――舞台『宮廷女官 チャングムの誓い』でヒロイン、チャングムを演じるにあたって、韓国のオリジナルドラマも全54話、ご覧になったんですよね? いかがでしたか?
「はい。すごく面白くて一気に見てしまいました。よくあれだけいろいろなことが起こるなあっていうくらい、毎回毎回チャングムには困難が降りかかって追い詰められるんですよ。それを彼女は一つひとつ乗り越えていくんですが、そこに生き方の知恵のようなものがあって、つい自分に重ね合わせて観ていました。登場人物それぞれの人生もきちんと描かれていて、中には仕方なく悪に手を染めてしまう切ない人生もあるんです。濃厚な人間関係だけでなく、当時の女性の生き方や恋愛観も盛り込まれていて、本当に魅力的なドラマでしたね。」
――韓国のドラマでチャングムを演じたイ・ヨンエさんにも今年の夏に会われたんですよね?
「そうなんです! お会いできるのをすっごく楽しみにしていました。ドラマを全部見たというのもあって、私にとってイ・ヨンエさんはもう「チャングム」だったんですよ。なので、現実世界の人ではなかったというか…(笑)。自分が芸能界に入っていると、いろんな芸能人の方にお会いする機会も多いですし、もうあんまりドキドキすることとかもないんですけど、イ・ヨンエさんは別で、一人のファンとして、すごくドキドキしてしまいました。」
――菊川さんも普通の人に戻っちゃった(笑)?
「はい(笑)。すっごくキレイな方でしたよ。とっても優しくて、ほわーっとした雰囲気を持っていらして。舞台のことをお話したら、励ましの言葉をいただきました。でも実を言うと私、ドキドキしすぎて何を喋ったのかあんまり覚えてないんです(笑)。お話している時も、イ・ヨンエさんが私の手をずーっと握ってくださるんですよ。その手がまた温かくて、だからもう余計にドキドキしてしまって(笑)。」
――いつもどんな風に役作りをされていますか。今回の作品では、ベテランの女優さんたちもたくさん共演されますよね。
「そうなんですよ、今回は素晴らしい大女優の方々に囲まれてのお仕事で。そういう環境に恵まれること自体、本当に幸せなことですよね。きっと学べることも多いと思うので、お稽古などを通じていろいろ教えていただけたらなと思っています。
役作りの方法って、きっといろんなやり方があると思うんですけど、私はどちらかというと、現場に入ってそこでみなさんと試行錯誤しながらその役を作っていくという感じですね。もちろん台本を読んだ時に自分なりの人物像なりイメージはあるんですけれど、まだ自分の型みたいなものはなくて。以前、『李香蘭』で川島芳子を演じた時は、彼女について書かれた本を読み込んで男性的な振る舞いなど、かなり外見や仕草からアプローチしていったんですけど、今思うと、逆に形にとらわれすぎちゃったかなという反省もあったりして、まだよくわからないんですよね。」
――菊川さんは、女優業のみならず、バラエティ番組に出演されたり司会業もされたり、本当に活動範囲が多岐にわたっていますよね。仕事によってスイッチの切り替えが常に必要になってくるでしょうし、忙しい中で大変ではありませんか?
「うーん、そうなんですよねぇ、切り替えは難しいですね。特に舞台中のバンキシャとか。ただ、逆にいい面もあって、いろんな仕事をすることによって一つのことで煮詰まらずに済んでいるかなっていうのはあります。常に新しい風を感じていられるというか、仕事をしながらいいリフレッシュができるというか…。リフレッシュというと軽くなっちゃいますけど、いい刺激になっていますよね。
もしかすると、それによる弊害が「中途半端」ということになっちゃうのかもしれませんが、時間やバランスを考えて、自分のできる範囲でベストを尽くしていきたいと思っています。どのお仕事も楽しいですし、そうしたいろんな経験が女優としての糧になっている部分も大きいと思うので…。
でも、本当にまだまだです、ひとつひとつ頑張って結果を出していけたらと思っています。」
――菊川さんにとって居心地のいい現場っていうのはありますか?
