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7月9日update
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トイ・ストーリー3 (2010年 アメリカ)
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  | (C)2008 WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED. | |
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自分なりにケリを着けたい、覚悟の3作目
「トイ・ストーリー」は間違いなく世界のアニメ史上に燦然と輝く傑作のひとつだ。また、そう思っている人は多いと思う。1作目が95年、2作目が99年、そして3作目が2010年て、11年ぶりかあ! と時の流れをまざまざと感じます…なんか11年もたっていやあな予感。したら、やっぱり、アンディが17歳! にもなっていて、なんと、大学に行くために家を出ると言うではないか! 大学生にもなっておもちゃと遊ばないよな、じゃあ、ウッディやバズたちは捨てられちゃうの!? こら大変だ! と衝撃の展開で本作は始ま…らない。そう、この展開はゴキゲンで痛快、血湧き肉踊る活劇! というオープニングの後から始まるのだハハハ。いやあー、このオープニング、傑作ですよ。すごい力入ってる。このノリで全篇観たかったけど、ちょっとだから楽しいんだよね。 さて、今回もおもちゃたちは持ち主アンディの手元から離れるちょっとした手違いが起こって、彼の元へ帰るために冒険を繰り広げる。もちろん力を合わせて。スリリングで間一髪を切り抜けるお馴染みの展開にはハラハラさせられ通しだ。おもちゃの新キャラクターも今回は大挙して登場する。 でも、今作はどうしても気になることがある。一体ウッディたちはどうなるの? アンディは彼らとお別れするの? 結局、ラストは私の思っていたものとは違う展開で、「えっ!?」だったけど、泣いてしまった。それはアンディの表情、ちょっとしたしぐさにだ。イケメンに成長したアンディ。ウッディはアンディの側にずっといて、アンディの成長を見守って来た特別な存在だ。アンディと一緒に遊ぶことを使命、至福とし「アンディのもの」だった。アンディあってのウッディだった。それはほとんどご主人様と従者の関係なんだけど、ご主人様のアンディにしても、ウッディはいつも共にいてくれたかけがえのない存在だ。互いに深い愛情があった。それがラストシーンで繊細に描かれる。 しかたない。しかたないんだけど、泣いちゃうよね……。 人形やおもちゃという、ひとがたをしたものには魂が入りやすいというけど、魂が入ると執着や嫉妬、情が出てくる。「トイ・ストーリー」はまさにそこんところを巧みに描いたアメリカのアニメだった(日本映画でおもちゃや人形ものはこんなカラッとはならないだろうな)。正直3は1や2より出来は良くない。全体的に軽くなっているし、胸が躍るようなアクションシーンも少ない。新しいキャラクターを出しすぎな気もする。でも、ケリを着ける作品としては上出来だと思う。なんに? 11年の歳月に。 前に進むことが大切なのだ。心はピュアなおもちゃたちを愛した頃のままで。これは、私自身が「トイ・ストーリー」にケリを着けるためにこの原稿を書きながら出したものだ。それぞれがそれぞれのケリを着けるために、劇場に足を運んで欲しい切ない3作目だ。
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美しい、ひたすら美しい物語
美しい映画だった。観終わって私自身、体の隅々まで心まで美しく生まれ変わったような気にさせられた。大げさに言えば、「光」に包まれた、ではなくて一瞬私は「光」になった。観終わった瞬間キラリと魂が光った。そんな稀有な作品だった。これはたぶん本作が優れた児童文学を原作にしているからだろう。また、原作のエッセンスを映像にして、より美しく完成度の高いものへと昇華した成功作だと思う。 小人のアリエッティ一家はもうずっとひとつの屋敷の床下で暮らしている。その屋敷は広大な庭を持つ郊外の洋館で、老婦人とお手伝いさんだけが住む閑静な邸宅だ。そこへ一人の少年が療養にやってくる。人間に姿を見られたら小人たちは引っ越さなければならない。アリエッティはその少年に姿を見られてしまう。だけど、少年は「危険な人間」ではなくてアリエッティには好意的な人間に見えた…。 心臓を病んだ美少年が横たわる美しくも荒れた庭(まるで堀辰雄の「風たちぬ」の世界ね。サナトリウムという言葉が何度も浮かぶ)。少年は病のため人生を諦観するような冷めた目と冷静さを持っている。そこへ現われた凛々しい眼差しの、まっすぐな精神と旺盛な生命力を湛えた美しい小人の少女。おおっなんて素敵な出会い。物語が始まる! と胸が躍るのだが、そこは宮崎駿脚本、たいした話も劇的な展開もない。でも、じっと見入ってしまう。それは絵が素晴らしいからだろう。 私がこの映画の真の主役と思うのは、実はお屋敷と庭だ。様々な花や樹が咲き乱れ、植えられた広い庭(植えられた植物いちいちが名前のあるものなんだろうと思える絵の正確さ、緻密さに感心する)。軽井沢の別荘のような古い趣きのある洋館。部屋には精巧で美しいドールハウスが置かれている(あっアリエッティの部屋も素敵です!)。ああっ、この家住みたい!! この庭に寝転がりたい!!(あの部屋で寝たい!) と真剣に思ってしまったほどリアルで理想的なお屋敷だ。でも、リアルなんだけど、どこか浮世離れしていて夢の家、でもある。この家と庭無くしては、この物語は人々の胸に残らない、とまで思う。 凛々しいアリエッティはもちろん魅力的だけど、私は心臓を病んだ少年、翔にぞっこんになりました(笑)。神木隆之介くんの静かな声と宮崎アニメ定番の美少年顔。素敵…。その翔の前にアリエッティが初めて姿を現すシーンは近年稀に見る美しい出会いのシーンだった。風が吹きました(笑)。アリエッティを見た翔は息をのんで一言「…きれいだね」。彼が一瞬で恋に落ちた瞬間。でも、その恋は淡い淡いもので、忘れ去られることはないが、決して成就しないもの……。だから、美しいのかな…ラストシーンにじーんとしながら思った。 宮崎さんがどこまで口を出したか知らないけど、近年の宮崎監督作より私は好きだった。この映画を子供が見たら、きっと大きなものが心に残ると思う。それは、その子の成長の小さな支えのひとつになる気がする。美しいものや美しい気持ちを小さい頃に知ることは大切だ。大人になっても、ね。
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一宮千桃(いちみや・せんとう)
映画評論家。講師。MC。情報誌映画担当を経て独立。フリーで文筆や講師活動を行う。好きな映画は「ピアノ・レッスン」。小学校の頃から観つづけてきた映画によって愛も恋も男も女も人生もオシャレも知ったという箱入り乙女(?)。趣味は海外旅行、読書、クラシック音楽鑑賞、美術展巡り。宝石収集。占い。古本屋巡り。 |
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- http://www.fe-mail.co.jp/trend/entertainmentflash/20100709.cfm
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