ほろ苦さがういういしい春の野菜
まだまだ寒さが厳しく、東京からは積雪の便りもありましたが、暦でいえば立春。寒中見舞いは立春まで、ここから少しずつ春の気配が感じられるようになるのです。
あまりの寒さに実感は薄いけれど、ごはんの買い出しに出ると店先には春の訪れを告げる野菜に目が止まります。自然はちゃんと春に向かって動き出しているのだなとうれしくなります。
春の野菜はどこか新芽を想像させる柔らかさ、生命力にあふれていて、香りも味わいもとても繊細。たくましい冬の野菜とはぜんぜん違う。料理もシンプルが正解、おだしでさっと煮て、お浸しにして、天ぷらで。寒さに縮こまった体に春の訪れを知らせてくれます。
うれしいことにたらの芽をわけてもらったので、さっそくいただいてみることにしました、が!たらの芽を食べたことはあっても料理したことはなし…。正直、どうやって下処理すればいいのか、おそるおそるだったのですがとてもカンタンでした。
たらの芽はたらの木の若芽。はかま(茶色い部分)を取って、さっと水洗いするだけ、アクがあまり出ないので下茹でしなくても大丈夫。菜っ葉と同じ感じでおあげと煮てみたらおいしくできました。緑がとてもきれいで、ちょっとほろ苦い、まさに春の味。そういえば子どもの頃はよく山菜採りに連れてってもらいました。あの頃は採るのは好きでも苦い味が苦手でした。今はこのほろ苦さがたまりません、フシギなものです。
冬眠中の体が目覚める!
たらの芽で好奇心がうずき、つづいて若ごぼうを手に入れました。若ごぼうも春の味、関西や四国ではポピュラーなようですが、ごぼうの茎と葉の部分のことで、葉ごぼうともいいます。ごぼうと同じように長さがあって、茎は蕗に似ています。こちらはアクがあるとのことで軽く塩ゆで、茎は筋を取って使いました。
葉は白和えに、茎はおだしで煮て、それから豚肉と炒めてしょうゆとみりん、お酒で甘辛く炒めて、まるまる使えるので三品になりました。シャキシャキっとしてこれまたほろ苦さがある。お酒にも合うおいしさです。
春を感じる味といえばほかにも、菜の花、山ウド、ふきのとう…。おいしい時期はほんとに限られていて、ういういしい味がするのが共通点。店先で「あ、出てきた!」と気づく瞬間もまた楽しいものです。使ったことがないならなおさら、ぜひこの春は手にとってみてください。繊細な味と食感が料理魂を目覚めさせるはずです。
春のにおいをいっぱい吸収して、冬眠中の自分をそろそろ起こすとしましょう。
text & photo 宮下亜紀