冬といえば、ぜひここへ。三国の蟹と絶景の海温泉
寒くなると行きたくなる、“温泉ビューティ食いしん坊”のわたしを呼んでいる温泉宿があるんです。初めてここを訪れたのは2年前の11月、越前蟹の解禁日でした。解禁日に泊まれるなんてラッキーと思いきや、この日しかお部屋の空きはなかったのです。なぜなら解禁日というのは、もしも海が荒れて漁に出られないということがあると、蟹が食べられないこともあるので、確実に蟹に出会いたい人は数日ずらしてから予約を入れてくるのだそうです。だから、その後、12月過ぎまでずっと宿はいっぱい。そう、つまりそれ程このお宿は人気だということなんです。
東尋坊を望む日本海に面した断崖に寄り添うように佇むロケーション。まるで海に浮かんでいるみたいなお部屋には専用の露天風呂がついています。お湯に入ると、海の断崖に突き出ているようで、ちょっと怖いくらいの迫力です。日本海の深い青と白い波はここに来ないと味わえない絶景。さらに、夕日が沈む時間も見逃せません。夕暮れ時の露天風呂は、刻々と変わる空の色が海にもお湯にも映って全身を包み込みます。塩分濃いめの塩化物泉、やわらかな肌触りの温泉はとてもよく温まります。風は冷たいけれど体の芯までぽっかぽか。海の波間に浮かんでいるような気分で開放感いっぱい。この絶景を思い出すだけでも感動する温泉です。
さてさて。蟹のお話に戻りますが、食いしん坊でもあるわたしは、全国の温泉地ならではのビューティフルなご馳走も見逃しません。越前蟹は解禁日が決まっていて、とれたての活蟹をいただけるのは11月から3月まで。しかも三国産の“黄色いタグ”は極々上質な蟹を意味する証、毎年皇室にも献上されるほどの誉れ高い逸品です。三国漁港に次々と水揚げされる蟹は生きているものばかり。望洋楼のご主人は三国有数の目利きと呼ばれる蟹達人で、自ら市場で一つずつ手に取って納得した蟹しか出さないというだけあって、数々の食通にも「これまで食べていたのは“蟹”ではなかったかもしれない」と言わしめるほどなんです。
獲れたての活蟹を現地でいただくからこそのお料理の数々。卵を抱いたせいこ蟹は1月末までの限定。活き蟹のお造りはそのまま食べればつるりんとした感触、氷水に入れるとふわりと花咲きシコシコとした歯ごたえが楽しめる。蟹みそをつけていただく甘く香ばしい焼きカニ。そしていよいよ本日の主役、アツアツに茹で上がった「皇室献上級蟹」の登場です。ご覧くださいこのサイズ、わたしの顔程の大きさです。このサイズは25年ほど生きぬいた蟹で全体の数パーセントしか獲れないのだそう。巨大な蟹を目の前で仲居さんが「手」でバリバリとさばいてくれる大迫力のエンターテイメントに思わず拍手。甘くて味が濃くて、シコシコだけどふわふわでこのサイズ。ほんとに人生観が変わる程の美味しさです。
クラランス、エスティ・ローダーグループなど、外資系化粧品会社や海外ブランドのマーケティング・広報・宣伝に携わり、15年以上の経験を持つ。OL生活のかたわら「温泉ソムリエ」「温泉入浴指導員」(厚生労働省認定)を取得し温泉を研究。その後、温泉とともに生きる決意をして独立。長年にわたる美容と旅の経験を生かし「温泉ビューティ研究家」として活動。著書「温泉ビューティ」、「だから行きたくなる 温泉セラピーの宿」(集英社)につづき、2009年10月に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)が発売。