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Introduction

父役は、ほとんど“地でやれる”と言う感じでした。

デビュー30周年を迎える、大人気ロックバンド“シーナ&ロケッツ”。リーダーのギタリスト、鮎川誠さんは、数々のアーティストがリスペクトする、偉大なロッカーです。そんなロックキングがこの度、本格的に映画出演!作品は、長嶋有さんの同名小説を映画化した『ジャージの二人』。ワケあり父子(おやこ)が、軽井沢の別荘で何もしない夏休みを過ごすという、ちょっぴり脱力系なお話。グラビアカメラマンの“父”役をジャージ姿で演じた鮎川誠さんに、お話を伺いました!

Fe-MAIL(以下F)-出演依頼を頂いた際に、この映画にどのような印象をもたれましたか?

鮎川誠(以下A)―夏休みを軽井沢で過ごすと言うストーリー、“ほんの少しのアイデアで、ゆっくり時間が流れる、優雅な夏が過ごせるんだ”と言う発想が、凄く良いと思いました。また、特別なエピソードがある訳じゃ無いけれど、それが返ってリアルで、“どこにでもあるもの”を大事に描いた、良い親子の映画だと思いましたね。

F-出演依頼は、すぐに引き受けられたのですか?

A―最初は辞退しようと思っていたんです。作品も良いし、ステキなお話を頂いて光栄でしたけれども、ちょうどレコーディングの計画を立てていた時期だったので…。スケジュールが難しいので、一度は“辞退せざるを得んなぁ”と思ったんです。そして辞退する旨を伝える為に、中村監督ともう一度お会いしたんですが、その時監督が「やっぱり鮎川さんじゃ無いと!」と言って下さって。“これは頑張るしか無い!”と、僕もすっかり映画モードに切り替わって、「よろしくお願いします」と引き受けました。

F-撮影中の、何か楽しいエピソードなどありましたら、教えて下さい。

A―僕は、今回のように、撮影の始まりから終わりまで、ほとんど皆と一緒に撮影に臨む、と言う、本格的な映画出演は初めてだったんです。今までに無い経験だったので、撮影すべてが楽しかった。山の中なので天気も不安定で、雨が止むまで皆で待ったり、予定通りに進まない事ばかりでしたが、それも良い思い出ですね。また、それぞれプロフェッショナルな皆が、OKシーンをとる為に、一気に心をひとつにする場面に、たくさん居合わせました。そういった経験が出来た事も、凄く嬉しかったです。それから、北軽井沢の雄大すぎる自然、本当に雄大で荒々しい、土地の持つエネルギーを感じられた事も嬉しかったです。

F-スタッフの皆さんの熱意を感じる現場ですね。雰囲気はいかがでしたか?

A―和やかで暖かく、中村監督を中心に「楽しい映画を撮っている」と言う雰囲気でした。ただ、やはり“本番!”ってカチンコを鳴らしてからの結集力と、皆のエネルギーは強かったですね。それ以外は、本当に和気藹々です。ジャージを支給されて、撮影隊も皆スタッフジャンパー代わりにジャージ着用で。楽しかったですよ。

F-鮎川さん演じる“父”は、言葉数が少ない分、行動ひとつひとつに“父らしさ”表れていたと思いますが、演技をする上で、監督から細かい指導があったのですか?

A―大きな部分は随所、良いタイミングで分かりやすく指導して頂きました。でも基本的には“地でやれる”と言う感じでしたね(笑)。息子役の堺君も、地でやっている感じだったんですが、本当の父を見るような感じで僕の横に寄り添ってくれた事が、とてもありがたかったです。

F-堺さんとは今回のお仕事が初対面だったのですか?第一印象はいかがでしたか?

A―そうですね、初めてお会いしました。第一印象は、飾らなくて、明るくて素直で、サバサバした九州男児。初対面から、お互い九州モンと言う事を喜びあいましたよ。出会ってすぐに、一緒に衣装合わせをしたり、台本合わせをしたり、仲良く仕事をしました。賢いし、気も細やかだし…、なんか、彼の良い所ばっかり出てくるな(笑)。キレイな顔しているし…。本当に色々出てきます(笑)。

F-鮎川さんが演じた“父”は、ご自身と共通する部分はありましたか?

