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今月の Pick up アーティスト
今、Fe-MAILが注目、話題、期待するアーティストをインタビュー。毎月紹介していきます。
恋、仕事、挫折、ファッション・・・、どんな素敵な話が飛び出すでしょうか。


This month Pick up ARTIST
#5 上妻宏光
interview
profile
あがつまひろみつ。‘73生まれ。6歳で三味線をはじめる。14歳で「全国津軽三味線競技大会」優勝。95、96年と日本で三味線の最高峰といわれる「津軽三味線全国大会」で2年連優勝。17歳のときシンセサイザー、三味線、尺八などで構成された異色のロックバンドに参加、海外公演を重ねる。古典を大切にしつつもオリジナルの楽曲やロック、ジャズ、前衛音楽などで独自の三味線世界を確立。ジャンルを問わず数々のミュージシャンとも交流し、国内外で多くのセッションに参加。1月に全米CDデビューを果たし、NYやボストンでツアーを行う。「AGATSUMA」「BEAMS~AGATSUMAⅡ」のCDをはじめ、3月12日にNYの教会でライブ録音した(写真)「CLASSICS~AGATSUMAⅢ」を発売。
三味線はセクシーで、すっげぇカッコいい楽器なんです!


 トヨタカローラのCMで颯爽と登場した上妻さん。エレキ三味線のビート感もさることながら、そのクールな姿にも釘付け! 178センチの長身にながーい足。ビジュアルもとっても素敵。アメリカでもCDが発売され、今最もノッっているミュージシャンのひとり。そんな「あがっち」(彼のニックネーム)の素顔に迫ってみました。

Fe-MAIL(以下F)-今年1月にCDが全米で発売されて、1月2月にかけてアメリカ東海岸でツアーをされたそうですね。凄い快挙!向こうの方の反応はいかがでしたか?

上妻(以下U)-ボストンでは「バークリー音楽学院」で2回ワークショップもしたんです。三味線の歴史や楽器の説明にはじまり、どういうチューニングでやっているのか、どういう奏法なのかというような内容ですが、学生たちはすごく興味深げに真剣に聞いてくれましたね。

F-NYやコネティカットでもライブされたんですよね?

U-オリジナル曲もいい反応でしたが、津軽三味線の古典に対する反応は凄かったですね。改めて海外の人にとって津軽三味線の楽曲が魅力的なんだということを再発見しました。ライブには白人、黒人、スパニッシュとさまざまな国の人が来てくれたんですが、三味線の持つ独特の音、洋楽のスタイルにはないフレージングや間の取り方などにもびっくりされてるようでしたね。

F-三味線の生音ってなんか魂に響きますよね。それって日本人だけじゃなくて世界共通だと思う。

U-そうですね。そのあたりがブルースにも通じるといわれる由縁だと思います。ブルースも津軽三味線も差別の中から生まれてきたという共通の背景があって、そこから魂の叫びみたいなことを感じ取るのかも知れません。三味線とブルースは同じような周波数があると思いますね。

F-もちろん音楽的な面でも凄いですが、上妻さんって三味線弾いている姿がとにかくカッコイイですよね?

U-はーそうですか?(とテレる。かわいいっ!)

F-でも若い女の子って、そのカッコいい姿、つまり上妻さんのビジュアルから入って、そこから津軽三味線の魅力を知るわけですよね?そういう意味であなたの存在っていうのは凄いなと思うんです。上妻さんがいなければ絶対津軽三味線は聴かなかったという人も多いと思います。いまでは小学生まで三味線習いたいって言ってるそうだから(笑)。

U-そう言っていただけたらありがたいですね。たとえば、古典をライブで演奏する場合は着物を着たりすればいいんでしょうけど、ジーンズを履いたり、ロックに近いようなスタイルでステージに立つようにしてるんです。津軽三味線の古典は演奏じたい気軽に聴けるという楽曲は少ないので、少しでも親しみ安く、身近に感じてもらえたらいいなと思って。

F-この前津軽三味線の生音ライブをサントリー・ミュージアムの天保山ギャラリーで聴かせていただきました。もうほとんど神が降りてきたのかなって思える一瞬がありました。演奏されるとき目を閉じられるんですね?

