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 1月29日update
CD&DVDBOOKSCINEMASTAGEOTHER
 
ラブリーボーン
(09年 アメリカ)



(C)2009 DW STUDIOS L.L.C. All Rights Reserved.

監督・脚本/ピーター・ジャクソン 脚本/フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン 原作/アリス・シーボルト 出演/マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ、シアーシャ・ローナン

●1月29日(金)~全国ロードショー


 


 


 
死は終わりではない。


オーストラリアの霊はいたずら好きで陽気らしい。オーストラリア出身のピーター・ジャクソン監督は、96年に「さまよう魂たち」というお騒がせゴーストが登場する映画を作っている人だ。まさかその後彼が「ロード・オブ・ザ・リング」で大成功を収めるとは思ってもみなかったが、「ロード~」の精神性や今作のスピリチュアルな世界の描かれ方を見ると、監督は霊的な世界を信じている人だと見受けられる。
私自身はスピリチュアルな世界を信じている人で、正直、そういう世界を全然信じていない人とは心の底から分かり合えるとは思っていない。また、私自身がそういう人なので、類は友を呼ぶで同じような考えの人が周りにいるようだ。

「呼ばれる」ということがある。監督もこのアリス・シーボルトの原作に呼ばれたのかな? なんて映画を観ながら思った。

70年代のアメリカ。中流家庭で家族と幸せいっぱいだったスージーが14歳で殺される。スージーは天国へ行くまでの中間生の世界に行くが、自分の死から立ち直れない家族や、まだ捕まっていない犯人、思い残したことがあって天国に行くことができない。中間生から現世の家族や犯人の様子を見る事ができるが、直接はなにもすることができず・・・・。

中間生や天国の描き方がちょおっと、私の知識の中でのものと違ったが、なかなか監督はよく調べていると感心した。それらのものを映像的に説得力があり、美しく共感できるものにするのは至難の技だ。そう考えると、このファンタジーあふれる描き方は仕方ないだろう。少しその部分が少女趣味的で退屈ではあるが、殺人が近所の男の犯行だと暴かれるまでのサスペンスの部分はもうドッキドキのハラハラだった。ここらへん上手いんだ!! 犯人の家に侵入したスージーの妹がかすかな物音をたて、帰ってきた犯人に気づかれてしまうシーンなんてアップを多用して観せ「ああっもう帰ってきた、逃げろっ早く、ああっダメ音聞こえる!!」と固唾を飲ませ、もう全身の筋肉がキンチョーしてしまったほどスリリング(笑)。

少し目を塞いでしまうようなショッキングな映像もあったが、暗くなりがちな物語にユーモアも明るい音楽(なんとブライアン・イーノです!)もある。全体的に現世はセピアっぽい70年代の色合いが落ち着いていて平和で(マーク・ウォールバーグ演じる父親がそれを優しさと共に体現している)、そういう対比や色調のバランスも素晴らしい配慮が行き届いている秀作だ。
この映画は14歳の少女が突然の死を受け入れて、家族の立ち直りを見届け魂の故郷「天国」へ帰っていく物語で、主人公は死んではいるのだけど、ラストはとてもすがすがしい気分にさせられる美しい物語だと思う。なんだか、ポッと心に灯がともるような感じがすごくいい。

死は終わりではない。改めてそう思わせられた。
霜花店(サンファジョム)運命、その愛
(08年 韓国)



(C)2008 Showbox/Mediaplex,Inc., United Pictures & OPUS Pictures. All Rights Reserved.

監督・脚本/ユ・ハ 出演/チョ・インソン、チュ・ジンモ、ソン・ジヒョ、シム・ジホ、イム・ジュファン、ソン・ジュンギ

●2月6日(土)~東京・シネマート新宿、
大阪・シネマート心斎橋にてロードショー


 


 


 
王と隊長の極愛は成就したのです・・・きっと。


観終わって「すっげえええー映画!」と言わずにはいられなかったほどスゴイ映画だった。何人かの男性と女性が頬を上気して苦笑しながら感想を楽しそうに語っていた。ラストクレジットの終わりの方でもう立ち上がっていた(試写なのに)男性も数人いたが・・・。私は・・・というと、満面笑みで興奮して感想をぶちまけていた(笑)。

