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 7月2日update
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さんかく(2010年)


(C)2010「さんかく」製作委員会

監督・脚本・照明/吉田恵輔 出演/ 高岡蒼甫、小野恵令奈、田畑智子、矢沢心、太賀、大島優子

●東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿、他にて上映中
●7月24日(土)~大阪・シネ・リーブル梅田、他にてロードショー


 


 


 
3人の暴走恋愛に引きつつ夢中で観ちゃう…。


爆笑してしまった。意外な面白さ。拾い物の上出来作だ。
同棲2年。ちょっと男の方が女に飽きてきたかなあ~というカップル。そこへ夏休みの間だけ、女の妹が田舎から遊びに来る。しばし男ひとり、女ふたりの同居生活が始まる。妹はまだ15歳の中学3年生だ。「俺、ロリコンじゃないし」と15歳の少女には最初なんの興味もなかった男だが、下着並みの格好でウロウロされ、鼻にかかった声で褒められたり耳元で囁かれたりして、だんだんこの少女のことが気になりだす。そして、彼女が田舎に帰る日の前夜…。

この妹役の小野恵令奈(「AKB48」チームKのメンバー)がすごい!! 鼻づまりの舌足らずな甘い声で「桃、百ちゃん(男の役名)のこと好きだよ」とぼそっ。15歳の無知なる色香で大人の男を誘う。清純で可憐、無垢そうなのに、目の奥にはすでにしたたかでいやらしい女の部分が見え隠れする。それは意識してない風なんだけど、無意識に計算している恐ろしさ。「ぎょえーっあんたいったい何者!?」と唸った小野の小悪魔そのもの演技に仰天! 「素だろ?」と思いつつ、こんなエロ爆弾みたいな娘ぜえったい好きな男の側に近づけてはいけない! と切に実感しながら観ていたら、爆弾は姉も同じだった(笑)→それは観てのお楽しみ。

いやあ、すごい展開(笑)。そう来たか。ラストはその後を観客にゆだねるものになってるけど、なんか、私はもうその男はいいだろっ、て思いましたねー。もう次いけ、次、って感じ(笑)。同時に、その女もカンベン、て感じだったけど(笑)。しかし、世の中たっくさん男も女もいるようで、自分に合う、というか、似たもの同志の男も女も実は稀少だったりするのよね。そういう意味ではこのカップルは「ベスト」!!(ええ~っ)カップルだったりするのかも(ううう~ん)。

優柔不断で情ない男に高岡蒼甫、しっかり者のようでかなり痛い女に田畑智子、そして小悪魔に小野恵令奈と、3人の絶妙な演技とセリフのアンサンブルが楽しめる。「ええ~っ」と笑いながら引きながら、夢中になって映画を観てしまう。
人間て可笑しい。矮小な彼らが妙に可笑しく愛しい。それは彼らが身近にいそうな人たちばかりだから。嫌だけど(笑)、彼らの気持ちは「分かる」部分が私にもあるんですよね。いや、ほんと拾い物です! 彼らと一緒に暴走してください!
ザ・コーヴ(09年 アメリカ)


(c)OCEANIC PRESERVATION SOCIETY. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・出演/ルイ・シヨホス 脚本/マーク・モンロー 出演/リチャ―ド・オバリー、サイモン・ハッチンズ、チャールズ・ハンブルトン、マンディ=レイ・クルークシャンク、カーク・クラック、ジョゼフ・チズルム

●7月3日(土)~東京・シアターイメージフォーラム、他
大阪・第七藝術劇場、他にてロードショー


 


 


 
人間も動植物も底の底では全て繋がっている


衝撃の映画である。
アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞後、撮影地の和歌山県太地町の抗議、また、公開直前になって3つの劇場の上映取りやめなど、いろいろと話題の作品だ。私も観るまでは漠然とイルカ漁の実態を暴く映画と思っていたのだが、観て仰天した。それだけじゃなくて、この映画には私の知らなかったこと、たぶん、ほとんどの日本人が知らないだろうことがいっぱいあった。もう観ていて胸が引き裂かれそうになったショッキングな映画だった。