A―グラビアカメラマンの“父”は、昔、自然カメラマンをやっていました。自然を相手に写真を撮るのは、撮影場所に行けば必ず動物が来て、ポーズを取ってくれて、それを撮るだけと言うものでは無い。自然の計らいで出会う訳だからね。良い写真を撮る“瞬間”をつくる為に、自分から動いて、勘を働かせたり、息を潜めたり、願ったり…。そういった作業が、バンドをやっている僕と被るんです。毎日生きている場所で、生きているファンとロックをやっていくのは、“その時これが起こったら、俺はこうしよう”と、その瞬間に決めるもので、全然予定調和じゃ無いんです。全く別の職業だけれど、父とは共通点と言うか、共感できる部分がありますね。そして、そう言うクリエイティブな世界を潜り抜けてきた父が、自分で見つけた、自分だけ特別な場所を、まずは息子に味わって欲しいと思う。息子の事を、かわいいと思っているんですね、大きくなっても。でも、例え息子が何か問題を抱えていると知っても、口を挟んだりはしない。親子と言えど、幸せを願っているけれど、勝手に立ち入って命令したりはしないんです。その問題を父親が解決できる訳でも無いですしね。で、息子もちゃんと父の気持ちを察している。何も言わないけれど、お互いが察しあう…。この部分は、本当にリアルな親子の感じですね。僕も娘が居るので、いかにリアルかが良く分かる。自分も“父”と同じですよ。

F-娘役だった田中あさみさんとの親子役はいかがでしたか?

A―あまり、役とは思わないで接していましたね。本当の娘みたいに可愛いかったです。堺くんとあさみちゃんも、本当の兄弟みたいでしたし…。映画のシーンだけじゃなくて、撮影の中でそんな感じなんですよ。例えばダンカンさんが来るシーンや見送るシーンなんかは、映画の撮影なのに、現実かと錯角が起きるような感じでした。

F-中村監督と一緒にお仕事をされてみて、いかがでしたか?監督は、どんな方ですか?

A―太陽みたいな方ですよ。しかも、雲がかかったりする事もなく、いつもサンサンと元気。彼のバイタリティは本当に凄いと思いました。いつも明るくて、いつも一番笑っていて、僕らを安心させてくれる。また、監督はしっかりしたビジョンを持っているから、サゼッションする時も、ブレが無く均整のとれた指導なんですよ。心を大切にする監督さんで、安心して一緒に仕事ができました。撮影終了日は皆でバーベキューパーティをやったんですが、監督はその時も元気でした(笑)。素晴らしい監督やスタッフと、最後まで明るく楽しい撮影現場。そして、ジャージとか別荘とか、軽井沢とかミロと言う犬とか、力のある素材も揃っているので、「この映画はとてもステキな映画になるな」って言う予感がありましたね。

F-別荘にいる時、父はずっとファミコンをやっていましたね。鮎川さんご自身もテレビゲームをするのですか?

A―今はもうやらないけど、昔は良くやっていましたよ。子供のやっていたファミコンを取り上げてやってみたら、意外と面白くてね(笑)。娘がまだ小学生位の時に、PTAでロック好きのお父さんと知り合って、親友になったんです。彼とはよく一緒にファミコンやっていました。子供が寝静まった頃、大人同士で(笑)。あれって何て言うか…、すごいリラックスタイムなんだよね。

F-鮎川さんはロックなイメージが強いのですが、ジャージを着る事に抵抗は無かったですか?

A―ジャージはね、僕には何のイメージもなかったんですよ。学生生活を通しても、ジャージってあまり着た事無いんです。だから皆さんのように「えっジャージ!?」と言う発想も無く、何の先入観も無く、「お~ジャージ!良いやん!」って楽しんで着ていましたよ。着心地も、最高!



取材・文/小林望

Profile

鮎川誠
1948年、福岡県久留米市生まれ。「シーナ&ロケッツ」ギタリストとして、78年に「涙のハイウェイ」でデビュー。現在結成30周年を迎えた今尚、世代を超えて支持を受けるモンスターロックバンドとして活躍中。また、音楽以外でも「ポカリスエット」のCMに出演するなど、その独特の存在感で多くの人を引きつけている。今年4月には8年振りとなるオリジナルアルバム「JAPANIK」をリリース。

Pick up Artist

(C)2008「ジャージの二人」製作委員会

「ジャージの二人」 7月19日全国ロードショー

監督・脚本/中村義洋 出演/堺雅人、鮎川誠、水野美紀、田中あさみ、ダンカン、大楠道代、他

●ストーリー
芥川賞・大江賞作家、長嶋有の同名小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』『チーム・バチスタの栄光』の中村義洋監督が映画化。会社を辞めたばかりの息子(堺雅人)は、グラビアカメラマンの父(鮎川誠)に誘われ、北軽井沢の古ぼけた山荘で夏休みを過ごす事に。息子の妻はよその男と恋愛中、父は3度目の結婚にも黄信号、という問題を抱えながらも、亡き祖母が集めた古着のジャージを着て、二人は毎日をのんびりと過ごす。翌年の夏も、二人は猛暑の東京から逃れるように山荘へ向かうが…。






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