料理意欲がわく、才色兼備なお鍋
賢い料理道具があると、日々のごはん支度が楽しくなります。先だって母からドイツ製の包丁を譲り受けたのですが、その切れ味たるや…スパスパと気持ちよく食材もシャキッと! 気分も出来映えもこんなに違うものかとつくづく感じた次第です。
日々ごはんのてこ入れもかねて、キッチンの新メンバーとしておすすめしたいのが、今人気のタジン鍋です。はじめての出会いは、フードコーディネートさん宅のおもてなしごはん。豚のかたまり肉と野菜をタジンで蒸し焼き、クスクスといっしょにいただいて、そのおいしさに感激しました。お肉がとても柔らかく、野菜の味もしっかり。オーブン焼きや、煮物とは、またぜんぜん違う味わいで。
まだあまり出回っていない頃でしたが、その便利さはたちまち料理好きに広まったようで、今やすっかり時の鍋。不景気のせいか休日は外食よりもおうちごはんという人が増えたこともきっと後押しになったのでしょう。キッチン用品店にもたくさんお目見え、材質やデザインもいろいろ見つかる、今がまさに買いどきかもしれません。
タジン鍋の便利さ、おいしさを目の当たりにして、私もとうとう手に入れました。フランス生まれの耐熱陶器ブランド、エミール・アンリのタジン鍋です。色もカタチもシックで素敵、釉薬をかけて焼き上げてあるので、汚れ落ちが良くて扱いもラクチン。直火はもちろん、オーブンや電子レンジでも使え、焼く、炒める、蒸す…いろんなことがこれひとつでできる。才色兼備な万能鍋なのです。
食卓に出来立てをそのままサーブ!
タジン鍋はモロッコ料理でおなじみ、水の貴重な砂漠地帯で少ない水分でもおいしく料理できるようにと生まれたのが始まり。とんがり帽子みたいなフタの内部に食材のもつ水分をめぐらせて蒸し焼きにします。煮るとどうしてもうまみが逃げてしまいますが、蒸すのでうまみがそのままとじこめられ、密閉されて圧もかかるので、カボチャや大根、かぶといった固めの野菜も、お肉のかたまりも、お魚でも、柔らかくおいしくできるのです。
使用前はお米のとぎ汁を入れて3分くらい煮立たせますが、後はそれほど特別なお手入れはなし。水分の多い食材でなければ、ちょっと水を足して、弱火にかけるだけ。とてもラクチンで、しかもスピーディー。
さらにうれしのは、でき上がりをそのまま食卓に出せること。テーブルでふたを開けると、蒸気がふわーっと立ち上り、出来立てアツアツの料理がお披露目される…みんなの歓声が聞けるすごく楽しい瞬間です。
さて、さっそくポトフなどなど作ってみましたが、作れば作るほど、次はどんなものでやってみようか!?と想像をかきたてられます。カンタンなのにおいしく、しかも見栄えよくできるからなんだか意欲がわいてくるのです。和でも、洋でも、中華でも、エスニックでも、どんな料理にもはまるのもまた魅力。タジンごはんがきっと日々の食卓を豊かにしてくれますよ!
text & photo 宮下亜紀