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2月26日update
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「ほかならぬ」人を見つけるには?
私は白石さんのことを20代の若い作家だとずっと思っていた。それが直木賞受賞で経歴を見て、あっ若くないんだ・・・。と知った。それで、この本を読みたくなった。私は若い作家や今流行のミステリーの類いはほとんど読まない。かなり片寄った読書だが、死ぬまでに読める本の数は決まっているので、ほぼ、読みたい本しか読まない。幸い最近読みたい本があまりないので助かる。 どんな話か全然知識のないまま読み始める。名家の出ながら何一つ秀でるところがなく、「俺は生まれそこなった」と感じている主人公が結婚するも、突然美人妻に出て行かれるところから話は始まる。主人公の明生は訳がわからないが何も行動せず、会社の女の先輩、東海さんに話を聞いてもらっている時だけは妻のことを忘れられる。しかし、ストレスから体調を崩し、明生は決心して妻に会いにいくのだが・・・。 一体この夫婦はどうなるんだろう? という謎が先を急がせる。読みながら気がついたのだが、すごく具体的でリアルな書き方だ。日付、時間、家族の経歴、食事の内容、会社の概要や経営内部のことなどものすごく細かく書かれている。きっとちゃんと取材してノートにキャラクター表や家系図など書いているのだろう。「美は細部に宿る」というけれど、こういう文章は登場人物が浮き上がってくる。リアルな人間として動きだす。 主人公の明生は、自分なんて出来そこないだ、と思ってる割になかなか含蓄のあることを言う男で、しっかりしている。彼と先輩の東海さんの関係がいい。明生が東海さんの過去を慰める箇所はうっすら涙が滲んだ。東海さんみたいに自分を責めて生きている人って多いんだろうなあ、と思う。自分を責めるところからは何にも生まれないのに。明生が東海さんに言った言葉で救われる人も少なくないだろう、とも思った。 著者はラブ・ストーリーを多く書いているようだが、現代でラブ・ストーリーは難しい。そのせいか(私が気に入らないのは)この話は人がたくさん死にすぎる。山田洋次監督が、ドラマを盛り上げるという作り手の勝手で登場人物を安易に殺してはいけない、ということを言っていたが、それを本著に感じた。綿密に練られた構成なだけによけい気になった。 私が好きだったのは、東海さんの香水のエピソードだ。結局、自分にとっての「ほかならぬ人」は自分だけが分かるいい匂いがするものなのだろう。それを嗅ぎ分けることができるのがベストの相手ということか。 同時収録の「かけがえのない人へ」は構成は甘いものの、「ほかならぬ人へ」より私は面白かった。しかし、この話も異様に具体的に書かれていて(たとえば主人公がランチを食べに行く場所の説明や会社説明など)、時に細かすぎてイラッとしてしまった。隙がないとこちらの想像が入る余地がない。主人公、みはるや、その不倫相手黒木のキャラクターは秀逸。黒木の心情やベッドシーンは少ししか書いてないので想像が掻き立てられた。 結婚が決まりながら別の男と関係を持つみはるに共感する女性は多いだろう。そこらへん女性の心理に巧みに詳しい白石さんに驚くが、きっとこれも地道な取材がされているのだろう。本著の編集者である牧野さんによると、白石さんは後藤正治氏(「奇蹟の画家」の著者)を敬愛しているそうで、たぶん、後藤さんのようなノンフィクション張りの取材ぶりなんだろうな、と想像する。 「ほかならぬ人へ」というタイトルは含むものがたくさんあって、いいタイトルだと思う。
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猫たちに教えられる人生の真理
私は須藤さんのスピリチュアルな考えや生き方が好きだ。彼の著作も何冊か読み、彼が薦めるスピリチュアルの本を読んで目から鱗だったこともあり、須藤元気は私にとって気になる人の一人だ。格闘家を引退してからは作家活動をしているとは知っていたが、先日ラジオを聞いていたら、なんと、北海道に移住してて、ミュージシャンとして作詞作曲したCDまで出している(これがなかなかいい曲なのだ)は、大学で学生として勉強しているというではないか。その多方面の活躍ぶりには驚いたが、北海道移住したというのが一番驚いた。それも、愛する猫たちのための移住という。そのすごい行動力にあやかりたいと思い、北海道移住の顛末とそこでの愛する猫たちと愛妻との生活を綴った本著を手にした。 本著は2匹の猫(プーちゃん、メイちゃん)の写真と、須藤さんの愛妻、アイちゃんの描くイラストと須藤さんのエッセイからなる。すっぐに読めるのがいい。でも、得るところはたくさん。須藤さんは猫たちの行動からこんなことを教えられる、とスピリチュアルな視点で筆を進める。 たとえば、プーちゃんはアイちゃんに何度叱られてもキッチンの机の上に飛び乗る。猫は本能的に目の前のものへの好奇心に忠実 だ。一度怒られても次の日にはけろっと忘れてまた飛び乗る。反省なんてしない。でも、人間はどうか? 「あの時こうしていれば・・・」と過去の失敗や出来事を何度も反芻し、自分を責める。そうすることによってネガティブな思考に支配され、次の行動を起こすエネルギーを著しく消耗してしまう。無駄なエネルギーを使ってはいけない。プーちゃんのように過去を振り返らず今を生きることこそ大切なのだと説く。 私もしょっちゅうです。「あの時こうしていたら・・・」と考えるの習慣になってるかも。ま、考えるだけなんだけど。無駄ですね。もう過去だもん。 また、何よりも直感を大切にする須藤さんが、北海道に移住を決めたひらめきの数々にも唸らされた。精霊が耳元で「ダイシゼン」と囁いたそうだけど(笑)。須藤さんは猫たちとも会話する。人間は1日に6万から7万回もとりとめもないことを考えているという。頭の中がそんな雑念だらけだと、せっかくのインスピレーションも掴みそこねてしまう。猫は直感に忠実に生きている。「今、この瞬間に好きなことをするのは意識の深いレベルに達するためのヒントですの」とプーちゃん。「好きなことをすればいいの?」と須藤さん。「考え込んだり早く答えを出そうとすると素敵なアイデアは遠ざかっていくのです。問題を手放した時にこそ、最良の答えが得られますのよ」とプーちゃん。 私も最近、「ほんと、私ってとりとめもないこといろいろ考えてるよなあ~」と感じてたとこなので、これには「うっ」。 と言う風に、猫たちに教えられる真理の数々に感心。また、須藤さんが具合の悪い時に胸の上にじっと乗って、その後(彼の悪い部分を自分の体に吸い取って)激しく嘔吐する猫たちの姿にはうるうるしてしまった。動物というものの人間への献身と無償の愛にはいつも泣かされる。 本著を読んで、自分も行動しなくちゃ、ひらめきのままに! と思わされた。とりあえず、あれこれ考えるのは、なしですね! 元気でました!
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一宮千桃(いちみや・せんとう)
映画評論家。講師。MC。情報誌映画担当を経て独立。フリーで文筆や講師活動を行う。好きな映画は「ピアノ・レッスン」。小学校の頃から観つづけてきた映画によって愛も恋も男も女も人生もオシャレも知ったという箱入り乙女(?)。趣味は海外旅行、読書、クラシック音楽鑑賞、美術展巡り。宝石収集。占い。古本屋巡り。 |
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- http://www.fe-mail.co.jp/trend/entertainmentflash/20100226.cfm
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