
今、Fe-MAILが注目、話題、期待するアーティストにインタビュー。
恋、仕事、挫折、ファッションなどなど・・・。
さて、どんな素敵な話が飛び出すでしょうか。

|
監督の言葉は、前向きに受け取るようにしています。今や押しも押されもせぬ大人気作家となった、伊坂幸太郎さんの初期作品「重力ピエロ」。どこかシニカルで軽やかな雰囲気の中、連続放火事件を軸に展開するのは、ある家族の物語。彼ら家族が抱える過去と、それを凌駕する絆の強さを、力強くもみずみずしい人間ドラマで描き出した作品です。「正義」とは? 「家族」とは? 家族の謎をすべて知ったとき、言葉にならない切なさと感動がこみ上げます。
Fe-MAIL(以下F)-加瀬さんが演じた泉水は、弟とお父さんの間で割と流動的に動いていく役だったと思いますが、どのように演じられたのでしょうか?
加瀬亮(以下K)-まず、この物語を作っていくのは弟と父親だと思いました。僕(泉水)は、あくまで物語の語り部なので、他力本願で申し訳ないんですけど(笑)、岡田君と小日向さんの演技をより所にしていった感じですね。 F-泉水とご自身と、共通する点はありましたか? K-泉水という役は、意外と自分からは遠いですね。僕にも三つ違いの弟がいますけど、泉水と春の関係は、リアルな兄弟関係とは違う気がしました。それは彼らが特殊な事情を持っているからなんですが、そのことは常に頭の片隅に置いて演じようと思いました。 F-弟、“春”役の岡田将生さんとは、現場でどのようなコミュニケーションを取られたのでしょうか? K-最初のうちは一言二言話す程度だったんですけど、いつの間にか、撮影が終わってから毎日一緒にご飯を食べに行く仲になってましたね。泊まってたホテルの周りにあまり店がなかったんで、岡田君とスタッフと、近くにあった焼肉屋へ行ってました。 F-焼肉屋さん!仙台名物、牛タンは食べました? K-あ~牛タン…。僕達が行った店、牛タンあったのかなぁ(笑)。カルビがおいしいって言って、カルビばっかり食べてました(笑)。 F-父親役の小日向さんとは、『それでもボクはやってない』以来の共演ですね。今回の撮影時に、『それでもボクは~』のお話などはされましたか? K-『それでもボクは~』のときは、本当に少し挨拶したくらいだったんです。でも、完成した『それでもボクは~』を観て、小日向さんの裁判官役にしびれてしまって。すごい役者さんだと思ったんで、今回の再共演はとっても楽しみでした。泉水と春にとって一番の存在である父親の役が、小日向さんだと聞いて安心もしましたし、実際に現場ではリードしてくれました。 F-森監督については、以前からご存知だったんですよね。 K-はい。森監督の『TOYD(トイド)』っていう作品を観たんですが、演出がとてもおもしろかったので、一緒に仕事してみたいと思ってました。 F-やはり、お仕事を受ける際、監督は大きな判断基準になるのでしょうか? K-すごく大きいですね。 F-そのほかに基準になる事は? K-台本がおもしろいことですかね。台本が、出演者全員の唯一の共有項になるので。でも、台本があまりよくなかったとしても、監督がおもしろいと、すごくおもしろい作品になるんです。やっぱり監督の力ってすごいなぁと思います。 F-森監督は、とても変わった方だったそうですが…(笑)。 K-(笑)。昨日もずっと、地方のキャンペーンで監督と一緒だったんですけど、そのときご本人に「変ですね」って言いました(笑)。監督には、「いや僕は普通だよ。君の見方は本当に浅いね」って言われちゃいましたけど(笑)。会ったときから、撮影を終えた今になっても思うんですが、監督は変わった感覚の持ち主なんです。“こんな人です”って説明するのが難しい。とは言え、忌野清志郎さんが好きだとおっしゃってたので、良い人なんだと思います(笑)。 F-(笑)。作品について、監督から何か具体的な指示や言葉はあったのでしょうか? K-最初に皆で食事をしたときに、「深刻で重い話だけど、ある意味青春映画にしたいし、軽やかさを大事にしたい」と話してくれました。 F-細かい部分は、その都度監督に確認して? K-そうですね。弟と父親の間にいる泉水の受け止め方が、全体のトーンを決めていくので、「ここは一見普通のことが起きてるけど、重く受け止める」なのか、「まだ軽く流す」なのかっていうのは、監督のイメージを知るために、良く聞いてましたね。 F-すごく不思議なバランスの作品ですが、どのようにして作っていったのでしょう? K-簡単に言うと、“ものすごくピースが多いパズル”を作っていく感じ。僕も、撮影中は全体像があまりよく見えなかったんです。それはもちろん、監督の綿密な計算によるものなんですけど、中にいるとピースしか見えないんで、迷ったら都度、監督に聞きました。 F-今回は、あえて原作を読まなかったそうですが、これまでの作品では、必ず原作を読んで役に入られていたのですか? K-作品によりますね。でも、原作とはどうしても違うものになると思ってるので、なるべく台本を出発にしたいと思ってます。 F-加瀬さんは台本をだいぶ読み込まれるそうですが、どのように読まれているんですか?