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 7月16日update
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大和なでしこ整体読本
─身体を取りもどす七つの力
三枝誠




ちくま文庫
651円(税込)

本著を読んで大和なでしこ復活すべし!


大貫妙子さんがパーソナリティを務めるラジオ番組は、ゲストが意外な人で聞きごたえがある。先日途中から聞いてすごく面白い話をしていたので、「誰だろう?」と思いながら聞いていると「本日のゲストは三枝龍生さんでした」とのこと。知らないなあ? 本屋に行って名前で探してもらうがヒットしない。なおも書名で探してもらうと「三枝誠」で出てきた。「改名したんじゃないですか?」と書店員。「そうかあ~」と本の著者プロフィールを見ると雅号が龍生と書いてあった。統一すればいいのに。

野口晴哉氏の名著「整体入門」は以前に読んだことがあるのだが、三枝さんは幼少の頃病弱で、野口整体とマクロビオティックで体を回復させたそうだ。それで野口整体の内弟子、合気道内弟子などを経て独立し、現在は合気道と野口整体と易学の観点から独自の健康法を展開している人だ。

美容や体のことには並々ならぬ関心がある私。まずパラパラと本著をめくって目に飛び込んできた見出しが「時には無理な買い物をすべし」だった。
たまには分不相応なものを「エイッ」と思い切って買うと人間のテンションはグッと上がるので、そういうことも時には必要とのこと。
実は最近金子國義の個展に行って、彼のエッチング30万円を買おうかどうしようか悩んだので(結局止めた)「うっやっぱ買えば良かったか…」とこれを読んで思った次第。この「時には無理な買い物をすべし」というのは「借力(ちゃくりき)」と言って周囲のエネルギーを上手に取り入れる健康法だ。この言葉は三枝さんの造語なんだけど、本著は「借力」「姿勢力」「熱力」「指力」「肌力」「食力」「肚力」の七章に分けて、女性への健康法を分かりやすく教えてくれる。

さて、全部読んでみての感想は、水上みのりさんの挿絵が美しく魅力的で、基本的には体のアレコレについての入門篇というところ。しかし、良くある健康本と違うのは易学や合気道の教えが入っているからか、「へーえ」と思わされるところがたくさんあった。たとえば他人からの批判や攻撃を受ける時でもきちんとした姿勢で聞くのと、猫背で聞くのとはダメージの大きさが違うとか、ゲームで親指ばかりを使っていると全能感が強くなり、自分は一番だという意識が強くなるので、後々ゲームばかりしている子供たちは大変なことになるとか、精神的な疲れが溜まった時には単なる休養より指を使う作業をすることで回復するとか……。
残念なのはもう少し深く、と私なんかは思ってしまったところもある。巻末の大貫妙子さんとの対談もすごく面白いのだが、もっと読みたい! と思ったら終わってしまった…という感じでもっともっと三枝さんの話を聞きたい、もっと深くと切に思ってしまった。まあ、そういうふうに思わせるから入門篇としては成功しているのだけど。

しかし、本著を読んで何でも自分で実践しなきゃ気がすまない私はすぐにゲタとシルクの五本指ソックスを買いに行き、顔マッサージをやり、いつも食べている玄米に塩ひとつまみを入れ、足湯をし、中指に力を入れて立ち、寝るときはノーパンで寝だした。うん。快調です。特に顔マッサージは顔の凝りがとれるし、玄米は格段に美味しくなった。ノーパンはちょっと冷えるかしら…(笑)。

本著は簡単なヨガやコラムがついていて、それがなかなか参考になる。また、巻末の対談では「人間の体は本来痛点の方が多くて気持ちいい点というのはすごく少ない。だから人間というのはほっておいたら落ち込むに決まっている…」以下の話は「おおっ!そうなのか」と一番目から鱗だった。
現代の女性は男性以上に能力を封じ込められている、と感じているという三枝さん。本著は女性への敬意と愛に満ちた健康本だ。本著を読んで今はもう絶滅種の大和なでしこが復活して欲しいもの。私も着物を普段着として着て、試写に行くことを目指します! まずは浴衣とゲタから(笑)。
日本人へ 国家と歴史篇
塩野七生




文春新書
893円(税込)

