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Introduction

何かが起こってからではなく、
何かが起こる前に行動する素晴らしさを感じて欲しい

「陰日向に咲く」「イキガミ」など、話題の映画出演に続き、現在は連続ドラマ「小児救命」(毎週木曜21:00~ テレビ朝日系)にも出演中と、活躍の続く塚本高史さん。主演最新作『イエスタデイズ』は、本田孝好さんのベストセラー短編集、「FINE DAYS」の一編を映画化した作品です。“決断”をテーマにした本作品で、父との関係・自分の将来に悩む若者を、自然体で演じた塚本さん。周囲を和ませる明るさと、ハキハキとした実直な受け答えが印象的でした。

Fe-MAIL(以下F)-最初に台本を読んだ時、どんな印象を持ちましたか?

塚本高史(以下T)-僕も男であり息子なので、この作品の父親との付かず離れずの関係は、実際にある状況だなと共感しました。それから、“過去に行って昔の父親に会える”という部分は、主人公が羨ましいと思いましたね。過去を見て、自分の中で父親を解釈して、現在の父親との関係を変わるなんて、幸せですよね。
また、“過去に行く”というファンタジーっぽい設定があるけれど、僕はこの作品を人情映画にしたかったんです。現場に入った時、ファンタジー映画にならない様、気をつけて取り組もうと思いました。そして、自分がやるからこその主人公、僕なりの若者・息子にしたいと思いながら、取り組みました。

F-完成した映画をご覧になった感想を教えてください。

T-最初の五日間くらいで、父親とのシーンを全部撮っちゃったんですよ。その後に他のシーンを撮ったので、「中身どうなってんのかな?」と気になっていて、出来上がりが楽しみでした。完成品を観ても、僕は本人なので客観的には見れないですが、全編通して気持ちが繋がっていたと思うので、良かったと安心しました。

F-窪田監督は初の長編映画だったそうですが、監督とのお仕事はいかがでしたか?

T-長編映画初監督の割には、結構譲らない方でした(笑)。この作品に対する、自分なりの世界観を、しっかりと持っている方でしたね。例えば、僕らが何か提案しても、「あー、そっちの方が良いから、そっちにしよう」と、すぐに人の意見につられるのでは無く、「一回それもやってみて」と言う感じだったんです。ディスカッションの時間も、たくさん作ってくれましたし、“一緒に作れた”という感じですね。
また、僕は、気持ちが入らなかったらセリフは言いたくないし、動きが制限されるんだったらセリフは変えても良い、と思っているんです。監督もそういう方だったので、台本のまま作っていったかと言われたら、そうでも無くて。時間掛けながら、良い感じで仕事できたかなと思います。

F-父親役の國村隼さんとは初共演だったそうですが、どんな俳優さんでしたか?また、一緒にお仕事をしてみて、いかがでしたか?

T-「『イエスタデイズ』という作品に参加して、何を得ましたか?」と聞かれたら、「國村隼さんと出会えた事が一番の収穫です」と答えてしまう位、素晴らしい方でした。演技に関してはもちろんですが、演技以外にも、撮影の合間で時間がある時に、ずっと一緒に居て下さった事が、僕は本当に嬉しくて。良い意味で子供の様な人、子供の心を持っている役者さんで、とっても良い方でした。
また、撮影の合間に國村さんと、役とは正反対の時間を過ごせた事で、芝居にも集中できました。一つ一つのセリフも、考えながら言うのでは無く、本当の父親と喋っている感じだったんです。意味を持たせたら、とても深い意味になってしまう言葉を、お互いさらっと言ってしまう。僕は、そういうものが親子の会話だと思うんですが、その辺りも自然に出来たので良かったなと思います。

F-塚本さんが、一番お気に入りのシーンはどこですか?

T-澪さんと二人で部屋を出て行くシーンも、印象的なシーンだと思うんですけど、やはり僕は、最後の親父との海のシーンですかね。

F-あのシーンも最初にまとめて撮られたと伺って、驚きました。本当に、自然な感じで演じてらっしゃったので…。

T-それもやはり、國村隼さんの、お導きだと思います(笑)。

F-ちなみに、実際のお父様と塚本さんは、どのような関係ですか?

T-付かず離れずというか、多くを語らないと言うか…、そういう感じですね。別に親父と恋愛の話をする訳ではないですし(笑)。親父との関係は…、血の繋がった友達の様な感じ、ですかね。

F-主人公の聡史は、若かりし頃の父親の恋人に心惹かれていきますが、これはとても複雑な心模様ですよね。どの様に演じられたのですか?

T-…血は争えねぇな、と思いましたね(笑)。父親が好きだった人だから好き、では無くて、何か…、素直に惹かれたんでしょうね。
でも原作では、「ずっと好きでした」という様な聡史のセリフがあるんですけど、僕は監督に、そのセリフは言いたくないと言ったんです。聡史の澪さんに対する感情は、恋愛感情じゃないと思ったので。澪さんは現代の人ではないと聡史も分かっているので、憧れで留めたんじゃないかと。そして、ただの彼氏彼女・好き嫌いを通り越した、見守っていたい存在だったんじゃないかと思うんです。それで僕は、「ずっと好きでした」では無く、「ずっと見てました」と言わせて頂きました。

F-塚本さんの、撮影中のリラックス方法は何ですか?

