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Introduction

イメージに固定されず、ニュートラルなところにいたい

東京ドームの約5倍の広さのなかに、水産・青果あわせて約900の仲卸業者が集まる「築地市場」。水産部門の取り扱いは世界最大級を誇り、外国人観光客からの人気も高い<日本の台所>を舞台にした、同名コミックが待望の映画化! 築地ならではの厳しさや人情を笑いと涙で包んだ、Fe-MAIL世代にもお薦めのハートウォーミング作です。キャスト陣を代表して、ハリウッドデビューも果たし、40代を過ぎてますます輝きつづける伊原剛志さんにお話を伺いました。

Fe-MAIL(以下F)-この企画の何に惹かれて、参加を決められたのでしょう?

伊原(以下I)-今回いちばん大きいのは、役柄ですね。脚本に描かれていた、英二のキャラクターに惹かれました。

F-同僚からも友人からも愛されている英二ですが、実際に演じられた伊原さんから見るといかがですか?

I-英二は昔の日本人のような男気があって、仕事にプライドをもちながら、それでいて女性には弱い。ボクは好きになったら『好き』と言いますから、女性に関しては正反対のタイプですね(笑)。

F-正反対とは、まったく思えませんでしたよ。演じるときには、何か少しでも共通点を見出しますか? あるいは素の自分は完全に捨て去りますか?

I-その都度で違うんですけど……今回はホン(脚本)を読んで理解したその気持ちを忘れずに演じました。いわゆる主役ではないけれど、とても大事な役だなと思います。物語のキーを握っていて、ボクが外すと(映画が)とんでもないことになってしまう(笑)。

F-劇中には個性豊かな“築地の男”がたくさん登場しますが、伊原さんご自身が考える築地の男とは?

I-やはりまず、自分の仕事にプライドをもっていること。そして英二に限って言えば、“言わなくても分かるだろ?”みたいなことでしょうかね。黙して行動するような。彼にはとにかく仕事が第一。築地の世界を何よりも大切に生きている男です。

F-その“築地の男”を表現するにあたって、どんな準備をされましたか?

I-このお話をいただいてすぐに、築地へ見学に行きました。たまたまマネージャーの実家が魚河岸で商いをやっているので、案内してもらって。築地は初めてだったんですけど、いろいろ感じることができましたね。銀座のすぐ近くにありながら、日が昇るのが早い。夜明け前から活気があって、気風のいいヒトたちがいっぱい居ましたね。本当に皆さん仕事にプライドをもっていて、エネルギーにあふれているというか。マグロの競りに始まり昼ごろまで、仕事の邪魔にならないように(笑)いろいろ見学しつつ質問して。そのときに英二のイメージが大体、頭のなかで出来上がっていきました。

F-築地の場内でもロケをされたんですよね?

I-衣装に着替えて場内をウロウロしていると、馴染んでいたのか余り気づかれなかったですよ(笑)。全体的に皆さんとても協力的でしたけど、やはり仕事中ですから、ときには邪魔者扱いもされて(笑)。時間との闘いというシーンもありました。

F-本当に、伊原さんは築地の世界に溶け込んでいました。

I-ありがとうございます。ボクらは、どれだけリアリティをもって存在するかが勝負。セリフを言わないときでも、居るだけで本当にそこに生きているように見えないといけないですから。そう思っていただけるのは、役者冥利に尽きますね。

F-今回の役柄で、新しい挑戦だったのは?

I-英二というのは、自分の境遇や過去を打ち明けない男なので。どのくらい前に出て、どのくらい引いてという感覚が難しいなと。ボクはあんなに寡黙じゃないですからね。

F-魚の勉強もされたんですよね?

I-包丁さばきを教えてもらって、家でも練習しました。

F-おいしそうな魚や魚料理がたくさん出てくるのも、目の保養でした。

I-撮影現場では弁当なんですよ。でもクライマックスのシーンに登場するブリ、あれは『食べきれないのでどうぞ』とスタッフに言われて、撮影後に1本いただきましたね。10kgぐらいのブリを1本、行きつけの寿司屋に持っていってさばいてもらいました。その日に北海道から届いたばかりだったのかな? 新鮮でおいしかったですよ。

F-劇中には英二の恋愛エピソードも登場しますが、伊原さんご自身はどんな女性に魅力を感じますか?

I-ボク個人のですか? そんなの恥ずかしくて言えないですよ(笑)。ただ仕事でも何でも目標に向かって一生懸命、打ち込む女性はステキだと思いますね。

F-『硫黄島からの手紙』を観て伊原さんのファンになった若い女性も多いと思いますが、海外のお仕事にもまた挑戦されますか? 日本と違ってオーディションが基本ですよね?

I-必要ならオーディションも受けますよ。この年令(とし)になっても緊張感をもって仕事ができるのは非常に幸せなことですね。まだまだ緊張していたいですし、演じたことがないような役柄に挑戦していきたいと思っています。いつでも必要に応じて前へ出たり後ろへ下がったりできるよう、なるべくイメージに固定されずに、ニュートラルなところにいたいですね。

F-最後に、Fe-MAIL読者にひと言お願いします。

I-『築地魚河岸三代目』は少し前の日本にあったような、人間のやさしさや触れ合いを描いている映画です。気楽に劇場に足を運んで、温かい気持ちになっていただければと思います。



取材・文/柴田メグミ

Profile

伊原剛志
1963年11月6日、大阪府出身。
83年、「真夜中のパーティ」で舞台デビュー。坂東玉三郎演出「海神別荘」(94)での演技が高く評価され、96年、NHK朝の連続テレビ小説「ふたりっ子」で人気を集めた。主な映画出演作に、『みんなのいえ』(01)『半落ち』(03)『ヒナゴン』(05)『叫』(06)『銀幕版 スシ王子! ~ニューヨークへ行く~』(08)ほか。2006年にはクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』でハリウッドデビューを飾るなど、活躍の場を広げている。

Pick up Artist

(C)2008「築地魚河岸三代目」製作委員会

「築地魚河岸三代目」 6月7日全国ロードショー

監督/松原信吾 出演/大沢たかお、田中麗奈、伊原剛志、森口瑤子、柄本明、伊東四朗ほか

●ストーリー
商社に勤めるサラリーマン・赤木旬太郎は、ひょんなことから恋人の実家である築地魚河岸の仲卸店「魚辰」を手伝うことに。長年のしきたりや独特のルールのなか、悪戦苦闘の毎日を送る旬太郎。けれど築地でさまざまな人と出会い、共に働くうちに、いつしかサラリーマン生活のなかで忘れかけていた、大切なものに気づいていく……。シリーズ化も決定! 多彩なキャスト陣に、築地市場が全面協力したという場内の風景も見ものです。




これまでのインタビュー
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