何か書きこんだりされるんですか? K-基本的に、いっぱい書き込みます。台本だけじゃなくて、本を読んでても線を引いたりします。そういう本を友達に貸すと、すごく嫌がられるんですけど(笑)。 F-(笑)。台本に書き込むのは、読んで感じたことですか? K-そうですね。台本って、最初に読んだときの印象が重要だったりするので。最初に感じたことや忘れそうなことは、バーっと書いちゃいます。もしかしたら、受験勉強とかの癖なのかもしれないですね(笑)。 F-劇中、印象的な言葉が多く登場しますが、心に残っている言葉はありますか? K-春のセリフにあった、「自分の見たい変化になりなさい」っていうガンジーの言葉は、すごく良い言葉だと思いました。 F-では、ご自身が実際に言われて、記憶に残っている言葉はありますか? K-監督の言葉は、大概印象に残ってますね。今まで五十本以上の作品をやってきて、たくさん怒られてきたので(笑)。 F-具体的に、どんな言葉でしょう? K-昔、ある監督さんに台本のことを質問したら、「君、それは口答えかね」と言われました(笑)。 F-そんなことを! 反感を持ちませんでしたか? K-おもしろい監督さんだなぁと思いました(笑)。反感は持たなかったですね。僕は、役者を憎んで使っている監督なんて絶対いないと思っていますので、監督の言葉は前向きに受け取るようにしてます。話し合ったりするだけじゃなく、監督から言われた通りに頑張ってみると、自分の変な理屈を越えられたりもするんですよ。 F-役者になっていなかったら、どんな道に進んでいたと思いますか? K-どうですかね…。普通に就職して、サラリーマン…。サラリーマンになって、辞めてたかもしれないです(笑)。 F-辞めちゃうんですか(笑)? K-想像ですけど、同じ会社でずっと同じメンバーで仕事をするのは、僕には結構むずかしいかなと思うので。映画は、長くても二ヶ月で撮影が終わって、すべてが入れ替わる。もちろん色々な人が集まってますので、好きな人がいれば苦手な人もいます。それでも、二ヶ月という期間で終わると分かってるから、皆それぞれの価値観を認め合いやすいと思うんです。二ヶ月ごとに違う人たちと出会って、別れてまた新しく出会ってっていう、一ヶ所にいない感じが、この仕事の気に入ってる所でもありますね。僕の性にあってるんだと思います(笑)。 F-逆に、「今回のメンバーとまた一緒に仕事したい」と思ったりもしますよね? K-そうですね。今までたくさんの作品に携わってきたんで、前にお世話になったスタッフさんと一緒になることも、少なくないです。でも再会したときって、お互いに「会ってない間にどれだけのことをやってきたか」っていうのを見てる気がして、すごく嬉しくもあるし、緊張もします。 F-お忙しい毎日だと思いますが、気分転換など、どのようにされてますか? K-気分が塞ぎ込んだときは、走ります。僕の場合、走ると治るんですよ。 F-ちょっと意外です…。今回の役柄のような、頭脳派のイメージがあるんですが、スポーツはよくされるんですか? K-大学までは、スポーツしかしてこなかったですよ。今までやってきた役柄のイメージなんですかね? 今回の撮影中も、吉高さんに「足、速っ!」って驚かれました(笑)。 F-(笑)。ちなみに、大学までどんなスポーツをやってらっしゃったんですか? K-大学のときは、ボードセイリング部でした。 F-作品では、ずっとスポーツをやっていらしたとは思えないほど、見事な“理系男子”でしたね。 K-大学院出た後も研究を続けてる、理系の友達がいるんです。中学からの長い付き合いの奴なので、“理系ってこんな感じ”ってイメージは持ってたかもしれないですね。 F-今後演じてみたい役や、出てみたい作品はありますか? K-う~ん、いただいて始めて成立する仕事なので、あまりコレというのはないんですが…。そうですね、良い人役と悪い人役だったら、僕は悪い人役が良いです。 F-悪役の加瀬さん、ぜひ観てみたいです! どうもありがとうございました! |
|
||||||
|
|
(C)2009『重力ピエロ』製作委員会 『重力ピエロ』 5月23日(土)より全国ロードショー (仙台のみ先行大ヒット上映中) 監督/森淳一 企画・脚本/相沢友子 原作/伊坂幸太郎 出演/加瀬亮、岡田将生、小日向文世、鈴木京香、渡部篤郎、吉高由里子 他 ●ストーリー 大学で遺伝子を研究する兄・泉水(加瀬亮)と、クールで聡明な弟・春(岡田将生)、心優しい彼らの父親・正志(小日向文世)。普通の家族に見える3人だが、実は辛く悲しい過去を共有していた。ある日、彼らの住む仙台市内で連続放火が発生する。落書き消しの仕事をしている春は、放火と落書き(グラフティアート)のつながりを見つけ、泉水と共に事件を追究していく。そして、泉水の前に謎の美女(吉高由里子)が現れ、街には一人の男(渡部篤郎)が帰ってきた---。放火と落書きの意味は?事件の真相を追う二人が直面する、衝撃の真実とは?常識を超えた大きな愛に心で泣く、感動ミステリーの傑作。 | |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |