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今、Fe-MAILが注目、話題、期待するアーティストをインタビュー。毎月紹介していきます。
恋、仕事、挫折、ファッション・・・、どんな素敵な話が飛び出すでしょうか。 |

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| 65年生まれ。89年多摩美術大学グラフィック科卒。同年博報堂入社。96年ブラッドピットを起用した本田技研工業の「インテグラ」の衝撃的な新聞広告で東京ADC賞受賞。自らのイラストで展開した絵本のような世界観で、これまたインパクトを与えた「ホンダ ステップワゴン」、また木村拓哉をハンディビデオで撮影して話題になった「サマーTBC」、「キリンチビレモン」では、商品開発からパッケージ、広告までをトータルで手掛ける。2000年に独立、とにかく事務所名にこだわったという、クリエイティブスタジオ「サムライ」を設立。赤青黄の3色に「Smap」というロゴのみのビジュアルを街中に溢れさせて、広告の4大グランプリを独占するという快挙をなす。最近ではレディースブランド「OZOC」のブランドリニューアルにあたり、原宿に真っ赤なフラッグシップショップを作り建築をコミュニケーションの中心に据えるという、新しい広告のスタイルを提案した。 |
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そのインパクトと潔さ、そしてセンスの良さに、毎回、度肝を抜かれる。アートディレクター佐藤可士和さんの仕事は、もともとの広告クリエイターの枠を越えて、もはや、あらゆるメディアに自由な発想で広告という名のお楽しみを作り上げる「仕掛け人」のようだ。ご存知、SMAPのジャケットやポスター、「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」のロゴマークにいたるまで、彼の腕にかかるとたちどころに、広告は抜群のセンスでくるまれた企業のメッセージとなる。そもそも広告ってこんなに楽しかったっけ?こんなにオシャレだったっけ? と改めて感じさせてくれる佐藤可士和さんを、大阪の「TSUTAYA EBISUBASHI」のオープニングでキャッチ。今、もっとも街に仕掛けるクリエイターに今月は肉迫しました。
Fe-MAIL(以下F)-佐藤さんのイメージって今や、広告クリエイターを越えてアーティスト的でもあると思うのですが、その棲み分けってあるのですか?
佐藤可士和(以下S)-僕はアーティストだとは全然思ってなくて、やっている仕事はやっぱりアートディレクターだと思うんですね。アートディレクターという仕事は、あるブランドのイメージを、ビジュアルをコントロールすることによって形成するような仕事だと思うんですよ。それがときにはロゴタイプであったり、ときにはテレビCMであったり、メディアはいろいろあると思うんですが、それをコントロールする職業だと思うんですよね。で、そのアート的というところは、アートディレクターとしてこのプロジェクトにはアーティスティックなことがプラスになるんじゃないかと思っているから、アーティスティックなことをやるわけで、そこをちゃんとわかってやろうとしているというかね。広告というと「これ買ってよ!」って一方的に言うんじゃなくて、もっと自然にユーザーの方から「これいいよね」って、寄って来て貰うというか。そのためには、美しくなきゃいけない。カッコよくなきゃいけない。面白くなきゃいけないって。そういうものの方が機能するんじゃないかと信じてて、またそうしていきたいんですよね。
F-では、佐藤さんにとって仕事(プロジェクト)の成功とは?
S-もちろん売上もあります。それとイメージですね。とりあえず売れりゃいいって時代じゃもうなくなってきている。とりあえず売れりゃいいっていう、やり方だと逆に売れなくなってきていて、売れたとしても、長く企業なり、ブランドが愛されるために、いいイメージで売れていかないと長続きしない。広告だから絶対目立たないといけないのは、どんな広告でも使命だと思うんだけど、「悪目立ち」ってありますよね。たとえば、すごく下品なことをやるとか、すごく人を不快にさせるようなことでも、目立つには目立つんだと思うんですよ。だけどそれは目立ったけど、いいイメージを持たれるかというと、そうじゃないかもしれない。その瞬間では話題が取れたりするかもしれないけど、長期的に見ると損をしちゃう。みんなに愛されるとか、好かれるというのが、いいイメージにつながる。そこを僕なんかは売上以上に見ている。っていうか、そうなんないと、売上なんて上がんないと思ってるんですよ。
F-佐藤さんのお仕事を見ていると、いい意味でこれまでのマスメディアを信じていない。それがとても気持ちいい。
S-そうですね。僕も何年か前までは、広告というと、テレビとか、新聞っていうね、そういうところから入っていたんですよね。(広告代理店の)博報堂にいた最後の方から、それだけじゃないんじゃないかと思いはじめて、それは僕だけが気づいているわけではなくて、そんな時代になってきたんだと思う。独立してサムライ(現在の事務所)をつくってから、僕がやっていることってのは、「TSUTAYA」であれば、お店自体がメディアであり、(キリンの)「極生」だと商品そのものが広告であり商品であるというか、ふと考えると何でもメディアになるじゃん!って思えたんですよ。「SMAP」の仕事なんかをきっかけに、ティッシュのウラでも、これをものすごく大量に撒けば、テレビスポット1回やるより全然効果あるんじゃないかなぁと。そういうことをリアルに感じて、そしたらすごいラクになって、「何でも広告になるじゃん」って思えるようになった。最近よく「広告の枠を越えてますね」って言われるけど、まぁそれは、どこまでを広告って呼ぶかというだけの問題なわけでね。
F-メディアをもう1回見直してみたわけですね。
S-そうそう。テレビと新聞と、雑誌だけが広告じゃないよね。もちろん最近はWEBもあるわけだし、携帯電話もそう。街自体もメディアとして考えることもできる。僕が今までと少し視点が違ったのは、かつて街メディアというと、屋外ボード(看板広告)とかっていう、そういうメディアだったんですよ。でも、例えば、この「大阪戎橋」をメディアとして考えるとか、「渋谷」をメディアとして捉えること。その視点が多分すごく新しかったと思うんですよ。だからシールを貼って街を歩いてもらうというのも、街ということをメディアとして捉えると動く広告になるわけですよ。メディアの捉え方が変わったんですよね、自分の中で。
F-それには何かきっかけがあったんですか?
