山里の温泉とごちそうの幸せ
草原が続く阿蘇の風景を走るドライブは、ここが日本と思えないほど。牛や馬がのんびり草を食んでいます。山里へ降りてたどり着いたのは、産山温泉、本日のお宿です。まわりは、のどかな田園風景…、お宿の前に降り立つと、産山牛のモ~っという声、そして、ニワトリの鳴き声。そんな農村の中に素敵なお宿の入口。こんなところにいいお湯があるなんて、さっすが九州です。
秘湯のお宿「やまなみ」は、川沿いの平屋造り。貸切風呂や内風呂がいっぱいあって、楽しくて、あちこちのぞいてしまいました。 かぼちゃ風呂と命名された内風呂は、秘湯ムードいっぱい。ここの源泉温度は45℃で、そのまま、100%かけ流し。湯船が1時間ちょっとで入れ換わるほどの新湯注入率で、フレッシュそのものの温泉が楽しめます。泉質は、アルカリ性単純温泉。pH9.1のやわらかなツルツル湯。ベースはナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩泉系で、すいつくように寄り添ってくる密着感は、阿蘇の名水を思わせるお湯でございました。
さらに、このお宿でわたしがとっても楽しみにしてきたのは、実は温泉だけではないんです。そう!ここの名物料理「女将のつけもん」です。色とりどりにずらりと揃ったお漬け物は30種類以上。お漬け物に目がないわたしは、全国各地で出会うお漬け物を楽しみにしているのですが、ここは別格。見たこともないものまでお漬け物になっています。もう、わたしにとっては、スイーツバイキングと同じくらい目がランラン、最高に幸せなご馳走です。
山間にぽつんとある集落だった産山地区の農家では、各家に味噌蔵があり、そこでさまざまな工夫をして保存食を作ってきたそうです。それがおふくろの味であり、また、お客様をおもてなしするご馳走でもあったわけです。それがそのままお宿の名物料理になりました。ご覧ください!このずらりと並んだ小鉢の数々、味付けも様々、たとえば「カボチャの酢漬け」、カボチャの青っぽい香りとシャキシャキとした歯ごたえがくせになります。地元名産の「チンゲン菜のお漬け物」も珍しい。チンゲン菜がこんなに甘みと旨みがあるものだと初めて知りました。
もうこれでごはんがあれば充分と思ったけれど、出てきたお料理の素晴らしさに、またびっくり。馬刺し、煮物、しし鍋、岩魚の塩焼きなどなど、どれも美味しい。手造りのおからと肉厚の椎茸のコロッケも絶品でした。デザートは大きなぼた餅。楽しくてほっとする和みの温泉宿でした。
クラランス、エスティ・ローダーグループなど、外資系化粧品会社や海外ブランドのマーケティング・広報・宣伝に携わり、15年以上の経験を持つ。OL生活のかたわら「温泉ソムリエ」「温泉入浴指導員」(厚生労働省認定)を取得し温泉を研究。その後、温泉とともに生きる決意をして独立。長年にわたる美容と旅の経験を生かし「温泉ビューティ研究家」として活動。現在は、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど数多くのメディアで活躍中。ドイツにて日本人初の「気候療法士」の研修課程を修了。著書「温泉ビューティ」、「だから行きたくなる 温泉セラピーの宿」(集英社)につづき、2009年10月に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)が発売。