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Introduction

「怖い、怖い」と言っていると、
だんだん本当に怖くなってくるんです。

世界30カ国以上で公開され、絶賛を受けた『悪夢探偵』から一年半、早くも続編の『悪夢探偵2』が公開されます。主人公・影沼京一の過去に迫る本作で、京一の母親役を演じたのは、市川実和子さん。“全てを怖がる女”という、非常に難しい役を見事に演じきった市川さんに、作品やお芝居についてお話を伺いました。
お会いした市川さんは、モデル時代から変わらないスラリとした長い手足と、大きな瞳がキュートな女性。飾らずユーモアたっぷりの語り口で、様々なお話を聞かせてくださいました。


Fe-MAIL(以下F)-市川さんは、この作品のどんな所に惹かれて、出演を決められたのですか?

市川実和子(以下I)-台本を読んだ時、最後のシーンがすごく良いな、と思ったんです。実は私、怖い映画が苦手なんです。精神的に辛いシーンもいくつかあると分かっていたのですが、全てすっ飛ばして、最後のシーンに惹かれて、ぜひやりたいと思いました。ただ、この映画の核でもある“京一の母親”という役を、子供のいない自分につとまるのか、自信がなかったので、監督にお会いした時、正直にお伝えしました。私が「“お母さんになりきれなかったお母さん”なら出来ると思います」とお伝えした所、監督も「逸子はそういう役だと思う」と言って下さったので、安心してお話を引き受けました。

F-本作品を始め、市川さんは実に様々な役を演じていらっしゃいますが、ご自身の中で、お仕事を引き受ける基準の様なものは、あるのですか?

I-以前は、あまり深く考えず、ただ「やってみたい」と引き受けることが多かった様に思います。最近は、何か少しずつ変わってきたみたいです。

F-そういう意味で、特定のシーンに惚れ込んだ本作品は特別なのでは?

I-そうですね。でも、最後のシーンを演じる以外、ほとんど何も考えてなかったので、いざ撮影に入ったら、思いの他辛くて…(笑)。やはり、子供を殺そうとするシーンや首を吊るシーンは、例え擬似(演技)でも大変辛い作業でした。自分がなくなってしまう様なことはなかったのですが、本当“あ~辛いなぁ…”って(笑)。家に帰ってから、何もせずボーっとしてしまう時もありました。

F-“全てを怖がる女”という特殊な役でしたが、逸子に感情移入はできましたか?

I-怖がったり、叫んだり、衝動的なシーンが多くて…、その時は感情移入というより、行動に伴って演技をしていきました。私は逸子の様に“見える”訳ではないし、聞こえないし…。でも、言葉って不思議なもので、「怖い、怖い」と言っていると、だんだん、本当に怖くなってくるんです。逸子の恐怖は計り知れないけれど、誰の中にもある、そういう気持ちが大きくなったことなのかもって考えてたんです。精神状態によって、ネガティブなイメージばかり沸くことってありますよね。例えば、“あの人、私のことをこう思っているんじゃないか”とか。そうやって、少しずつふくらませていきました。

F-逸子が幼い京一を抱きしめて泣く場面が、非常に印象的でした。見事に泣いてらっしゃいましたよね。あのシーンは、どの様に撮影されたのですか?

I-あのシーンは京一役の男の子を、本当に泣かせなきゃいけない場面だったので、本気で突き飛ばしたんです。突き飛ばされた彼はびっくりして泣き出して、そうしたら私もそこからは演技も何もなくなって…、という感じです。撮影が終わった瞬間に、監督が急いでやってきて「ごめんね~、嘘だよー」と、おもちゃをプレゼントしていました(笑)。

F-完成した映画をご覧になって、いかがでしたか?

I-見終わった直後は、もう、ただ単に怖かったって思ったんですけど、だんだん「やっぱり余り怖くなかったかも…」と。台本を最初に読んだ時に感じたものがあって、安心しました。

F-塚本監督はどんな方でしたか?

I-監督は実際にお会いすると、とても可愛らしい方で。話していると、顔をくしゃっとさせて笑われるんですよ(笑)。普段は優しくお話しして、常にニコニコしているんだけど、カメラを持つと一瞬で顔が変わる。演出している時の目は、非常に鋭かったです。その目を見るたび、怖いなぁとドキドキしながら(笑)、「この作品は、本当に監督の深い所から出てきた作品なんだな」と思っていました。

F-今回の役に関して、監督から何か具体的な指示はあったのでしょうか?

I-怖がる演技の指導など、ホラー的要素の演出がとても細やかでした。“見えないものに怯えている時の目”とか。完成したものを観て、監督のこだわりはさすがだなぁと、改めて思いました。他のキャストの演技も怖くて、「光石さんのほうが怖いですよ~」と、皆で“怖いキャラ”のなすり付け合いでした(笑)。

F-松田龍平さんとの共演はいかがでしたか?どんな方なのでしょうか?