S-キリンの「チビレモン」という商品を開発したときに、ボトル自体がやっぱり発信してないとダメだなと。当時チビボトルなんてないわけでね。当然、店頭では目立つ。だからいくらマスでやるよりも、コンビニの棚をメディアとして捉えたときに、どうアウトスタンディングなポジションがとれるかというのが問題なわけです。そういう視点で見ると、商品から開発したりすると、すごい問題の解決が早いんですよね。デザインとかアートディレクターっていうのは、いろんな企業の問題をコミュニケーションで解決するような仕事なので、そういう部分から売上げを上げるというミッションに答えていくようなことなのです。「TSUTAYA」は、このマークを1個開発することによって、「ウワ~」と展開できる。「チビレモン」をきっかけにして、考え方が随分変わりましたね。表現というよりも広告の捉え方が変わりました。そしたらすごいラクになっちゃった。新聞、テレビ、WEBなんかと並列にお店とか、ショッピングバッグとか。本当にティッシュのウラと新聞広告が並列になっちゃった。
F-今、佐藤さんを目指しているクリエイターの卵って多いと思います。グラフィックやデザインの基礎ってとても重要だと思うんですが?
S-もちろんそう。さらにもっと大事なのは、クリエイターとしてどうモノを見れるか。アートディレクターは、視点とセンス。どういうふうに人と違った視点でモノを見れるかですよね。今は、本当に質の時代に入っているから、よりそこの部分は大事ですよね。たとえば家具でいったら、表面的にはオシャレぽく出来ているけど、使いにくいとか、構造的に弱いとなるとダメじゃないですか。そういう見た目の美しさの前に、当然機能としてレベルが高くないとダメ。グラフィックも同じ。すごく読みやすいとか、認識しやすいとかね。基本的なことが大切です。
F-では、仕事以外の興味って?
S-アートを買ったりするのに、最近興味がありますね。このあいだ雑誌「ブルータス」でも特集やっていて、僕もコメントしたりしたんだけど、アートを買うっていうのは、別にゴッホやピカソを何億円で買うとかじゃなくて、みんな洋服をフツーに買うじゃないですか。洋服買って、スニーカー買って、カバンも買って、だんだんインテリアに興味が出てきて、空前のインテリアブームになって、イスだ、家具だ、イームズだ、コルビジェだとかになって・・・。で、今度はその先にアートがあるんじゃないかなぁと。やっぱり自分の空間の中に、ポッとそこに気に入った絵とか、写真があるだけで、すごい豊かになる。最近、ダミアン・ハーストの版画を買ったんだけど、なんか物質的な価値というよりもダミアンのコンセプトを買ったという感じで、すごい高揚感があって面白いんですよね。時間を共有するというか、すっごい気に入った音楽とかに出会った感じに近い。優れたアート作品って、すごい存在感があるんですね。それが1個あることによって、部屋の雰囲気が全然違う。昔は日本も掛け軸という文化があって、季節で替えることによって部屋の雰囲気が変わってたんですよね。
F-「SMAP」のジャケットや、「TSUTAYA EBISUBASHI」のアートディレクションなどの佐藤さんのお仕事を見て、とっても広告が面白くなってきたように思います。
S-今の日本にあふれている広告って、恋愛で言ったら、自分のことはおいといて、とりあえず「好きだ、好きだ」って一方的に言ってるだけな感じがするんですよね。「だったらお前、ダイエットしろよ」みたいなね。「好きだ、好きだ」と言う前に、自分を磨いて、「好きだ」って言ってもらうっていうか、その方がコミュニケーションとして理想だと思う。ワーワーこちらからアプローチするよりも向こうから言ってきてくれた方がいいですよね。僕が「TSUTAYA」でやっているこというのは、ワーワー買ってくれじゃなくて、ダイエットするとか、オシャレするとか、自分自身をね。それはロゴマークやショッピングバッグのデザインが良くなることということが、企業でいうと自分を磨くことなんだと思います。
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| 大阪はミナミ・戎橋にオープンした「TSUTAYA EBISUBASHI」。さまざまなアイコンが密集したエリアに、そのセンスが際立つ。 |
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| 「TSUTAYA」店内のタイポグラフィーも佐藤氏によるもの。 |
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| ただの箱。でも、立派な、そしてインパクト大の広告だ。 |
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| 渋谷の街をジャックした「SMAP」のジャケット。3年の時間を経ても、色褪せることなく |
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