大事に長持ちさせる暮らしの知恵
刺し子は、擦れてほつれた布を長持ちさせるために生まれた、生活の知恵。布地に幾何学模様を縫い込んでいきます。
前々回からご紹介している、スペースR×一日舍『毎日使うもの 白雪ふきん展』期間中、ワークショップ「刺し子の時間」を開催しました。参加者のみなさんは白雪ふきんを手にひたすらちくちく針仕事、できあがりをうれしそうに見せてくださって、うらやましくてうずうず! 今回ぜひとも刺し子の楽しさをご紹介したくなりました。
会場であるスペースRは、カフェ&雑貨店の複合ショップ。カフェのキッチンでは白雪ふきんが、日常的に使われています。刺し子のワークショップを企画してくださったのは、スペースRの原さん。「カフェのスタッフたちがキッチンで、”いいものだからもったいなくて“って、それこそぼろぼろになるまでとことん白雪ふきんを使いこんでいるのを見て」布地を大事に長持ちさせる、刺し子につながっていったそう。
カフェのキッチンで使い尽くした、そのふきんに、ちくちく刺し子。一番上の写真を見ていただいたらわかる通り! よくこするはじっこは縫い目がほつれ、もはや糸の束となっていたふきんが、見事に補強されて、まるでシャーリングのブラウスみたいに見た目も可愛くなりました!
自分流に模様を描いてちくちく
へたへたのふきんに、息を吹き込んだのは、ワークショップの案内役、刺し子上手の造形作家、平山路子さん。「刺し子は代々受け継がれる伝統的な技法ではあるけれど、堅苦しく考えないで、もっと自由に親しんでもらいたくて」、提案してくれたやり方はとてもユニーク!
身の回りにあるコップ、四角い箱などなどをふきんにおいてかたどり、好きな色の糸で縫い込んでいくのです。「たぶんどんな模様にするかでつまずいてしまうと思うんですけど、これならすごく簡単にカタがとれますよ! 身近なものでつくるのが私のモットーなんです」。
出来上がってから、タイトルをつけるのも平山さん流。ワークショップでも、それぞれに想像力豊かに素敵な名前を付けて、できあがりを披露してくれました。参加者のみなさん曰く、「縫っている間にだんだんイメージがふくらんで、名前をつけるのが楽しかった」と! キャンバスに自由に絵を描いていく、あの感じと重なるのかもしれません。
「縫い方は刺繍の基本、ラニンニッグステッチと同じ。等間隔で表裏交互に縫い目を出せばいいだけ。目が細かいほど丈夫になります。糸は手芸屋さんで扱っている刺し子糸を使えば、初心者でもやりやすいですよ」。色揃え豊富で、値段も手ごろ。高価な道具を用意することなく、すぐ始められるのもいいところ。手芸経験が全くない人や、不器用さんでも、ていねいに縫えばちゃんときれいに仕上がります!
「日本の伝統的な模様ももちろんとても魅力的です。代表的な模様の一つ、麻の葉は、丈夫な葉が連続して育つところから、すこやかな成長を願って子どもの衣服の模様に使われてきたそう。一針、一針、想いを込めて縫うものなんですよね」。
ふきんに刺し子するとぽこぽこの風合いが可愛くてたまらず、ランチョンマットにやってもいいねーなどなど、アイデアも次々に浮かんできました。毎日使うものにちくちく刺し子すれば愛情もひとしお。使い捨てはそろそろ卒業、いいものと長くお付き合いできれば幸せです。
text & photo 宮下亜紀