I-彼がまだ十代の頃に、お仕事をご一緒させて頂いていて、初対面では無かったんです。今回、久しぶりに会ったのですが、なんだか、久しぶりな気がしなかったです。彼は、なんというか、大きい動物みたいですね。ゾウとかウミガメとか(笑)。普通にそこにいるだけなんだけれど、それだけでものすごく不思議な存在感があるんですよ。年を重ねるたびに、その存在感がどんどん大きくなっていますね。末恐ろしいですね、どこまで大きくなっちゃうんだろうって(笑)。

F-市川さんは、逸子と京一の親子関係をどの様に思いますか?

I-う~ん…。すごく、素直な関係だと思います。状況が状況ですけど、彼女と京一には、母と子という以前に、人と人としての関係があると思うんです。そこに、母と子の純粋な愛情もある。そういう人間関係の真意みたいなものを、この映画は二人を通して描いているのでは、と思うんです。映画を観て下さった方にも、それが伝わったら良いなと思いますね。

F-映画の話から脱線してしまいますが、スタイル抜群でとっても羨ましいです。体型維持のポイントや、オススメのエクササイズなどありますか?

I-私、楽したいタイプなんです。ジムとか大嫌いで(笑)。自転車が好きなので、割とどこへ移動するにも自転車なんですけど、これ良いですよ~。どこかへ行ったり、景色を楽しんだりしながら運動できるので(笑)。

F-現在、テレビ・舞台・映画と幅広く活躍されていますが、市川さんにとって、女優業の魅力とは?

I-うーん、何でしょう…?面白い人に会えるから、というのはありますね。人との出会いですかね。皆変わってるから…(笑)。

F-今後、やってみたい役などはありますか?

I-役というよりは、「ああ、そうそう!」と自分が共感できる作品に、これからも携わっていきたいですね。

F-最後に、この映画を観てくれる方へ、メッセージをお願いします。

I-ただ怖いだけじゃなく、見終わった後、ふつふつと温かくなったり、切なくなったりする映画です。言葉で言えない不思議なものが描き出されているので、ぜひ観てください。

Profile

市川実和子
1976年東京都出身。1991年頃からファッション雑誌でモデルとして活躍し、独特のかわいらしさがカリスマ的人気を呼んだ。2000年、映画「アナザヘブン」で映画デビュー。その後も「リリィ・シュシュのすべて」(2001)や初主演作品「コンセント」(2002)、「昭和歌謡大全集」(2003)など、数多くの話題作に出演する。また、映画だけに留まらず、人気ドラマ「帰ってきた時効警察」(2007)、舞台「女教師は二度抱かれた」(2008)に出演するなど、更にその活動の場を広げている。

Pick up Artist

(C) 2008 NIGHTMARE DETECTIVE 2 FILM VENTURER

「悪夢探偵2」 12月20日よりシネセゾン渋谷ほか
全国順次ロードショー

原作・監督・撮影・編集/塚本晋也  脚本/塚本晋也、黒木久勝  音楽/石川忠、川原伸一  出演/松田龍平、三浦由衣、韓英恵、松嶋初音、安藤輪子、内田春菊、北見敏之、光石研、市川実和子 他

●ストーリー
他人の夢に入れるという特殊能力を持った、悪夢探偵・影沼京一(松田龍平)の元に、新たな依頼者・雪絵(三浦由衣)が尋ねてきた。怖がりの同級生・菊川(韓英恵)が、夢に現れて眠れないのだという。雪絵の言葉に京一は、この世の全てを怖がり、息子である自分をも怖がり、やがて恐怖に耐えられず自ら命を絶った母(市川実和子)を思い出す。菊川を通して母の思いを知る為にも、幼くて無力だったあの頃の自分自身を救う為にも、京一は雪絵の悪夢に入る決意をするが・・・





これまでのインタビュー
#62 石丸幹二 #61 加藤ローサ
#60 西島秀俊 #59 フットボールアワー
#58 林遣都 #57 能世あんな
#56 スネオヘアー #55 高良健吾
#54 玉木宏 #53 麻生久美子
#52 加瀬亮 #51 仲村トオル
#50 渡部豪太 #49 マイコ
#48 成宮寛貴 #47 市川実和子
#46 塚本高史 #45 新垣結衣
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#42 タナダユキ #41 伊原剛志
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#36 米倉涼子 #35 永作博美
#34 菊川怜 #33 浅野忠信
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#22 上原さくら #21 江角マキコ
#20 宮﨑あおい #19 伊藤英明
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#11 高橋克典 #10 妻夫木聡
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#1 鄭義信(ちょん・うぃしん)
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