いい女になるために読む、塩野七生本。


塩野さんと言えば「ローマ人の物語」が有名だが、私は若い頃に「男たちへ」というエッセイを読んで女のこと、男のこと、スーツの着こなしのこと、おしゃれのこと、人間について、人生について等々たくさんのことを教えてもらった。私の考えの基本部分を固めるのに塩野さんのエッセイはそれはそれは役立った。彼女は「ローマ人の物語」を15年間書きつづけ、06年に書き終わり、このエッセイはその後文藝春秋に連載していたものだ。久々に塩野さんの辛口エッセイを読みたくなって手にとった。

読みながら、私の尊敬する曽野綾子さんの考え方と似ているな、と思った。バッサリと斬る。論理的。知的。まるで男だ。ものすごく手強い女。
久々に読むと句読点がすごく多くて、また私の呼吸と合わないところに打ってあってやたら読むのにひっかかったのには驚いた。それはそれで面白かったのだが、塩野さん、年とったのかな?(御歳74歳)なんても思った。また、気になったのは送り仮名が間違っているところ(それとも今はこうなのか?)と誤植があったところだ。働くが働たらくになっていたり新しいが新たらしいになっている。誤植はフェミニズムがフェンミニズムなっていたりだ。天下の文藝春秋社から出ているのにこれはどうしたことだろう? もしかしたら、塩野さんの文章(だから)を編集者がひとつも触らず直さず載せたということだろうか? と、まあ、それはさておいて内容に入ろう。

全体的に日本という国家や政治家を得意なローマの歴史と照らし合わせ批評している文章が多いのだが、日本酒や漢字のことやイタリアでのワインバーで手軽に飲めるワインのこと、イタリアの日本文化会館で観た成瀬巳喜男の映画のこと、イタリアのブランドバッグのこと、靖国神社へ行ったこと、出版業界の今後のことなど、多岐に渡る。また、それらの方が私は興味深く面白かった。どの文章もピリリッと山椒も唐辛子も効いていて、本書は日本の全ての政治家、官僚、学者、総理大臣も読むべきだと思う。読んだら日本は少しは変わるか? いや、変わんないと思うけど、読むべきだ。低い意識が底上げされるだろう。少しでも…。

本著は私の知らなかったサミットの意味や歴史的なことも多々教えてくれる教養本だが、私が「なるほど」と思ったのは「価格破壊に追従しない理由」で、価格破壊がしいては文明の破壊に繋がるという理由にだ。高価な買い物はその品物を買ったことによって想像力が刺激されるそうである。それは高価なバッグをどの服と合わせようか、どの靴が合うかといろいろ想像するからだ。その想像力はより高いものへと昇華される(塩野さんの場合は一冊の歴史物語を書き上げるほどの)。しかし、安いユニクロのセーターはセーターでしかない。想像力は刺激されない。想像力というものは使わないと劣化するという性質を持つ――。
はあーっな~るほど、だ。確かに高いものを買う時は買う前も後もいろいろ想像している。でも、安いものは何も考えずにパっと買って適当に着ている。うーん。想像力なんてそんなこと考えもしなかったよー。

というふうに挙げたのは一例だが、塩野さんは表層的なことをなぜか? と深層的に解明して謎解きのように最後に答を披露してくれる。ああ、すっきり。凄いマダムだと思う。こんなこと男性作家では出来ない分析だと思う。だから塩野さんの本は中年男性に人気があるのかな? 

イタリアの有名ブランド製品の70パーセントは中国で作られた製品で、残りの30パーセントもイタリアに居る中国人が作っているという話や、イタリアの人気の大臣の話も面白かった。塩野さんの本は、官僚他のみならず、若い賢い女性は皆読むべきである。より賢くなれる。
PROFILE一宮千桃(いちみや・せんとう)
映画評論家。講師。MC。情報誌映画担当を経て独立。フリーで文筆や講師活動を行う。好きな映画は「ピアノ・レッスン」。小学校の頃から観つづけてきた映画によって愛も恋も男も女も人生もオシャレも知ったという箱入り乙女(?)。趣味は海外旅行、読書、クラシック音楽鑑賞、美術展巡り。宝石収集。占い。古本屋巡り。
一宮千桃(いちみや・せんとう)

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