映画は太地町での映画スタッフの状況から入る。町の人々のスタッフへの嫌悪と監視や尾行、取材拒否はすさまじい。イルカ漁が行われている入り江(コーヴ)へは近づくこともままならない。そこでまず本作の中心人物である活動家のリック・オバリーの経歴が大きくクローズ・アップされる。
彼の話で私はイルカショーに使われるイルカたちがストレスで胃に潰瘍ができ、胃薬が欠かせないとか、イルカショーのイルカたちは一頭15万ドル(一頭500万円という説もあるという)で売り買いされているとか、イルカは自分で息をすることを止めて自殺するとか、彼らには透視能力がある、ということを知る。
太地町ではショー用に選ばれなかったイルカは殺され食用に販売されている。しかもその肉は鯨肉と表記されて売られていることもあり、イルカの肉は水銀値が非常に高く人体への影響が懸念されるというのだ。それからそれから…と、驚くべきことが次々に明らかにされる。もうあ然である。
さらに映画は入り江での殺戮を撮るために、ハリウッドの特撮技術で有名なILMに特注隠しカメラを発注し、夜中にこっそり隠しカメラを設置。撮影に成功するくだりはドキドキハラハラのサスペンスタッチで、大いにクライマックスを盛り上げる。
そして撮られた驚愕の映像――血で真っ赤に染まった入り江、追い込まれ逃げ惑うイルカたち、銛で何度も突かれ、ナイフで喉を切られ暴れ鳴く何10頭もの…とても正視できるものじゃない。卒倒しそうになりながら、その血っていったいどうなるの!? となぜかすごい疑問が浮かぶ……。

私はこの2月から肉を一切食べなくなった。なぜなら四つ足の生き物は人間に近いから共食いになるというのと、彼らの殺される時の苦しみや悲しみが肉に残るので、それを食べたらその苦しみ等の業も体に入ってしまい魂が汚れてしまうから。というのをある本で読んだからだ。
人間も動植物も底の底ではすべて繋がっている。イルカたちにしていることは全て自分たちにしていることと同じなのだ。そういうことが全然この漁師たちは分かっていないんだなあ…呆然としながらそんなことが頭をよぎった。

この映画の感想をたまたまおじさん3人に聞く機会があった。彼らは一様に「描き方が一方的。太地町の言い分も描かないと。それにアメリカ人たちも牛を殺して肉を食べてるんだから一緒だ」と言った。それはそうでしょうけど、それって論点がずれてない? なんかおじさんたちにため息…。

私はラストの言葉に涙した。「この問題が解決しないと、どんな問題も解決しない。未来はない」というようなことが語られるのだが、私は「そう。イルカ漁は今後も中止になることはないし、そんな力を映画は持たないし、未来はないんだ」と確信して、そのことが悲しくて泣いた。

イルカは人間より賢くて不思議な力を持つ生き物だ。虐待やショックな事件で精神的に傷ついた子供たちをイルカが癒す施設がハワイにあるという。そこでは、何人かの子供たちを前にして、一番傷ついた子供にイルカは近づいていって足をつついて「遊ぼっ」と誘うそうである。子供たちは彼らとの触れ合いでかならず立ち直るそうだ。

私はこの映画はたくさんの人が観るべきだと思う。そして、自分なりの意見を発信することが大事だと思う。私は描き方がどうであれ、この映画には瞠目させられ、知らなかったことを教えてくれ、心を揺さぶられた。ドキュメンタリーも劇映画も基本は一緒である。心を動かされることが大切なのだ。
PROFILE一宮千桃(いちみや・せんとう)
映画評論家。講師。MC。情報誌映画担当を経て独立。フリーで文筆や講師活動を行う。好きな映画は「ピアノ・レッスン」。小学校の頃から観つづけてきた映画によって愛も恋も男も女も人生もオシャレも知ったという箱入り乙女(?)。趣味は海外旅行、読書、クラシック音楽鑑賞、美術展巡り。宝石収集。占い。古本屋巡り。
一宮千桃(いちみや・せんとう)

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