
ヒーリングミュージックの流行、「女子十二楽坊」のメディア露出などで注目を集め、日本の女性の間でも密かなブームとなっている中国の伝統楽器、二胡。なかでも、ジャズメンとのセッション、坂本龍一氏との共演、教則本の出版など、独自のスタンスで活躍している二胡奏者がウェイウェイ・ウーさん。たった二弦の楽器で演奏していると信じられないほどパッションにあふれた表情豊かな音色に、ファンが急増中です。そんな彼女が、10月20日に 3rd アルバムとなる待望の新作をドロップ。今回チャレンジするのは、かの有名な「クロース・トゥ・ユー(遙かなる影)」や「雨にぬれても」を生んだバート・バカラックの作品集。20世紀の“ミスター・ロマンティック”ことバカラックのメロディーを中国の伝統楽器・二胡で表現するとで愛を伝えようとするウェイウェイ・ウーさんの想いは? また、次々と新しい試みにトライしている彼女のバイタリティの源は? ライブ前の楽屋で、楽しいお話をうかがってきました。
Fe-MAIL(以下F)-実はこのコーナーの#7では、すでに妹のAminさんが紹介されているんですよね。 ウェイウェイ・ウー(以下W)-そうなんです。インタビューの依頼を受けたときに、「あれ?そういえばこのサイト、見たことあるな」ってちゃんと覚えていましたよ。
F-ありがとうございます。さて、いよいよ3枚目のアルバムがリリースになりましたね。前2作はオリジナル曲も数多く収録されていたのに対して今回は全曲カバーとなるわけですが、バカラックを選んだ理由はどういったところにあるのですか?
W-誰でも一度は聴いたことのある有名な映画音楽を取りあげることで、二胡という楽器に初めて触れる人にも、親しみを感じてCDを手にとってみてほしいな、と思ったんです。それでいて、単なるノスタルジックなカバーでなく、“今の気分”が伝えられるようなアレンジを心がけました。
F-カフェミュージックと謳われるバカラックの曲と、二胡の和みに満ちた音が、とても見事に調和しています。
W-意外な組み合わせのはずなのに、どんどんと想像力が膨らむでしょう? 彼のメロディーには、聴いている人をまるで恋しているときのようにときめかせてくれます。そこに、人間の声にも似た、生き物のような二胡の音を優しく乗せて、今の時代に生きる私から、再び愛を伝えられたらと思うのです。
F-確かに、ウェイウェイさんの奏でる二胡はあまりにも冗舌で、言葉を超えて伝わるものがあるような気がします。こだわっていらっしゃるスタンディング・スタイルでの演奏も、その豊かな表現力をかなりサポートしていますよね。
W-そうですね。リズムが取りやすいのもありますが、何よりまるで自分の感情を表すように全身で音楽を表現できるので。
F-元々5歳の頃からヴァイオリンを習っていて、15歳になって二胡を始められたということですが、ヴァイオリンと二胡とのいちばん大きな違いはどういうところですか?
W-ヴァイオリンはこう、肩と顎で楽器を支えるでしょう? 頭に近いところで演奏する。一方、二胡はこうしてお腹に近いところで支えるもの。これって私にとってはとても大きな違いのような気がするんです。歴史的に言うと、女性が二胡を弾くようになった年月は驚くほど浅いのですが、お腹で支えるというのは、とても女性的な楽器だと思えますね。音が、ダイレクトに自分の(頭ではなく)心に響いてくるんですよ。
F-なるほど。それは両方の楽器を体験したウェイウェイさんならではの見解ですね。今、二胡を習いたいという女性が増えているのも、そのせいかもしれません。
W-私も約10年前……そうですね、映画「ラストエンペラー」が上映された頃に教室をスタートしたのですが、ここ4~5年で希望者がぐっと増えて、ブームの波を感じます。中国の伝統楽器の魅力を、日本の、しかも新しい世代の人たちに伝えられるのはとてもうれしいことだと思っています。もっともっと「おしゃれだなぁ」と思ってもらえるような楽器にしたい。
F-ライブのMCでも、観客にとってはまだまだ馴染みのない二胡の簡単な説明が必ずあったり、二胡への愛情のある言葉がたくさん飛び出して、その想いは伝わってきますよ。
W-現代の日本に二胡を伝える、使命感のようなものが私の中にはありますね。ライブでも、アレンジャーと共にアルバムを作る作業でもそれは同じ。クラシックや民俗音楽だけではない二胡の様々な可能性を、提案していきたいのです。
F-でもそれは実はとても大変なことでは?
W-もちろん、とても大変なことです。だけど、葛藤の中からこそ、新しいものが生まれるのだと思っています。そして、常に新しい可能性にチャレンジしていたい。好奇心旺盛な性格も手伝っているのかもしれませんね(笑)。フュージョンやロック、ジャズの方たちとの共演、リハーサルなしのセッションライブも、難しいけれど、自分の感覚がどんどん洗練されていくような気がしてとても楽しい。難題や壁にぶつかったときこそ、新しいことをやりたいと思う性格なんですね、きっと。
F-演奏中の素敵な笑顔を拝見していると、ご自身が楽しんでいらっしゃるのが伝わってこちらもうれしくなります。銀座のスウィングシティーで初めてセッションライブを聴かせていただいた日は、ステージのあまりの楽しさと、二胡の魅力にすっかりとはまって、興奮冷めやらぬ状態に陥ってしまいました。
W-ウェイウェイの世界観は、ライブやコンサートで生の演奏を聴いて、心で「感じて」もらうのが醍醐味。セッションの世界には、1度として同じステージはあり得ません。その日集まってくださったお客様、ライブ会場の違いなどで、常に変化する演奏を満喫してもらえたら、と思うのです。
F-11月からは、新譜のリリースツアーで全国各地でのライブが予定されているので、ぜひともたくさんの女性たちに、ウェイウェイさんの奏でる生の二胡を聴いてもらいたいと思います。ありがとうございました。
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『プレイズ・バカラック』 ウェイウェイ・ウー Wei Wei Wuu/ Plays Burt Bacharach ワーナーミュージック・ジャパン WPCL-10131 発売中 \2,800
二胡奏者のウェイウェイが、中西俊博、武部聡志、宮川弾をアレンジャーに迎えて、パート・バカラックのナンバーを演奏。20 世紀最高のソングライターとも賞されるバカラックの名曲のなかから、「クロース・トゥ・ユー(遙かなる影)」や「雨にぬれても」など「誰もが1回は耳にしたことのある」ベストトラック10曲を収録。 |
■Wei Wei Wuu Plays Burt Bacharach“Sweet Memories” ニューアルバム発売記念コンサート 『プレイズ・バカラック』
11/7(日)、8(月) 福岡ブルーノート 11/10(水)名古屋 名古屋ブルーノート 11/17(木) 東京 STB139スイートベイジル 11/29(金) 大阪 ザ・フェニックスホール
お問い合わせ先 ミュージックハウス・モズ TEL: 03-3481-0506 オフィシャルサイト http://www.weiwei-wuu.com/ |
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| 取材・文/高橋マキ |
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