在り方についてもっと危機感を持つべきですし、企業側も国に頼るのではなく、「自らの足で立つ」という考えを持つべきでしょう。日航も「ナショナルフラッグキャリア」という過去の栄光にいつまでもすがっていないで、自分たちの努力によって復活を遂げて欲しいものです。そういう意味では日航再建は、日本企業の新しいビジネスモデルになり得ると考えても良いのではないでしょうか。今回の問題から、日本が学べることは多そうですね。
取材・文/皆川夕美
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
空港整備特別会計
航空事業の促進を目的として、1970年度予算より設置された。航空会社の業績赤字もこの予算から補填されてきた背景があり、日航の赤字増幅の要因のひとつでもある。
オープンスカイ
これまでは政府判断のもと決められてきた飛行機の路線や便数などを、各航空会社が自由に決めることができる「空の自由化」。1998年に、日米航空協会の改定に伴い、アメリカ側の主張を受け入れる形で導入された。
企業再生支援機構
有力な経営資源や実績を持ちながら、膨大な赤字を抱える企業を支援することを目的とし、2009年に設立された。対象企業への支援決定から3年以内の支援完了を目指す。
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第29回 「中国経済【ちゅうごくけいざい】」
第28回 「デフレⅡ【でふれ・Ⅱ】」
第27回 「日航再建問題【にっこうさいけんもんだい】」
第26回 「普天間基地移設問題【ふてんまきちいせつもんだい】」
第25回 「国債【こくさい】」
第24回 「政権交代【せいけんこうたい】」
第23回 「衆議院議員総選挙【しゅうぎいんぎいんそうせんきょ】」
第22回 「東京都議会議員選挙【とうきょうとぎかいぎいんせんきょ】」
第21回 「鳩山由紀夫【はとやまゆきお】」
第20回 「2016年夏季五輪招致【2016ねんかきごりんしょうち】」
第19回 「政治献金【せいじけんきん】」
第18回 「国家公務員制度改革【こっかこうむいんせいどかいかく】」
第17回 「ガザ地区【がざちく】」
第16回 「景気【けいき】」
第15回 「バラク・オバマ新大統領【ばらく・おばましんだいとうりょう】」
第14回 「金融危機【きんゆうきき】」
第13回 「福田康夫【ふくだやすお】」
第12回 「原油高騰【げんゆこうとう】」
第11回 「北海道洞爺湖サミット【ほっかいどうとうやこさみっと】」
第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」
第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」
第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」
第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」
第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」
第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」
第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」
第3回 「FX【エフエックス】」
第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」
第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」
[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」
第21回 「増税」
第20回 「企業買収」
第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」
第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」
第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」
第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」
第11回 「高速道路」
第10回 「株式」
第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」
第7回 「通貨」
第6回 「国連」
第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」
第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」
第1回 「ペイオフ」
http://www.fe-mail.co.jp/lifestyle/obaka2/91221.cfm
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