プライベート温泉で海と空に癒される
西伊豆の土肥温泉にある無雙庵 枇杷に行きました。駿河湾を眺める高台のロケーション、海に沈む夕日を眺めて、お部屋の温泉にゆっくりとつかる。そんなことを考えただけで思わず微笑んでしまうのに、そこで実際に見える景色、肌を包む温泉の感触、湯船のつくり、流れていく時間などなど、温泉旅には、行ってみなければ出会えない幸せもたくさん待っているわけです。
印象的だったのは、空でした。海というよりも、「空」。空がこんなに大きくて、刻々と表情を変える魅力的な大自然の一部だったということに、あらためて気付き、目と心が釘付けになりました。
お部屋は全室専用温泉付きの離れタイプ。今回泊ったお部屋はメゾネットタイプで、リビングとデッキに露天風呂、寝室は2階にあります。建物の一番高い位置に貸切露天風呂が2つ。お部屋からの景色とはまた違う雰囲気。黄金色に輝く海を眺めてほっこり。そしてうれしいことに、地元の牛乳がフリー。コーヒー牛乳にしようか、はたまた牛乳にしようかとさんざん悩んで大興奮。もちろん、お約束のポーズで湯あがりにいただきました。
だんだんと暮れゆく空と海。ほのかに潮の香りを感じる風が心地よいお部屋のマイ露天風呂で、サンセットを待ちます。刻々と変わる海の風景…、お風呂もお湯も茜色に染まっていきます。やわらかな源泉かけ流しの温泉は硫酸塩・塩化物泉でじんわりとあたたまってお肌しっとり、湯船はたっぷりのサイズで、湯船の淵に枕があるので、2人並んでゆったり空を眺めることもできます。本日の夕焼けのクライマックスは雲と太陽が織りなすドラマティックな空のアート。今、ここにしかない感動の絶景セラピーでした。
このお宿で楽しみにしていたことがもうひとつ、そう、お食事です。実は、伊豆は海の幸といっても、東伊豆は相模湾、西伊豆は駿河湾で、海の生態系が全く異なっています。それゆえ、東伊豆や箱根で出会える海のごちそうとはまた違う楽しみがあるのです。さらに野菜や山葵、伊豆牛などの名産もあり、食いしん坊のわたしにはたまりません。夕食は美味しいものばかりでしたが、特に忘れがたい逸品は「するめいか肝鍋」。いかをまるごと使った濃厚スープにぷりぷりの鮪団子も入っていて、最後の一滴まで飲みほしたくなる美味しさでした。さらに驚きだったのは、大きな土鍋で炊かれた「駿河湾産の鯛飯」。「うわ~おこげ~。」そう、おこげの出来栄えもパーフェクト。おなかいっぱいのはずなのにぺロリ。なんで人はおなかがいっぱいになってしまうのだろうか・・・などと、思わずつぶやいていると、「残りはおにぎりにしておきますね」と言ってお部屋へ運んでくれました。
お部屋にはコーヒーメーカーも完備。マイ露天風呂で、モーニングコーヒーをいただきながら朝温泉で極楽、極楽。ぶらりと枇杷の敷地から続く山の散歩道へでかけました。10分程登っていくと、駿河湾の絶景が広がります。そして、海の反対側を振り向きますと、小さな果樹園。ここになっている実は、鳥と宿泊客が分け合って食べていいのだそうです。というわけで、さっそく収穫。温泉とビタミンCは、最高にビューティな組み合わせ、絶景のベンチでいただく果実は大変美味でございました。
クラランス、エスティ・ローダーグループなど、外資系化粧品会社や海外ブランドのマーケティング・広報・宣伝に携わり、15年以上の経験を持つ。OL生活のかたわら「温泉ソムリエ」「温泉入浴指導員」(厚生労働省認定)を取得し温泉を研究。その後、温泉とともに生きる決意をして独立。長年にわたる美容と旅の経験を生かし「温泉ビューティ研究家」として活動。著書「温泉ビューティ」、「だから行きたくなる 温泉セラピーの宿」(集英社)につづき、2009年10月に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)が発売。