U-うーん、やっぱり考える部分と無になってる部分があるんでしょうね。あと目をつぶっていわゆる耳に神経を集中したいんです。それにあんまりキレイな人がいると気が散りますしね(笑)。

F-弦楽器の中でも三味線の生音があまりにも迫力あってびっくりしました。バイオリンなど比じゃないですね。

U-三味線の中でも津軽三味線は弦楽器でありながら打楽器の要素もあるんです。右手で太鼓の部分を弾くというより叩くという感じなんですね。叩いてビートを出しながらメロディーを奏でるというユニークな楽器なんです。

F-そう。そのビート感がたまんない!三味線って、本当に体で聴ける、肌で感じる音楽なんですよね。なんていうか毛穴で聴くというか(笑)。そのビートとメロディーだけでどんな国の人をも感動させることが出来るだと思います。

U-99年に NYのライブハウスで飛び入りセッションしたことがあるんです。アッパーウエストサイド、セントラルパークの西側にある「クレオパトラ」というライブハウスなんですが、このときの経験が現在の僕の原点になっていると思いますね。そこで夜中12時ぐらいからセッションタイムがあって、一流のミュージシャンのバンドの中へいろんな人が一人ずつ飛び入りしていくんです。僕はそこへエレキ三味線を持っていったんですが、このときは本当に緊張しましたね。ただ、お客さんもプレイヤーも三味線という楽器をまったく知らなかった。ステージに立つ前はみんな冷めた目で見ていたんです。それが僕が演奏をはじめたら空気が一変した。そのときのことは一生忘れられないですね。この経験を通して、ああ、三味線って知られてないんだなって改めて思ったんです。僕にとって三味線はこんなにセクシーで、こんなにカッコイイ音なのにって。海外でこれまでも三味線は古典音楽という面で先輩方がいろいろ演奏されて来たし、知っている外国の人も多いと思います。でもやっぱり大使館や外務省関係などハイクラスな人が多いんですね。一般の人やミュージシャンはまず知らない。だから少しでも世界中の人々に三味線を知ってもらいたいと思ってるんです。

F-上妻さんは古典に限らずロックやジャズなど三味線のあらゆる可能性を広げたアーティストですよね?

U-僕は実は出身が茨城県で青森じゃないんですね。だから「おまえの三味線は茨城の三味線だ」ってよく言われたんです。おまえは青森出身じゃないから、青森の血がないから、津軽三味線は弾けないだろうって。そこで10代は悩んだんです。でも、海外でのいろんな経験や、国内でもジャズとかロックとか違うジャンルの人とセッションする中で、三味線は世界のひとつの楽器であって、それを自分なりに表現すればいいんじゃないかって思えるようになった。それからは海外で演奏していても、俺って正統派の青森臭さを出す演奏にこだわるんじゃなくて、三味線を通して音楽を広げるという使命があるんじゃないかなって、まあ妄想かもしれないけど、自分ではそう思いながらやってるんですよね

F-今日はホントにありがとうございました!またライブ楽しみにしています。


「BEAMS~AGATSUMAⅡ」
「CLASSICS~AGATSUMAⅢ」
津軽三味線の古典とオリジナルで構成された上妻宏光の原点ともいうべき新譜。
TOCT-2500東芝EMI 2300円(税込み)
「AGATSUMA」



これまでのインタビュー
#62 石丸幹二 #61 加藤ローサ
#60 西島秀俊 #59 フットボールアワー
#58 林遣都 #57 能世あんな
#56 スネオヘアー #55 高良健吾
#54 玉木宏 #53 麻生久美子
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#50 渡部豪太 #49 マイコ
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