歴史の舞台になった場所へ
つい最近、長崎を旅した友だち曰く、長崎は今、坂本龍馬ファンでいっぱいなのだとか。出張とおぼしきサラリーマンが「龍馬通り」を感慨深げに歩いているそうです。龍馬の生き方に憧れにも似た共感を男性はやはり覚えるのでしょうか。
『篤姫』にしろ『天地人』にしろ、ここのところ大河ドラマの影響は大きく、ゆかりの地をめぐる旅が人気で、町おこしにひと役買っているところがあります。今年の『龍馬伝』ももちろん同じく。しかも龍馬の場合は、故郷の高知はもとより、フットワーク軽くあちこちを旅してくれたおかげで、その恩恵はひとところにあらず。まさか長崎にまで旅人が集まっていたとは思いもよりませんでしたが、実際、ドラマのロケ地にもなっていたというからナットクです。そういえば『冬のソナタ』ブームで韓国ロケ地めぐりもブームになりましたっけ。物語の舞台を自分の目で見てみたいというのがファン心理なのです。
さて、そこで龍馬ゆかりの地が今どうなっているのか見てみたくて、京都の伏見を歩いてみました! 京都は龍馬が若いときを過ごし、旅の起点となり、また最後を迎えた地でもある。ゆえにゆかりの地がいくつかありますが、中でも伏見は古い町並みが残る、旅情を感じる楽しい場所です。
できたての新酒も旅の楽しみ!
伏見で龍馬ゆかりの場所といえば、寺田屋。女将のお登勢と懇意にし、龍馬が京都で拠点とした定宿です。有名なエピソードといえば、敵に取り囲まれて危機迫る2階の龍馬に、のちの妻となるおりょうがお風呂から裸同然の姿で駆け上がって危険を知らせ、難を逃れた…というもの。屋根伝いに逃げたとも言われ、ここを龍馬が!?と思うとものすごく感慨深いものがあります。内部見学もできるので、ゆっくりとあの頃へ思いを馳せることができます。
さらに濠川には十石舟が浮かべられていて、ああ!龍馬が淀川を渡って大阪から京都へ、そしてまた方々へと旅していったのか!と思うとまたグッと来ます。活字の中だけではない、あの時代は確かにここに存在していたのだ!と思う。
ゆかりの地をめぐる楽しさは、その場所に往事の場面を想像すること。旅先で、心の旅をする。これぞ知識と経験を重ねた大人ならではの、旅の楽しみではないでしょうか!
また、伏見は昔ながらの酒蔵が今も現役で稼働中。大人の楽しみ、お酒も待っているのです。月桂冠、黄桜、玉乃光など、全国的によく知られるお酒ですが、実は伏見に酒蔵があるのです。酒造りに使われてきた伏見の地下水は伏水といわれ、その名が伏見という地名のゆわれになっているとか。直売所やレストラン、資料館のある酒蔵もあって、それもまたワクワクさせられます。しかも今はちょうど酒造りのクライマックス、まさに行きどき! できたての新酒はもちろん、私の大好きな酒粕もいろんな酒蔵から出ていてちょっと興奮してしまいました。
京都を旅しても伏見まではなかなか足が向かないでしょうから、ぜひ今年こそ。憧れのだれかを追いかけて旅するって、なんだか待っていてくれる人がいるみたいで、楽しい。いつもの旅とはまた違う景色がきっと見えてくるはずです!
text & photo 宮下亜紀