T-黙らない事、ですね。僕、思った事を結構口に出すタイプなので。現場でも、何をして待ってて良いか分からない時は、「何やってんのー!?」って、スタッフが仕事をしている所に入っていって、一人で騒いでました(笑)。
それから、現場にギターを持って行って、カメラマンとPCで曲を作ったり、それを監督に聴かせたり、監督に声を入れて貰ったり(笑)。

F-この映画は、人生の「迷い」や「決断」が大きなテーマになっていますね。今自分の将来に迷っている人達に、何かアドバイスはありますか?

T-僕は、迷う事を幸せな事だと思うんです。迷いもせずに「もう、いいや」と、簡単に投げ出してしまったりする世の中ですから。迷えるのは凄く幸せで、“天秤”があるからこそ迷う訳ですが、何かと何かを天秤にかけた時、重い方に行けば良い。迷っているものに、優先順位をつけて進んで行けば良いんじゃないかと、僕は思います。夢や目標が決まらないのは、決めていないから。何も決まっていないなら、どこへでも行けるのだから、とにかく一回、“決断”してみれば良いんじゃないかと思います。

F-ご自身が俳優になった時も、何かと何かを天秤にかけるような事があったのですか?

T-はい。僕は、ずっとサッカーをやっていたんです。ちょうどJリーグが開幕して、カズ全盛期の頃でした。「中学出たらカズみたいにブラジルへ留学しよう」って、すごく漠然とした思いがあったのですが、そんな時、母親がオーディションに応募して…。
自分から進んで俳優になった訳では無いんですし、「目立てればいいや」位の気持ちでこの世界へ入ったのですが、ここは、自分が楽に居られる場所なんです。偽らない自分で居られる…と言っても、偽る仕事(芝居)をしているんですけどね(笑)。

F-最後になりますが、女性読者に向けて、映画の見所をお願いします!

T-『イエスタデイズ』は息子と親父の話ですが、娘や母親の立場でも、絶対どこか共感してもらえる所があると思います。
また、一番近くに居る人ほど、その人の大切さが分からなかったりするものです。例えば、その人が“余命あと何ヶ月”と言われた時に、その人の為に何かしようと行動すると思いますが、そうじゃなくて、明日からでも、その人の為に何か行動する。そうすれば、毎日はもっと楽しくなるし、その人とも、今よりもっと良い関係になれると僕は思います。何かが起こる前に行動する素晴らしさを、この映画を観て感じて頂けたら嬉しいです。

Profile

塚本高史
1982年東京都出身。1997年に映画「職員室」でデビュー。2000年公開の「バトル・ロワイアル」で注目を浴び、2002年「木更津キャッツアイ」(TBS系)のアニ役で大ブレイク。その後「タイガー&ドラゴン」「マンハッタンラブストーリー」など、宮藤官九郎脚本作品をはじめとする、TVドラマに多数出演。また、「タイヨウのうた」(06)「涙そうそう」(06)「陰日向に咲く」(08)など数多くの映画にも出演し、幅広い役柄を演じる。現在、ドラマ「小児救命」(毎週木曜21:00~ テレビ朝日系)にも出演中。

Pick up Artist

(C)2008 YESTERDAYS FILM PARTNERS

「イエスタデイズ」 11/1(土)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

監督/窪田崇 脚本/清水友佳子 原作/本多孝好 出演/塚本高史、國村隼、和田聰宏、原田夏希、カンニング竹山、他

●ストーリー
仕事人間の父に反発して家を飛び出したものの、自分の進む道が見つからないまま、アルバイト生活を送る聡史(塚本高史)。そんなある日、聡史は、癌で余命わずかな父・昭彦(國村隼)に3年ぶりに呼び出され、32年前に別れた恋人・澪を捜してほしいと頼まれる。戸惑いながらも彼女を探し始めた聡史は、かつて父と澪が暮らしていたアパートを訪れる。そこで出会ったのは、なんと若き日の父(和田聰宏)と澪(原田夏希)だった…。




これまでのインタビュー
#62 石丸幹二 #61 加藤ローサ
#60 西島秀俊 #59 フットボールアワー
#58 林遣都 #57 能世あんな
#56 スネオヘアー #55 高良健吾
#54 玉木宏 #53 麻生久美子
#52 加瀬亮 #51 仲村トオル
#50 渡部豪太 #49 マイコ
#48 成宮寛貴 #47 市川実和子
#46 塚本高史 #45 新垣結衣
#44 遠藤雄弥 #43 鮎川誠
#42 タナダユキ #41 伊原剛志
#40 小出恵介 #39 西島秀俊
#38 Skoop On Somebody #37 山田洋次
#36 米倉涼子 #35 永作博美
#34 菊川怜 #33 浅野忠信
#32 松尾スズキ #31 堺 雅人
#30 松山ケンイチ #29 田丸麻紀
#28 熊谷和徳 #27 君塚良一
#26 行定勲 #25 藤原竜也
#24 ウェイウェイ・ウー #23 杏さゆり
#22 上原さくら #21 江角マキコ
#20 宮﨑あおい #19 伊藤英明
#18 乙武洋匡さん JUNICHIさん #17 姿月あさと
#16 椎名桔平 #15 ANDY LAU(アンディ・ラウ)
#13 忌野清志郎 #12 山下 久美子
#11 高橋克典 #10 妻夫木聡
#9 佐藤 可士和 #8 長谷川 理恵
#7 Amin(アミン) #6 沢村一樹
#5 上妻宏光 #4 松岡 充(SOPHIA)
#3 ますい志保 #2 滝田洋二郎
#1 鄭義信(ちょん・うぃしん)
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