お部屋も風景も温泉も別世界を楽しむ
旅の楽しみのひとつは、別世界に行けること・・・。日常を離れてあこがれの空間で豊かな気分になりたい。そんな時にわたしは真っ先に飛んで行きたい、とっておきの宿があります。九州の湯布院温泉といえば、誰もがあこがれる温泉地ですが、ここにはすてきなセンスのお宿がいろいろあることでも有名ですね。でも、今回はそんな湯布院温泉街からちょっと山へ登り森の中へ向かいます。道路の脇に小さな看板、森しかないんじゃないの?と思う細い坂道の先に、癒しの別世界「一壺天」が待っています。
細い坂道・・・実はこのアプローチからお宿の物語が始まります。名前の由来は中国の民話、古物商の店主が仕事が終わると壺の中の別世界に帰って行くというお話です。離れスタイルのお部屋はそれぞれ無国籍の空間づくりが魅力的。古物商も営むオーナー一家のセンスが光るインテリアです。李朝家具を配した韓国風の「瑠璃」は、森に面した露天風呂付、小川のせせらぎ、野鳥の声を聞きながら別荘気分を満喫できます。「青壁」はロッジ風、由布岳ビューのリビングにテラコッタの床、全て床暖房になっているので素足で過ごせます。こちらも寝室が別になっていて、技ありの専用露天風呂からも由布岳が一望。
感激したのは、それぞれの部屋についている「マイ温泉」。これが、ただものではない技ありの造りだったのです。すぐ近くの森の中に自家源泉を持ちその温泉をそっと湯船の下から注いでいるのですが、これは、温泉そのものが、静かな静かな風景の一部としてのインテリアであるという“美しさ”だけではないんです。そう!温泉通にはたまらないスタイル、①生まれたての源泉が空気に触れないフレッシュな状態で楽しめる⇒②それが、「マイ温泉」でわたしだけのために注がれている⇒③すなわち“温泉の美容力抜群”というわけです!!ちょっと、マニアックに興奮してしまいましたが、つまり、降ったばかりの新雪に足跡をつける~みたいな喜びということです…はい(笑)
さらに可動式のガラス窓がなんと、湯船のまん中についています。これを解放すれば露天風呂、閉じれば半分の内湯に早変わりの快適コンバーチブルスタイル、脱帽の素晴しさでした。とてつもなく気持ちいい、自然の中に解き放たれるロケーションはリフレッシュ効果絶大。泉質はアルカリ性単純泉ですが、塩と重曹成分も含有し湯あがりはすべすべほかほか。フレッシュそのもののまろやかな温泉は、肌にぴったりと寄り添うような感触の美肌湯です。
お食事処は個室スタイル。ジャズが流れ、低く切り取られた窓からライトアップされた坪庭が見える落ち着いた空間です。夕食は和洋折衷の創作料理が別世界のインテリアに負けない美しい盛り付けででてきます。鯛のお刺身はお造りではなくサラダ仕立て、ほっと和める地鳥団子のみぞ鍋や豊後牛ロース炭火焼きなど、センスのいい器選びも楽しめるすてきな時間でした。
クラランス、エスティ・ローダーグループなど、外資系化粧品会社や海外ブランドのマーケティング・広報・宣伝に携わり、15年以上の経験を持つ。OL生活のかたわら「温泉ソムリエ」「温泉入浴指導員」(厚生労働省認定)を取得し温泉を研究。その後、温泉とともに生きる決意をして独立。長年にわたる美容と旅の経験を生かし「温泉ビューティ研究家」として活動。現在は、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど数多くのメディアで活躍中。ドイツにて日本人初の「気候療法士」の研修課程を修了。著書「温泉ビューティ」、「だから行きたくなる 温泉セラピーの宿」(集英社)につづき、2009年10月に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)が発売。