Fe-MAIL(以下F)-台本を読んだときの感想を教えてください
加藤ローサ(以下K)-ミステリー系の台本を読むのは初めてだったんですが、すぐに引き込まれちゃいました。謎が解けたかも…って思った頃に、またゼロに戻される感じで、すごくおもしろかったですね。宮部さんの作品は読む人を惹き付けると聞いたことがあるんですが、台本を読んでそれが分かりました。
F-加代子という人物については、どんな印象を持ちましたか?
K-人を包み込む女性だなと思いました。お父さんといるときは奥さん、妹といるときはお姉ちゃん…という風に、接する相手によって自分の役割を察知して、自然と変えられる感じですね。
F-加代子を演じる上で、気をつけた点や難しかった点はありましたか?
K-このドラマは、ある1日の朝から始まって次の日の朝日が昇るまでの24時間の話なんですが、監督から「日替わりがない分、時間の流れを表現するが難しい。セットや衣装では表現できないので、俳優さん達の演技にお任せします」と言われました。物語が進むに連れて、加代子は悲惨な現場も見たりするので、時間の経過に合わせて徐々に疲労していく感じを出すように意識しました。
難しかったのは、リアクションの取り方ですね。事件現場を目撃するシーンがいくつかあるんですが、経験のないことなので、リアクションの大きさなどが分からなくて。その辺りは監督に細かく指示をいただきながら、やっていきました。
F-加代子とご自身、共通点はありましたか?
K-加代子って結構、形から入るタイプなんだと思うんです。探偵らしい仕事はほとんどできないんだけど、ネクタイを締めて帽子をかぶって、“探偵の雰囲気”を楽しんでる感じ(笑)。私も割と形から入るタイプなので、そういうところは似てます。
F-そうなんですか。最近、形から入ったものはありますか?
K-ジムですね。ジムシューズやジャージを買ったんですけど、ジャージはすでにパジャマになってます(笑)。料理もそうですね。良い包丁を一揃え買ったけど、使ってないんです(笑)。
F-(笑)。共演者の方々がベテラン俳優さんばかりですね。現場の雰囲気はいかがでしたか?
K-重いセリフや緊迫したシーンが多いので、現場も重い空気になるかと思っていたんですが、全然(笑)。撮影中は緊張した空気でも、一歩抜けると和気藹々で、ベテランさん達も冗談ばっかりおっしゃっていて(笑)。
F-進也役の中村蒼さんとは、演技のお話などはされましたか?
K-しなかったですね。蒼君とはすごく仲良くなって、ずっと喋ってましたけど、本当に雑談ばっかりです(笑)。
F-どんな雑談をされてたんですか?
K-本当に雑談で、ここで言うほどの話じゃないんですけど…「すごい貧乏なんだけどタイプな人と、すごいお金持ちなんだけど全然タイプじゃない人、どっちがいい?」とか(笑)。“究極の選択ゲーム”が現場で流行ってたんです。ベテラン俳優さんも含めて、みんなで盛り上がりました。ネタが尽きてくると絵を描き出して、宅麻伸さんが「じゃあこんな人とこんな人どっちがいい」って絵を描いてくれたんですが、どっちも宇宙人なんです(笑)。藤田朋子さんは特に重い役柄で、泣き叫ぶようなシーンが多かったんですが、控え室ではおもしろい絵をいっぱい描いてくださいました。
F-ドラマの中で、加代子の側にはいつもマサ(犬)がいますね。動物との共演はいかがでしたか?
K-調教師の先生がずっと付いていて、マサの演技は先生との共同作業という感じがしました。監督も、マサにはだいぶ神経を使われてました。マサの集中力を第一に考えて、カチンコ鳴らさないとか、「今の芝居は良かった」ってマサを褒めていたり(笑)。
F-マサとは仲良くなれましたか?
K-マサはいつも先生の姿を探してましたね(笑)。ずっと先生のことばかり見ていて、先生の言うことだけ聞くって感じで…。でも最後には、私が「マサおいで」って言うと来てくれるようになって、先生も「ローサさんに慣れましたね、すごいです!」って驚いてました。
F-お気に入りのシーンはありますか?
K-進也君が初めて加代子の家に来た日の、食卓を囲むシーンがすごく好きです。あのシーンは、登場人物みんなの人柄が濃く出ている気がします。進也君も、普段はクールな印象なんですけど、そのシーンだけは彼が切なく見えるんです。
F-今回の「パーフェクト・ブルー」はWOWOWさんのドラマということですが、民放ドラマとの違いなどは感じましたか?
K-ドラマを何本も撮られている監督さんだと聞いてたので、そんなに変わらないのかなと思ったんですけど、撮影の仕方が全然違いました。下山監督は、すごく柔軟な方なんです。1シーンがバサっと全部なくなったり、監督が“セットを気に入った”という理由で、台本にはなかったシーンを2つくらい増やしたり。セリフも、「ここ、台本では加代子はいない設定だけど、いることにしますから。セリフを考えといてください」とか、そういうことを言ってくださる方で(笑)。台本の通りではなく、手作り感が満載というか、現場で生まれた物が次々とプラスされていったという印象があります。監督とのやりとりも多かったですし、俳優同士もコミュニケーションをとる機会が多かったですね。
F-撮影を終えてみて、この作品から得たものなどはありますか?
K-得たものというか…、すごく贅沢な現場にいたなぁと感じています。普段の撮影は、カメラアングルやカットに合わせてお芝居をするんですが、今回は、私達の演技に応じて、カメラアングルやカット数などを変えてくださったんです。撮影期間も映画みたいに長かったですし、監督にはセリフの一言一言に気を使っていただいて、あれほどお芝居重視の現場は初めてだったと思います。
F-カットやセリフが急きょ変更されることに、戸惑いはありませんでしたか?
K-大丈夫でした。変更に合わせてキャストそれぞれがアドリブを入れたりしたので、台本よりもっとリアルになったと思いましたし、私達のお芝居を見て、その場で感じた通りに変更する監督の姿勢には、作品に対する大きな愛情を感じました。
F-女優というお仕事の魅力については、どういう風に感じてらっしゃいますか?
K-う~ん、なんでしょう…? 私、現場がすごく好きなんです。辛いことも楽しいことも共有しながら、みんなで一生懸命ひとつのものを作り上げる。そういう“ものづくりの現場”が大好きなので、余り現場にいるときに「自分は女優です」っていう感覚はないですね(笑)。
F-それでは最後に、ドラマの見所をお聞かせください!
K-「パーフェクト・ブルー」は本格的なミステリードラマですが、進也君の成長物語でもあると思います。いくつかの事件が起こる中で、進也君が周りの人達の温かみに触れて少しずつ癒され成長していく過程を、感じていただけたら嬉しいです。それから、さまざまな人達の心の奥にある感情が、激しくぶつかり合うシーンも出てきます。そこはベテラン俳優さん達が魂を込めて演じてらっしゃるので、すごく迫力があって、見所のひとつだと思いますね。
F-ありがとうございました!