「居心地がいいって、あんまりないんですよねぇ(笑)。居心地が悪いっていうわけではないんですけど、いっつも緊張してしまって。実は私、人見知りがすごく激しくて、環境や相手に合わせちゃうんですよ。誰に対しても、いつも同じ自分で接することができたらって思うんですけど…。」
――ええっ? でもバラエティなどでは、いい具合にボケてません? あれは天然??
「よく言われるんですよねぇー(笑)。でも、自分では何が面白いのか全然わからないんですよ。そもそも私の場合、何か面白いことを言おうとすると、だいたいシラーっとしちゃうので(笑)。だから、天然なのかなあ、どうなんでしょう??」
――最初の頃は、東大出身っていう硬いイメージをやわらげるために、あえてボケているのかなあとも思って見ていましたけど。
「最初の頃は確かに、「優等生」とか「まじめ」とか、そういう方向性にふられることが多かったので、本当の私は違うのに! とわざとはしゃいでみたり、ヘンに意識してイメージを崩してみようとしたり、反抗していたところはありました。その時の自分は、もう恥ずかしくて今は見られないと思いますね(笑)。
今ならわかるんです。東大出身というのがあったから、出るチャンスもいただけたわけで、本当は感謝すべきことだったんですよね。きっと、大人として対処できる方法もあったでしょうし。でも、あの時は「なんでこんな質問ばかりされるんだろう」と思って、いじけていました…。
ここ一年とか二年くらいの間ですね、こういう風に自分をわかってもらおうとか、こういう風に見られるように表現しようとか思わなくなって、それで吹っ切れました。」
――大人になったっていうことでしょうか? もうすぐ30歳になるんですよね。
「そーなんですよ、もうちょっと20代をやっていたかったなという気持ちもあるんですけど、でも、時の流れは逆らえないですし、逆らうといいことないでしょうしね。今は、これが私の20代だったわけで、それを踏まえた上で、いいことも悪いことも含めてこれからもっと成長できるのかなと思っています。」
――月並みですけど、結婚願望もありますか?
「結婚できたらいいですねー。願望はあります! やっぱりお互い尊敬しあえて成長できる関係性が理想ですね、っていうと堅くなっちゃうけど、一番大事なのは一緒にいて楽しくて、ほっとくつろげること。人間って孤独じゃないですか。でも人生のパートナーとして、生きていく知恵というか価値観というか、そういう部分で自分と共感し合える人がいいですね。
でも、今は一人で過ごす時間を、単に「寂しい」という風にとらえるのではなく、どう楽しむかというのをテーマにしているところもあるんです。時間がなかなか取れないんですが、機会があれば歌やダンスも勉強したいですし。」
――菊川さんだったら、芸能界だけでなく、いろんな選択肢もあったように思うんですけど、この道を選んでよかったと思いますか?
「違う人生にも楽しいことがいっぱいあるんだろうなって、よく妄想?想像?はしています(笑)。でも、エンターテインメントって、人に幸せを与えたり元気を与えたりできる素敵なお仕事ですよね。まだまだやりたいこともありますし、お仕事も楽しいし、この道に入ってよかったと思っています。
芸能界に馴染んでいくのは、(人見知りの性格もあって)難しかったけれど、最近はお話できる人も増えて、現場も楽しくなってきました。どうしても周囲の目が気になってしまう業界ではあるんですけれど、最近は流れに沿うように生きるというか、マイペースが一番だなぁって。一番、自分が安定するような気がするんですよね。
こういう女性になりたい!というような具体的な目標とかではないんですけれど、輝いている方もたくさんいらっしゃるし、例えば同じ所属事務所の高樹沙耶さんは、本当に素敵。パワフルでかっこよくて憧れますね。あんな風になれたらなあと思っています。」