実はなんの情報も知らないまま、時間ギリギリに走って飛び込んだ試写室。ゼイゼイっと観ていたら、話をよく理解しない最初の方で世継ぎができない王が登場してきて、なんで世継ぎができないのかな? とボーッと観ていたら突然王と女の激しいキスシーンが! なんだ、王には愛人がいたのか・・・と観ていると、んっあれ!? おっ・・・男じゃん!! なんと! この上もなく激しいベロチューシーンを繰り広げているのは男同士なのだ!!(時代劇で男も髪が長いので分からんかった)。えっえー!! なんじゃっこの映画!! と叫びそうになった私。もちろん顔は真っ赤(笑)。もちろん歓喜の叫び(笑)。その後もこんなん観たことないってくらい男同士のやらしいベッドシーンが繰り広げられ、鼻血が出そうに・・・(笑)。

ああっもうどうしよう、と思いながら観ていると、王と王を守る近衛部隊の隊長である彼は愛人関係で、女を愛せない王はこの隊長に王妃を抱かせようとする。高麗王である王に世継ぎが出来ないのは国の存亡に関わるからだ。しかし、王を慕う隊長は困惑する。また、王の心も体も独占するライバルとして隊長を憎む王妃も屈辱に震えるが、王の命令なので逆らうこともできずふたりはベッド・イン。が、両者とも初めての男、初めての女だったので当然のことながら、ふたりは肉欲とともに恋に溺れてしまうのですね・・・。それに気づいた王の異常な嫉妬は暴走を始め・・・・・。おおっこわいっ。

この映画、なんと!韓国で動員400万人、時代劇での興行成績第2位(1位は「王の男」。これも同性愛ものではありましたね。ぬるかったけど)なんだと! いったいどうなっているのだ、韓国って国は!! と思うけど、この映画全篇観たら納得するし。だってこの熱さ、激しさ、濃さ、激烈さ、過剰さ、もう韓国国民そのものっ! そりゃ熱狂するって(笑)。白けてクールな日本人にゃ逆立ちしたってこんな映画撮れないよ。ある意味、怖い韓国。

さて(コホッ)残念なことに男同士のベッドシーンは最初のシーンのみなんだけど、隊長と王妃のベッドシーンはその後何度も何度も出てきます(途中あんまり多くてどうでもよくなる。男同士の方がやらしいのにな~)。しかも、ポルノ映画みたいなカットもあって?? さすが「桑の葉」(というポルノがかつて大ヒットした)の国、韓国・・・とふと思いつつ、しかたないので隊長の綺麗なお尻を凝視してました。あら、綺麗な尻の女優ね、と思って見てたら隊長の尻だった。というふうに、女優より男優の方が美しく撮られているのもこの映画の特徴です(笑)。

あっなんかただのエロ映画と思ってます? うんにゃ、違います!(ちなみに激しくカッコいいアクションシーンも絢爛豪華で美しい宮廷シーンもあります)この映画、ものすごい激情の展開(あなたはのけぞるか、引くか。ちなみに私はギャー!と心の中で叫んで固まりました)を後半するんだけど、しっかりと登場人物の感情や背景が丁寧に描かれているので、次第に明らかにされていく人間の「情欲」であったり「嫉妬」だったり「愛の成就」だったりがググっと胸に迫ってくる。結局、究極の愛情や慕う心が悲しいかなこの王と隊長は歪んでしまったけど、ここまで愛憎ドロドロってのはもう誰も間に入れないよ、と痛く納得。こういう愛もあるのよ。ラストはジ~ン。やっぱり女は入れないのよ!(笑)。ステキです・・・!

「すっげえええー映画!」と叫ばずにはいられないけど、その後には「面白かったああ~!」と続く。こんな感情が波打った映画は久々。「ラブ・ストーリーは冒険ものだ」と池澤夏樹が言ってたけど、まさにすごい感情の冒険をさせてもらえた、とんでもない(笑)ラブ・ストーリーだった。
PROFILE一宮千桃(いちみや・せんとう)
映画評論家。講師。MC。情報誌映画担当を経て独立。フリーで文筆や講師活動を行う。好きな映画は「ピアノ・レッスン」。小学校の頃から観つづけてきた映画によって愛も恋も男も女も人生もオシャレも知ったという箱入り乙女(?)。趣味は海外旅行、読書、クラシック音楽鑑賞、美術展巡り。宝石収集。占い。古本屋巡り。
一宮千桃(いちみや・せんとう)

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